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まいったね、こりゃ 1-5

 第5章 (なぎ)の時間


 ランクアップした俺達の紹介をしていくよ~。え?暫く先になる?あれは嘘だ。


【艦種:ミーナ級戦艦】【艦名:ミーナ】

LV:1/75 装備重量40000/45000 HP:5000 MP:4500 攻撃力:12000 防御力:10000 速度:35ノット

固有スキル:エネルギー転換システム、物質転換システム、レーダー能力上昇【大】、レーダー逆探知システム上昇【中】、鑑定9、立体機動上昇【中】、ダメージ軽減上昇【中】、艦隊指示、艦隊運動、艦載機指示、人心掌握(New!)

スキル:全門斉射、連続発射、立体機動、一撃離脱、ダメージ軽減、広範囲索敵、ダメージ・コントロール、ステルスモード(New!)

固定武装:100cm単裝レーザー砲×2(New!) 80cm3連装レーザー砲×12(New!) 20.3cm3連装両用レールガン×20(New!) VLS×128セル 4連装ガトリング砲×60 電磁フィールドⅣ 航宙機×45

居住区:司令室Ⅳ(New!)、第二艦橋(New!)、統合火器管制室Ⅱ(New!)、対空迎撃室、対艦迎撃室、レーダー哨戒室Ⅲ、全天観測室(New!)、乗員船室Ⅳ×2(New!)、艦長室(New!)、全天展望室(New!)、メインクルー食堂(New!)、食堂Ⅲ(New!)、医務室Ⅲ(New!)、機関室Ⅲ、保安局Ⅲ(New!)、主計局、シップショップ、自然ドーム、貨物室Ⅳ×2(New!)、研究室Ⅲ(New!)、整備室Ⅲ(New!)、格納庫Ⅲ(New!)、研究ラボ(New!)、解析室(New!)、スポーツドーム(New!)、作戦室(New!)

【研究ポイント:1000】

【補足】

 新技術をふんだんに投入した新型戦艦。火力やエンジンはエネルギー効率が良いシステムに換装、装甲は小惑星の直撃を受けてもびくともしない物にした。そのため、通常の戦艦の5~6倍の価格はするものの、通常の戦艦4,5隻とガチンコで戦える。


【艦種:ミーナ級戦艦】【艦名:ティア】

LV:1/75 装備重量40000/45000 HP:5000 MP:4500 攻撃力:12000 防御力:10000 速度:35ノット

固定武装:100cm単裝レーザー砲×2(New!) 80cm3連装レーザー砲×12(New!) 20.3cm3連装両用レールガン×20(New!) VLS×128セル 4連装ガトリング砲×60 電磁フィールドⅣ 航宙機×45

居住区:貨物室Ⅳ×5、整備室Ⅲ、格納庫Ⅲ

【補足】

 同上


【艦種:インテグラSG級巡洋艦】【1番艦:インテグラ】【1~10番艦まで建造】

LV:1/50 装備重量25000/30000 HP:2000 MP:1400 攻撃力:10000 防御力:9000 速度:45ノット

固定武装:80cm単裝レーザー砲×4 51cm3連装レーザー砲×16 20.3㎝3連装両用レーザー砲×20 VLS×96セル 4連装ガトリング砲×30 艦宙機×30

居住区:格納庫Ⅱ、整備室Ⅱ、貨物室Ⅲ×4

【補足】

 長らく艦隊旗艦であった巡洋艦のデータを元に、大幅に強化した巡洋艦。元々の武装であった80cm単装レーザー砲を倍増した他、装甲もミーナ級戦艦に搭載されているものを採用した。そのため、かなりの重量増加が起こったがそれに対応するためにエンジンを過剰強化した結果、巡洋艦なのに45ノットという驚異的の速度を得た。


【艦種:センチュリオン級大型砲艦】【艦名:センチュリオン】

LV:1/90 装備重量60000/60000 HP:4000 MP:20000 攻撃力:80000 防御力:70000 速度:35ノット

固定武装:2000cm単装レーザー砲×4 1000cm単裝レーザー砲×4 80㎝3連装レーザー砲×36 20.3cm3連装両用レーザー砲×128 4連装ガトリング砲×640

【補足】

 砲艦の一つの最終形態。複数の大型単装レーザー砲を運用したい、という要望でやらかしてしまった最終兵器。コアとなる船体を中心にして、その周囲に大小のレーザー砲が複数の供給ラインを兼ねた支柱によって支えられている状態。砲身があまりにも大きいため、支柱や砲身を伸縮できるシステムがこの艦に備わっている。


