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短編

死体のない国

作者: 龍崎 明

 ある研究者曰く、確認できない事象は常にイエスとノーが混在している。


 そこである国でとある思想が広がった。


 死体がなければ、生きている。


 その極論であり暴論である死生観は、ゆっくりとしかし着実に国を侵蝕して遂に全国民に死体が霧散する施術が実行された。


 と、しよう。まず、どんな問題が現れるだろうか。


 殺人の隠蔽が簡易化する。死体が勝手に霧散してしまう以上、目撃者がいなければ殺人は発覚せず、よって証拠品となる凶器などの処分も悠々とできてしまう。


 行方不明者の登録件数が増加する。そして、死者の報告件数が皆無となる。そして、こうなった思想上、行方不明者の死亡扱いは否定されることとなる。そうなると、警察組織の仕事が増える。


 臓器移植用の臓器がなくなる。死体がない以上、臓器もないのだ。


 葬儀屋が廃業する。


 さて、このような問題があるとしても、その国家は維持されるのだろうか。


 殺人へのハードルが低くなったならば、治安の悪化に繋がり、早々に崩壊してしまいそうなものである。


 それとも、人間は卑下するほど同族殺しをする生き物ではないのか。


 或いは、監視し合う社会となるのか。

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