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1-29 放課後、偶然?の遭遇

小出しで申し訳無いです。

 特にこれといったハプニングも無く、午後の授業も終わり放課後。

 いつもの如く連絡やら何やらを終え、帰りの挨拶をすると、すぐに彩姫が立ち上がり、忙しげに教室を出て行く。


 恐らく仕事関連で何かしらの用事があるのだろう。


 そんな彩姫の姿を「相変わらず大変そうだな」と思いつつ、じっと見つめる桔梗であったが、彼自身別に教室に長居する理由も無く、また面倒な絡みは極力避けたかった為、柚菜と有紗からの「また明日」という声に返答した後、すぐに教室を出た。


 確かに絡まれては面倒であると素早い帰宅を選択したが、これに関しては決してこの日に限った話ではなく、まったくもっていつも通りであった。部活に入っていない桔梗には、学校に残る理由など無いのである。


 昇降口に向かって歩く。


 するとこれから部活なのか、複数人で集まりワイワイと楽しそうにする者達とすれ違う。

 その姿が少し羨ましくもあるが、今の自分が部活に入れば間違いなく調和を乱す事になると理解している為、その感情は奥へと押しやる。


 昇降口に到着すると同時に靴を履く。そして喧騒の中を歩き、正門から学外へと出ようとすると──


「あ、桔梗君」


 ここで遠方から桔梗の名を呼ぶ声が聞こえてくる。声音で誰かは理解しながらもそちらへと視線を向けると、そこには小動物の様な可愛らしい少女が立っていた。


「……春町さん」


 小さく控えめに手を振る彼女。勿論拒絶する理由などない為、微笑みながら手を振り返すと、唯香は周囲をキョロキョロと見回した後、こちらへと寄ってくる。


「彩姫ちゃんは?」


「仕事の都合で早々に帰ったよ」


 言って、ショートホームルーム時に何気無く窓の外を見た際、正門付近に黒いリムジンが止まっていたのを思い出す。


 ……恐らく沙織さんが迎えに来たのだろう。


「そっかぁ。彩姫ちゃんは相変わらず大変そうだなぁ」


 唯香は少しだけ寂しそうに俯く。そのまま少し間を置いて顔を上げると、


「桔梗君は今から帰り……だよね?」


「うん、何の部活も入っていないから」


「そっか。……私も今日部活休みでさ、桔梗君がもしよかったらなんだけど」


 言って少し躊躇う様に目線を揺らした後、見上げるように桔梗へと視線を向け、


「……一緒に帰っても良い?」


「勿論良いけど、方向同じ?」


「──あ、確かに」


 ハッとする唯香。


「あれ、考慮してなかったんだ」


「う、うん。ちょっと先走り過ぎちゃったみたい」


 言ってアハハと苦笑いをした後、唯香が方向を示す。……どうやら偶々一緒の様だ。


「同じ方向だね。……うん、それじゃ一緒に帰ろうか」


「うん」


 という事で、桔梗は急遽、唯香と一緒に帰る事となった。

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