表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/40

28.逆転 【勇者side⑩】

28.逆転 【勇者side⑩】



「クソったれがああああぁぁ!」


 オレは、懐からハイ・ポーションを取り出して飲み干した。


「はぁはぁ……ちきしょう……!」


 痛みは消えたが。



 ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ!



「うおおああああぁぁ!?」


 ハンター・ハルカの猛攻は、とどまるところを知らなかった。


「なんなんだよこの女!? コイツといいマモルといい、どうして勇者より強い連中がこんなに……って……」


 お?


「そうだ……!」


 そうだそうだそうだ!


(思いついちまったぜぇ……! コイツの心を乱す、とっておきの作戦をよ!)


 オレはニヤリと笑い。

 ヤツに呼びかける。


「おい、あんた! さっき言ってたよな? 解呪師マモルの居場所が知りたいってよ!」


「……っ!」


 オレの言葉に、ハンター・ハルカの攻撃が止まった。

 おし、乗ってきた!

 読み通りだ!


「教えてやるぜ! あいつの居場所はな!」


「…………」


「じ・ご・く、だよ!」


「っ!? な……っ……!?」


 ハンター・ハルカの顔が、みるみる青ざめていく。

 すかさずオレは、ベラベラと言葉を続ける。


「いやー! さっきはウソついて悪ぃ悪ぃ! 実はオレたち、2日前にあいつ殺してたんだわ! バレるとやべぇと思ってたけど、やっぱウソはよくねーよなー!」


 もちろん、今しゃべってる方がウソなんだが。


「な……な……!」


 ハンター・ハルカは、まったく気づいていない。

 ワナワナと、肩を震わせるだけだ。


「『封印の塔』で、だまし討ちにしてやったのさ! 伝説の武器の封印を解かせたあとで、ナイフでブスリ! 気分よかったぜ? ヒャハハハハ!」


 事実もたっぷり混ぜながら、オレが挑発していると。


「ちなみにシャルちゃんはー。逃げられないように、マヒの呪文をかけてあげましたー! えらいでしょ? ホメてくれてもいいんだよー! キャハハハハ!」


「アタシは毒魔法で追い打ちでしたねー。裏切られたと知ったときの、あの人の顔! 今思い出しても、笑えてきます♪ アハハハハ!」


 シャル姉とツカサも、ノリノリで乗っかってきた。

 目がキラキラと輝いている。


「……許さない」


 ハンター・ハルカが、震える手で弓を構えた。

 瞳には、怒りの炎が宿っている。


「許さない……許さない……許さない……」


 矢をつがえ。

 オレたちを鋭くにらみつけると。


「うあああああああああああ!」



 ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ!



 絶叫とともに。

 さっき以上のスピードで、矢の嵐が飛んでくる。


 ……だが。


「へへっ……」


 オレはほくそ笑んだ。

 確かに速いが、精度がガタ落ちだ。

 数多くの矢が、見当違いの方向へ飛んでいく。


「許さない許さない許さない許さない許さない! 許さないいいいいいいいいいい!」


 ハンター・ハルカは狂ったように、矢を射続ける。

 さっきまでのクールな態度は、どこへやら。

 完全に怒りで、我を忘れている。


(こうなりゃこっちのもんだ! すぐにスキができる!)


 オレは回避に専念すると、ひたすらチャンスを待った。


 10秒。

 20秒。

 30秒。


 そのとき。



 ズルッ!



「あっ!?」


 ヤツの手から、弓がすっぽ抜けた。

 ここだ!


「くっ!」

 

 慌てて手を伸ばし、弓をつかもうとするヤツに向かい。


「うおりゃああああああぁぁ!」


 全力ダッシュで、オレは突っ込む!


「っ!? しまっ――」


「遅いぜええええぇぇ!」


 勝利宣言とともに。

 オレの体は、ハンター・ハルカの2メーター以内。

 ヤツのデッド・ゾーンに侵入していた。


「っしゃああああああああぁぁ!」


 オレが、勝利の雄たけびを上げた瞬間。



 ピピピピッ!