【艦種:エストックSG級駆逐艦】【1番艦:エストック】【1~25番艦まで建造】

LV:1/25 装備重量12000/14000 HP:1050 MP:800 攻撃力:2500 防御力:2000 速度:45ノット

固定武装:20.3cm3連装レーザー砲×10 15.5㎝3連装両用レーザー砲×12 VLS×96セル 4連装ガトリング砲×24 艦宙機×30

居住区:格納庫Ⅱ、整備室Ⅱ、貨物室Ⅲ×2

【補足】

 インテグラSG級駆逐艦を多少、手直しして強化した駆逐艦。手直しした部分としては、それまで独自開発だったレーザー砲や装甲板、システムなどを一般的なものを流用したことにより、大幅なコストダウンしたことである。そうした中でも武装を強化してあるため、集団でかかれば戦艦を撃破可能。


【機種:グラウG】【艦宙機】

LV:1/1 装備重量120/120 HP:100 MP:80 攻撃力:120 防御力:100 速度:300ノット

固定武装:ガトリング砲×2 各種ミサイル最大で8発

【補足】

 対空・対艦用艦宙機として開発された。少ない数で一定の宙域をカバーするため、航続距離は長い。


【機種:ゼナS】【変形型艦宙機】

LV:1/1 装備重量150/150 HP:120 MP:100 攻撃力:140 防御力:100 速度:300ノット

固定武装:ガトリング砲×2 対空ミサイル最大で10発 コンバット・スペース・ナイフ(CSN)×2

【補足】

 主に対空用として改造された艦宙機。元々はグラウGと同じ設計図だったが、研究者同士の折り合いが付かず、2つの艦宙機になった。この機体の最大の特徴は、人の形に変形できるため、人の感覚に近い動きで行動できる。装備を変えれば、掘削用のマシンになる。


 うーむ、こうしてみると盛大にやり過ぎた感がある。特にセンチュリオン。

 何だよ、最終形態って。最終作から十数年ぶりに復活したゴ◯ラか、ってツッコミたくなる。てか、でかすぎだろ。弾の太さが20mのレーザー砲の砲身だけで、800mあるんですが。あのクソ領主の巡洋艦を彷彿とさせるが、あれよりタチが悪い。

 あの巡洋艦は、弾の太さが10mのレーザー砲を1門動かすのに苦労していたのに、こっちのは同じものを搭載したら、12門同時に使うことができるやつだぞ。研究者達と一緒に作っといてなんだが、絶対におかしい。普通に戦場で敵として遭遇したら、普通の奴らは速攻で逃げ出してるよ。

 だがそれでも、俺の所では資金が不足している、という訳ではない。あの領主との戦闘の後で拾ったお金がまだ、半分以上あるからだ。

 理由としては実は100万G、そのまま日本円にすると意外と低い額に見えるのだが、この世界での100万Gというお金は、普通の戦艦を100隻買っても余るほどの大金なのだ。

 つまり、戦艦50隻ほどの大金を使って、全く新しい砲艦を作り上げたのだ。まさにチート。ゲームで、課金厨が上位を占めていた理由がわかったぜ。ものすごい快感だ。通常のルートではまだ出て来ないアイテムを、裏技を使って強引に引き出した感じだ。

 このまま気を抜くと、癖になっちまいそうだから気を付けないと。


 あっ、そうだ。


 俺の艦種が戦艦になったから、艦隊に含める艦が40隻に増えたんだった。そのため、インテグラ達のランクアップと同時に新しく駆逐艦の設計を行った。新しく、と言ってもインテグラ達のデータからわかった欠点を、手直しした上で武装強化に走ったからかなり強くなっているはずだ。

 その点、インテグラ達が羨ましがっていたが、そのシステムを艦隊で行えるネットワークにアップロードしておいたから、彼女たちも一層強くなるはずだ。

 その反面、新しい駆逐艦は独自に開発して購入したことになってるため、管理局のAIに書類を提出したり、乗員の規模が800人から1500人になったため、不足分の確保をしたり、とこの一週間は何かと忙しかった。それが一段落した後で・・・。

「あの、艦長。今、時間をもらってもよろしいですか?」

 タイミングよく、ネコ耳保安局長のチハが、俺に相談してきた。

「あぁ、いいよ。必要な仕事は粗方終わったしね」

「実は、紹介したい人がいるんです」

「紹介したい人?」

「ええ。元は参謀として戦闘艦に乗っていたんですが、とある理由で艦を降りなければならなくなったそうで・・・」

「その人を助けてほしい、と?」

「はい。できれば、この艦でも参謀として雇ってほしい、と思っているんです」

「うーん、参謀って言っても程度によるなぁ・・・」

 いい人材は多い方が今後、様々な状況に対応できるのだが、一つ問題がある。

 それは部署の兼ね合い。

 実際問題、俺達の艦隊は急成長でここまで来たため、人材はどの部署も不足していて、ギレンやカレンなどそれぞれの部署のトップはオーバーワークになりかけていた。その上、人材になるかどうかの人物を艦に乗せるとどうなるか。

