序
※本作品は『誰が為にケモノ泣く。』オリジナルverを新しく構築し直したリメイクVerとなります。
一部設定の変更や違和感のあった表現などを変えています。
――バァンッ
闇を貫く銃声。
一筋の光弾は真っすぐにフードを被った少年に伸びた。
着弾の衝撃で少年の身体がボールのように吹き飛ばされる。
床に倒れた少年の身体から大量の血が流れ落ち、たちまち闇の中に深紅の血溜まりを作り上げた。
「――あ、…あぁぁ」
ぴくりとも動かなくなった少年を前にして、もう一人の少年――制服姿の少年が放心状態で呻いた。
カシャリ――
その手に持っていた金属質のなにかが床に落ちて無機質な音を立てる。
先端から硝煙を立ち上らせているそれは――オートマチックの拳銃。
「き、――ゅう…?」
制服姿の少年は困惑の色を顔に張りつけたまま、倒れる少年へと力なく這い寄った。フードの少年の身体を揺すり、必死に声をかける。しかし、待ち焦がれる返事はいつまでも返ってこない。
すでに少年の体は触ることすら躊躇うような氷の冷たさになっていた。
「ウソだろ…なんで…そんなわけない。
死んでない。死んでるわけない!目を開けてくれ、返事してくれ!!」
自分の身体が血に汚れることもいとわず、ただ必死に声をかけ、無慈悲な現実に少年は混乱する。
頭ではわかっていた。すでに死んでいることは。
だが、心がそれを受け付けない。
自分が――殺した、などと。
「うぅ…あぁあああぁああああッ」
少年の嗚咽はやがて悲しみの叫びへと変わり、静と闇と死が満ちた世界に高く高く言霊した。