 無機質な音が鳴り響いた。

 ハンター・ハルカの首輪は、赤く点滅している。

 サリィの爆死前と、同じ状況だ。


「ひっ……!?」


 ヤツの顔が引きつった。

 焦ったように首輪をガチャガチャ引っ張るが、もちろんビクともしない。


「ハーッハハハハハハハハ! 形勢逆転は一瞬だったなぁ!」


 オレは高らかに笑った。


「ダイトくん、ナイス挑発ぅ!」


 シャル姉がグッ! と親指を立てた。


「死んだなんてウソっぱちを信じちゃうとかぁ、お・ば・か・さん! キャハハハハ!」


 ケラケラと、シャル姉は笑い続けている。


「な……ウソ……!?」


 泣きそうな顔で聞き返す、ハンター・ハルカに。


「そうです。解呪師マモルは生きてますよ?」


 ツカサがニヤつきながら答えた。


「確かにアタシたちは、あの解呪師を殺そうとしました。でも、失敗したんですよ。アナタも生きてさえいれば、どこかで会えたんでしょうけどね?」


 ツカサはトドメとばかりに、言葉をぶつける。


「ざ・ん・ね・ん・で・し・た♪ アハハハハ!」


「そん……な……」


 ハンター・ハルカは、その場にがっくりと崩れ落ちた。



 ピピピピッ! ピピピピッ!



 首輪の音が、鳴り響く中で。


「マモルお兄ちゃん……助けて……」


 ぽつりと。

 ハンター・ハルカは、つぶやいた。


「は?」


 お兄ちゃん?

 お兄ちゃんだって?

 くっ……くくくくく……!


「何だてめえ、マモルの妹かよ!? しかも、この状況でマモルに助けを求めるとか?」


 おいおいおいおい!


「助けに来るわけねえだろうが! どんだけてめえはブラコンなんだよ!?」


「うわー、笑えるぅ! でもよかったー! これであのクソ生意気な解呪師さんにも、痛い目見せられたしぃ!」


「ですね! あの解呪師には、メチャクチャイラつかされましたもんね! かわいい妹さんに、かわりに罪をつぐなってもらいましょう!」


 オレたちは好き放題に、ハンター・ハルカをあざ笑った。

 いい気分だ!

 こんなにいい気分なのは、久々だぜ!


「あと少しで、この女は爆死する! そしたらオレは、晴れて自由の身――」


  

 パアアアアアアアアァァ!



 いきなり、まばゆい光があたりを包んだ。


「うおっ!?」


 何事かと、オレが混乱していると。

 光の中から、誰かが飛び出して――。



 バギイイイイイイィィ!



「ぷぎゃああああああぁぁ!?」


 顔面にパンチを受け、オレはブッ飛ばされた。


「えっ? えっ?」


「なっ……!?」


 シャル姉とツカサの、とまどう声が聞こえる。


「うぎぎ……ぎぎぎぎ……!」


 オレは顔を押さえながら、前を見ると。


「うぎぎ……ぎいっ!?」


 鎌を持った、黒マントを羽織った女がいた。

 剣を抜いた、赤毛の女がいた。

 斧を手にした、メイド服姿の女がいた。


 そして女たちの中心に。

 ヤツはいた。


「な……何でだよ……どうしてだよ……!」


 オレは全身を震わせ、絶叫する。


「どうしてテメエがここにいるんだよおおおおぉぉ!? マモル・フジタニいいいいいいいいいい!?」




ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


「おもしろかった!」「続きが気になる!」

と少しでも思っていただけましたら、大変お手数ではあるものの、

ちょっとだけ下の『☆☆☆☆☆』欄から、作品の応援をお願いいたします!


おもしろかったら星5つ『★★★★★』、つまらなかったら星1つ『★☆☆☆☆』

ストレートな評価が励みになります!


『ブックマークに追加』も『オレンジのボタン』からいただけますと、

本当にうれしいです!


それでは引き続き、次話もよろしくお願いいたします!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 神の使徒である勇者様に対してマモルやハルカがずっと迷惑ばかりかけ続けていてあまりにも不快です 勇者様が望むなら本来自ら進んで自分の命を差し出すくらいするべきだと思います また現在所持してい…
[一言] もう、あれですね。この勇者を人間だと思っちゃ駄目ですね。人間を●すと力を失うみたいだけど、ゴミは人間にカウントされませんからきっと大丈夫!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