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04.序曲 【勇者side①】

04.序曲 【勇者side①】



「覚悟しやがれ、魔王ジョウカー! ここがテメエの墓場だぜ!」


 魔王城、王座の間で。

 オレ、勇者ダイトは。

 サリィ、シャル姉、ツカサを従え、魔王ジョウカーと向き合っていた。


「……へへっ! へへへへへ!」


 オレの口からは、笑いがもれる。

 いきなり半年前に現れ、人類に宣戦布告してきた『魔王』ジョウカー。

 どんなヤツかと思っていたが……。


「たいしたことなさそうだな!」


 体格は、成人男性と大差がない。

 全身を白いローブでくるみ、顔には仮面をつけている。

 仮面の額部分には、闇色のクリスタルがギラギラと光を放っているが。


「今のオレの敵じゃねえ! こんな弱っちそうなヤツをカモるだけで、オレは英雄ってか! まったく、笑いが止まらねえぜ!」


 そんなオレに向かい。


「クククク……どうやら、口だけは達者なようだね」


 ジョウカーが笑いながら、続ける。


「しかし、まさかキミたちは。本気でこのワタシ、『魔王ジョウカー』に勝てると思っているのかな? その浅はかさには、恐れ入るよ」


「んだと……!」


「聖剣ブルトガング、魔剣グラム、聖杖ワルキューレ、魔杖アポカリプス。確かに、キミたちの武器は強力だ。だが……」


 ジョウカーは肩をすくめる。


「キミたちごときの力で、その武器の性能を引き出せるとは思えないね」


「……どういう意味だ?」


「深い意味はない。言葉通りに、受け取ってもらってかまわないよ?」


「テメエ……!」


 オレはこぶしを握りながら、ジョウカーをにらみつけた。 


「オレたちの力が、たいしたことないって言いてえのか!?」


「まさにその通り。理解が早くて助かるね、勇者ダイト」


 ジョウカーの口調は、余裕たっぷりだった。


「調子に乗ってんじゃねえぞ! うらああああぁぁ!」


 オレは聖剣を抜き、ジョウカーに向かい突撃した!

 同時に!


「我々を甘く見たこと、後悔させてやろう! はああああぁぁ!」


 サリィが魔剣を携え、ジョウカーに突っ込む!


「食らいやがれええええぇ!」


「切り裂けええぇ!」


 オレとサリィは、聖剣と魔剣をジョウカーに繰り出すが。


「甘い」



 スカッ! スカッ!



 ジョウカーはサイドステップで、オレたちの斬撃をかわした。


「クソッ! コイツ、ちょこまかするんじゃねえよ!」


「無駄なあがきはやめろ! おとなしく、私に斬られるがいい!」


 続けざまにオレたちは、2撃目、3撃目を放つが。


「無駄だよ」



 スカッ! スカッ! スカッ! スカッ!



 ジョウカーは攻撃をかわしつつ。

 大きなバックジャンプで、オレたちから距離を取った。


「では。次は、こちらの番といこうか」


 宣言とともに、ジョウカーが大きく手を広げる。


「――アピアランス」


 ヤツの前方に、4つの透明なオーブが出現したかと思うと。


「ブリザード、ライトニング、シャイニング、ダークネス」


 ジョウカーの詠唱で、オーブへ次々と色が灯っていく。


 1つ目は、青に。

 2つ目は、黄色に。

 3つ目は、白に。

 4つ目は、黒に。


「な、何なの!? オーブに、魔力を注入してるの!?」


「気をつけてください! 攻撃が来ますよ!」


 とまどうシャル姉に、ツカサが叫んだ瞬間。


「テトラ・バレット!」



 ブアアアアアアアアアア!



 ジョウカーの合図でオーブから、4色のつぶてが大量に撃ち出された!


「あぶねっ!?」


「うわっ!?」


「きゃあ!?」


「くっ!」


 オレたちは素早く散ると、魔力のつぶての嵐をかわした。

 しかし。



 ブアアアアアアアアアア!



「うおあああああ!?」


 つぶての攻撃は、尽きることがない。

 色とりどりのつぶてが雨あられと、部屋中にバラまかれていく。


「シャル姉! 防御魔法で食い止めろ! 早く!」


「今からやるよ! シャルちゃんに命令しないで!」


 シャル姉がいらだたしそうに返しながら、聖杖を前に突き出す。


「ダーク・ホーリーウォール!」



 パシュン!



 オレたちの前方に、黒い光のカベが展開された。

 つぶては光のカベにさえぎられ、次々に消滅していく。

 その間に!


「レッド・クリムゾン!」


 すかさず魔杖を手にした、ツカサの火炎魔法が飛ぶ!



 ゴアアアアアアアアッ!


 パキン! パキーン!



 火炎の直撃を受け、青と黄色のオーブが砕け散った!


「今ですダイトさん、サリィさん! 残りのオーブを!」


「ナイスだぜ、ツカサ!」


「了解だ!」


 オレとサリィは、オーブに向かって突っ込む!

 同時に。


「援護してあげる! ダーク・ホーリーシュート!」


 

 バシュバシュバシュバシュッ!



 シャル姉は光のカベを解除すると、ジョウカーに光線の乱れ打ちを放った!


「ちっ……!」


 ジョウカーが回避に専念したスキに!


「ふっ!」



 ズバアッ! パキーン!



 サリィが白のオーブを砕き!


「りゃああああ!」



 ズバアッ! パキーン!



 オレが黒のオーブを砕いた!

 その瞬間。



 ブアアアアアアアア!



 いきなりオレの砕いたオーブから、闇が大量に噴き出した。


「のわっ!?」


 吹き出した闇は、あっという間に部屋中を満たしていく。


「何だ!? 見えねえ!? くっ、この野郎ぉ!」


 濃い闇を振り払おうと、オレはメチャメチャに聖剣を振り回す。

 そんな中で。



 ヒュンヒュンヒュンヒュン!



 闇を切り裂き、何かがオレのもとに飛んだ。


「うおっ――」



 ガヂッ!



 不意打ちに、身をかわすこともできず。

 飛んできた何かは、オレの首にハマった。


「何だコリャ!? 首輪!?」


 オレは全力を込め、首輪に手をかけるが。


「んぐっ……ぐぐぐっ……ぐぎぎぎぎーーーー!」


 どんなに力を込めても、首輪は外れなかった。


「ふむ。まあこんなものか」


 あせるオレの耳に、ジョウカーの声が響く。


「こうもカンタンに引っかかってくれるとはね。拍子抜けもいいところだよ」



 パチン!



 指の鳴るような音とともに、あたりの闇が消えていく。

 クリアになったオレの視界に、入ってきたものは。

 

「なっ、何なんだ、この首輪は!?」


「うぅ~! 外れないよぉ!」


「く……くっ!」


 オレと同じように首輪をハメられた、サリィ、シャル姉、ツカサの姿だった。

 そんなオレたちに向かい。


「あっけない幕切れだが。これで詰みだ、勇者ダイト」


 勝ち誇ったように、ジョウカーが告げる。


「その首輪は、『魔王の呪い』と呼ばれる特別製でね。相手を捕らえた呪いの首輪は、72時間後に爆発する」


 なっ!?


「な……ん……だと……!?」


「キミたちの命も、残りわずか。勇者パーティー崩壊の序曲は、今まさに奏でられた。というわけさ」


 ジョウカーからの、衝撃の宣言を受け。

 オレは口の中が、カラカラに乾いていくのを感じた……。





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