18.考える男
恋愛三部作から小話になりました。
アクセル―アクスノルドという名ではあったがもうアクセルが本名のつもりである―は考えていた。
自分は色恋はあまり得意ではないが周りが言っている。
「ドロドロな三角関係だ」
「女としてはあんないい男2人から好かれるなんて最高だけどね」
「いや実際あの状況になったら本人全く嬉しさのかけらもないでしょう」
「まあでも世界一素敵な男子が世界一素敵な女子に惚れるのは当たり前だよね」
「でも揺れ動かずに黒の魔法使いの事しか見ていないから不快感なんて全然沸かないよね」
「まあ世界を変えてくれたあのお方たちに不快感を持つだなんて失礼千万だけどな」
ちなみにこれらの会話は私が1人で居酒屋に行った時に聞いた会話だ。
自分は3人と年齢が一回り違うし、本来一人行動を好む方なのでよくフードを被って出かけていた。
顔を出していると居酒屋の人達が萎縮してそれまでのガヤガヤはなくなるので、被っていても怯えられているが黒サングラスとフードのセットでどうにか大衆に紛れ込んでいる。
自分だけでなく、アレンも、わずか5歳にしてロゼとゼノンがプロポーズまでした仲だということは知っている。
どう考えても付け入る隙はないのに、アレンはロゼに惚れていたのか。
アレンのことを黒の魔法使いと呼んでいるのは、恐らく宵の賢者だと公式的呼称の為に、発言内容によっては罰せられる可能性がある為であろう。まあ、それでも本人たちが不快に思う発言だったら瞬時に制裁を喰らわせられるだろうが。
ロゼやアレンは自分たちが有る事無い事言われるのをひどく嫌っており、法律に人権保護に関わるものを思いつく限り組み込んでいた。
貢献者特権だ!とか言って、『歴史上の人物によくある二次創作化は避けたいんよっちゃんタコ』
『ジャスティス!!』とかなんとか言ってたのを思い出す。
以前、私が近くで晩酌しているとも知らずに『暁の賢者一度でいいから抱きたい』とか言ってたやつらはいつのまにか魔法陣が現れて自分がぶん殴る前にだいぶ痛めつけられていた。
多分2人は全世界に探知センサーを張り巡らしていると思った。
そんな妄想も瞬時に感知し鉄拳制裁を食らわすのに、あの2人がアレンの想いに気づいてないなどあり得るのだろうか。いや、ない。
私もアレンが王になり伴侶が必要となる時点で、正直釣り合う人物はいないよなと思っていた。なにせ、先生が桁違いの先生で、その教えを理解したんだから、この世にいるわけがない。
ただ私は、だからと言ってロゼがアレンの伴侶となる考えは一片も思いつかなかった。
自分が恋愛事情に疎いのもあるが、ロゼとゼノンで一つというイメージが強い。だから、ロゼをゼノンから離すなんて想像もしなかったのだが…
改めて考えると確かにロゼが王妃というのは人々が最も望むことなのかもしれない。
冷静に考えれば、ロゼとゼノンの子どもができた場合、アレンと誰かの子どもより強いだろうし、王になってほしいと願う人が多いはず。平和が終了するかもしれない。ただ、2人の子どもだったら王になりたいと思おうがなりたくないと思おうが、血も流すことなくどうにかできそうだが。
そもそもアレンだけが王になりたいと手を挙げたから王になっただけで、ロゼやゼノンになって頂きたいと請う者はたくさんいた。彼らが否定するからあまり強く言い続ければ滅されるかもしれないからと恐れただけで。
…まずいな。
恋は人を愚かにする(らしい)。
恋はスリリング、ショッキング&サスペンスフルだ。
今しかとこの身に知ってしまった。
アレンが2人に暴走をしないことを願う。
何事も勝負はその人の実力だけじゃない。運がある。アレンが何かをして、運が味方をしたとしても、ゼノンとロゼに対しアレンの力の差は歴然。
自分は考えた。
考えに考えた。
考えに考えに考えた結果、考えることを諦めた。
願わくば、アレンにも良き人を。
英語だと、スリルもショックもShe is surprised.と同じでそういう変形しますからね。あの見た目は子ども!のOPテーマソングも実は曲が日本人の都合良いこじつけにより…と言いたいところですが、thrillingとスリリングが微妙に違う意味合いになったりするのと一緒で恋はスリル〜が間違ってるとも言い切れないと思っています。




