ロリコンの変態イケメンを、包容力があってロリとは真逆の先輩美少女が落とす。そのための方法を、幼なじみのあなたが伝授した。最強のLPとIVで大逆転!
先輩の努力が報われる時が来る!
女子高生のあなたは校舎の陰に隠れて、中庭にいる二人の生徒の様子をうかがっていた。
片方は同じクラスのイケメン同級生で、女子のほうは一つ年上の先輩だ。
先輩はあなたの家の近所に住んでいる、幼馴染のお姉さんである。彼女があの茶髪イケメンに告白をしたいということで、あなたは告白が上手く行くよう、手伝いをしたのだった。
ただ、あなたは知っていた。あのイケメン男子は、幼くて子供っぽいロリキャラを愛するロリコンだということを。
彼はクラス内でも平然とアニメのロリキャラ萌え~などと喋っている男であり、その一面が校内で明らかにされていなければ、とっくに彼女はいたであろう。
あなたは先輩に、あのロリコンはやめたほうがいいと忠告したが、彼女は譲らなかった。
先輩はあのイケメンの格好良い容姿だけでなく、優しい性格にも惹かれたらしい。ロリコンだという噂は聞いていたけれど、それでも自分の気持ちを伝えたい。そうでなければ、大切なあなたに相談なんてしない、なんて言われたら、あなたも悪い気はしなかった。
先輩はすごく美人で、包容力もある。あなたにとって、尊敬すべきお姉さんだ。しかしながら、イケメンと同じくらい背が高いし、どう見てもロリキャラとは程遠い。そんな先輩がロリコンに告白しても、玉砕するに決まっている。
だから、あなたはある作戦を立てた。
それが今、目の先で実行に移されようとしている。
きっと上手く行くんだと信じて、あなたは二人の様子を伺い続ける。
「私ね、君のことが、ずっと好きだったの。だから……私と付き合って下さい!」
「すいません、先輩。俺、ロリコンなんで、美人に見える先輩とはつき合えません」
イケメンは即答だった。とても冷静な対応だ。
もちろん、こんな簡単に怯む先輩ではない。
「見て。私だって幼く見えるように、君のためにこういう髪型にしたんだよ?」
先輩は薄い茶色のセミロングの髪を左右でまとめて、両肩の前で垂らしている。それらを両手で持って強調した。
確かに、以前までのストレートよりも幼く見えるし、顔だけならイケメンよりも年下に見えるかもしれない。
だが、彼女のほっそりとした体型は、美しい大人の女性なのは明らかだ。先輩よりも子供っぽい見た目をしているあなたとは、まるで逆だった。
先輩がロリキャラでないと告白を断ったイケメンが、あなたには贅沢過ぎる悩みを持った愚か者にしか思えない。
「……本当にすいません。髪型だけじゃ、どうにもならないんですよ」
「どうしてなの? 君がロリコンでも、付き合う相手はアニメのキャラとかじゃなくて、現実に存在する人なんだよ! 私みたいにロリじゃなくてもいいじゃないッ!」
大声を上げるお姉さんは、大変めずらしかった。
「先輩が嫌いというわけじゃないんです。先輩はきれいだし、性格もいいし、胸部の大きいところはロリコンの俺でも魅力的に感じます。でも先輩は、俺みたいな変態にはもったいないなって思うんですよ。……俺は昔から、つき合うなら絶対ロリキャラって決めてるんで、その信念を曲げることなんて出来ません」
感情的に迫る先輩に対し、イケメンは常に心の距離を置いていた。
ここで、あなたの一発逆転の秘策が活かされることになるだろう。これでダメなら諦めろとまで先輩に伝えて伝授した、必殺技だ。
「……こうなったら、もうしかたがない。これからね、私が君に『あること』をするから、それでダメだったら、君のことは諦めるよ。……ここでちょっと、しゃがんでくれないかな?」
「ええ、それぐらいなら……」
イケメンは先輩の前でしゃがみ込んだ。
よし! あなたは心の中で叫ぶ。
先輩はこの時をチャンスとばかりに、腰を落としながらイケメンに自分のスカートをかぶせた。
急に真っ暗になったことで、イケメンは混乱したようだ。スカートの中で動こうとしたようだが、先輩がスカート越しに両手で頭を押さえつける。
スカートの内側にいるイケメンと同じ状況を、あなたはすでに体験していた。自分がイケメン役になって、先輩と練習をしたからだ。
先輩は健康的かつ魅惑的な太ももで、イケメンの整った顔を挟んでいる。
イケメンのすぐ前には、先輩の下着がある。
今日の先輩の下着は、この日のために用意したものだから、勝負下着と言ってもいいだろう。けれども、勝負下着と呼ばれるような、布面積が少なくて美しい下着とは、真逆のパンツだ。
飾り気が一切ない、白一色のパンツ。
生地がぶ厚く、下半身をしっかり覆った、女児向けに見えるパンツ。
年上の美少女があまり穿かないような、その子供っぽいパンツが、きっと今のイケメンの思考を狂わせている。
覆いかぶさるスカートで視界が暗くなる中、ロリっぽく魅せる白いパンツをしっかりとイケメンに分からせるよう、先輩は何度も練習でスカートのかぶせ具合を調整した。
これだけじゃない。
とどめは、イケメンの頭上から届く、最強の呪文だ。
「――大好きだよ。お兄ちゃん!」
愛らしさに最大限に込めた、ロリキャラっぽく聞こえる素敵な声。普段とは全く違う声を、先輩はイケメンに贈ったのである。
先輩がこの魅力的なロリキャラ声を出せるまでの練習に、最も時間を割いた。
例え容姿がロリキャラとは対極だとしても、先輩はロリキャラを演じることに成功したのだ。
彼女の努力は、体型差さえも凌駕する。
きっとスカートの中で、イケメンは考えを改めたに違いない。
「……私と付き合ってくれる?」
イケメンを解放した少し後に、先輩はさり気なく聞いた。声質は普段と同じだった。
「時々、今のをやってくれるなら……」
恥ずかしそうな彼の返答によって、ようやく先輩は笑顔になる。
無邪気に喜ぶお姉さんの健闘を、あなたは校舎の陰から静かに讃えた。それとついでに、お姉さんを彼女に出来るなんて羨ましいぞと、イケメンへの妬みも視線で送っておいた。
こうして作戦は成功し、美男美女のお似合いなカップルが誕生したのである。
□
数日後、高校の教室にて、あなたは後ろの席で見ていた。イケメンの席へと、彼の友人がやって来たのを。
友人は好奇心旺盛な顔を向ける一方で、イケメンのほうはなんとなく気まずい顔だった。
「すっげー噂を聞いたぞ、なんで教えてくれなかったんだよ。――お前、あの美人な先輩とつきあってるんだってな。ロリコン卒業したのかよ?」
「……うん、まあね」
全然卒業していないことを、小柄なあなたは知っている。
(終わり)
この年上ヒロイン、実はロリキャラにもなれるという、希望あふれる? お話でした。
タイトルのLPは『ロリ・パン』、IVは『イモウト・ボイス』の略です。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。