1-37 桔梗とラティアナ、お風呂に入る
ラティアナを抱っこしたまま、桔梗はお風呂場へと向かう。その間、ラティアナが何やら楽しげにニコニコとしている。
その姿を非常に微笑ましく思いながら、桔梗は腕の中のラティアナに声を掛ける。
「どうしたの、ラティ」
ラティアナは腕をブンブンと振りながら、抑えきれない自分の気持ちを一生懸命に伝える。
「あのね、ごしゅじんたまとおふろいっしょなの、ひさしぶりだからうれしい!」
「あぁ、確かにそうか」
思い返せば、こちらの世界に来てからはラティアナのお風呂の世話は少女達が率先してやってくれていた。その為、桔梗がラティアナと共にお風呂に入るのは、転移前合わせて2週間ぶり程度になる。
確かに一時期毎日の様に一緒に入っていた事を考えれば、2週間という期間はかなり久しぶりとなるのかもしれない。
と、そんな事を考えていると、遂に洗面所に到着。中に入り扉を閉めると、早速ラティアナの服を脱がしにかかる。
「ラティ、バンザイしようか」
「うん!」
桔梗の言葉にラティアナはうんと頷くと、両手をグッと上に上げる。
それを確認した桔梗が、ワンピースをスポンと抜く。
「んー……っぱぁ」
これにより、外界に白磁の様な真白い肌が晒される。
後は下着も脱がせてあげれば、見事スッポンポンになったラティアナの完成である。
「よし」
「ごしゅじんたま、おふろいっていーい?」
「ちょっとだけ待ってねー」
言葉の後、桔梗も手早く服を脱ぐ。
「よし、行こうか」
「いこー!」
元気な声の後、2人は浴室へと入る。入ってすぐに、まずは身体を綺麗にする事に。
「ラティ、ここ座ってー」
「はーい!」
元気の良い返事の後、ラティアナは桔梗に背を向け風呂椅子に座る。
「さ、頭洗うよー」
桔梗がそう言うと、ラティアナはぎゅっと目を瞑る。その姿を確認した後、彼女の髪をシャワーで濡らしていく。
そしてある程度濡れた所で、桔梗はシャンプーを適量手に取ると、優しくラティアナの髪に指を通す。
桔梗の手がラティアナの髪を滑る度に、彼女が気持ち良さげに目を細める。
こうして洗っていくと、ラティアナの髪が泡で徐々に体積を増していく。そして遂に、彼女の髪がソフトクリームの様になった所で、シャワーを使い泡を流していく事にした。
「頭流すから、また目をぎゅっとしようねー」
「ん!」
桔梗の言葉に、ラティアナは力強く目を瞑り、顔にぎゅっとシワが寄る。
そんな姿でさえも、妖精の名に恥じぬ程に可愛いのだから、ラティアナは最強である。
シャワーで泡を流していく。
「ラティ、目痛くない?」
「だいじょうぶ!」
「よし、じゃ身体洗うよー」
「はーい!」
柔らかいボディタオルにボディソープを付け泡立てた後、ラティアナの小さな背中からボディタオルを滑らせていく。
そして優しく一通り洗った所で、全身を流し、これにて完了である。
という事で、ラティアナをお湯に浸からせ、自身の身体を洗おうと考えていると、ここでラティアナが、
「らてぃも、ごしゅじんたまあらう!」
と言い出す。今までそんな事は無かった為、何となく大丈夫かなと思う。
しかし、彼女の要求は基本的に満たしてあげたいと考えている為、桔梗は小さく微笑むと、
「ほんと? じゃあお願いしようかな」
「うん!」
ラティアナはその小さな手にボディタオルを持つと、力強く頷いた。
小出しで申し訳ないです。