 それはもう、上から下までてんやわんやになるのは必死。だから俺は渋っていた。

 だが、ここで渋っていても仕方ないから、俺はその人物に会うことにした。

「まぁ、艦隊に役立つかどうかは俺が決めるからひとまず、会いに行きましょう」

「実は・・・」

「ん?」

「もう、連れてきてるんです」

「ハァ?」

 唐突過ぎて、変な顔になっちゃった。えーと。

「もう連れてきてるの?」

「はい」

「報告も入れないで?」

「・・・はい」

「携帯型の通信機、渡してましたよね?」

「すみません!どうしても放っておけなくて!」

「・・・」

 まじかよ。ここまで大胆にやるとは思ってなかったぜ・・・。

「まぁ、いいです。で、その人物は?」

「・・・ルナ、入ってきて」

 チハがそう言うと、チハと同じネコ耳をした少女が入ってきた。特徴としては、チハが黒のストレート髪をしていて、その少女は栗色の髪をお団子にしてまとめていてメガネをしている、というぐらいか。

「あ、あの・・・」

 かなり焦っているのだろう、なかなか自分の意見を言えないでいる。

「まずは深呼吸ですよ、お嬢さん」

「は、はい!」

 そう言うと、彼女は深呼吸をして徐々に落ち着いていった。

「落ち着きました?」

「はい・・・」

 大分落ち着いたのは見て取れるが、それでも自分の境遇を思い出して落ち込んでいるようだ。

「君については大まかにですが、チハから聞いています。ですので、こっちの質問に答えてくれればいいですよ」

「・・・はい」

 落ち込んでいるが、同情はしない。安い同情は今の俺達にも、そして彼女たちにも役に立たない。だったら、さっさと質疑応答をして明確な判断を下したい。

「君は参謀として、戦闘艦に乗っていた」

「はい」

「しかし、とある理由で艦を降りた」

「はい」

「その君は、参謀以外の”何”を俺達に見せてくれる?」

「・・・え?」

 そう、今の俺達には色んな分野の人に助言をして手伝える人がほしい。参謀、という戦闘に関係することしかできない奴は、今の俺達にはいらない。そういった意図を示すために、さっきの質問にそれを乗せた。それにメーリンとポプリも、実は参謀なのだが同じような理由で、それぞれの分野を中心に色んな人に助言やアドバイスなどをしている。

 その意図を汲み取った彼女は、俯いてしまった。

「それは・・・わかりません。この艦隊がどういったシステムで動いているか、私にはさっぱりわからないからです。しかし!」

 そういって、しっかりと俺を見据える。

「私は、私にしかできない方法でお手伝いします!だから、お願いします!」

「・・・俺達の艦隊に乗ったことで、自分が苦手な出来事に遭遇して乗らなければよかった、なんて言い出したりしないよな?」

「はい、覚悟の上です」

 彼女を見ると、決意に満ちた顔だ。これはそうそう、揺らぎそうにないな。

「よし、乗っていいぞ」

「!?いいんですか!?」

「あぁ、ただし、しっかりと働いてもらうぞ、いいな」

「はい!」

 俺は、乗艦許可を出すとルナはチハと一緒に喜びあった。それが一段落して、彼女を得手不得手などを聞き出すとすぐに決めた。

「早速だが、船務科に配属してもらう。言わば、艦の運営に関する事だが、君の柔軟性ならなんとかなるだろう」

「わかりました。よろしくお願いします!」

「おう」

 そう言って彼女たちが立ち去ろうとする所で、俺は一つ思い出して呼び止めた。

「あ、そうだ。チハ!」

「は、はい!」

「上司に報告しないで乗艦させたことの罰則で、ルナにこの艦の1から10まで教えてやれ!」

「はい!」

「それとルナ!」

「は、はい!」

「これは携帯型通信機だ!使い方はチハに聞け!」

「はい!」

 チハや他のメンバーが使っているのと、同じやつをルナに渡すとそそくさと彼女たちは艦橋から出ていった。これで俺も仕事が増えるな。

 やったねミーナ、仕事が増えるよ! おいバカやめろ。

 そう一人ノリツッコミをしながら、すべての部署にメンバーがひとり増える、とメールした。そうすると来るわ来るわ、返信の嵐。その一部をあげると。

『何?参謀が来た?そんなことより人材、くれ!by航海科』『船務科だと?ふざけんな!主計科に回せ!』『機関科にも人を回してほしいのぅ』『今来たんだが、モノホンのネコ耳か?ネコ耳なのか!?』『イイなー、整備科にも回してほちぃ』『改造できるんだったら何でもいい』『何言ってやがるマッド野郎!チハたん、かわいそうやろ!』『殴り合いの喧嘩にならなければいいんじゃが』『はよぉ、ケモミミはよぉ』などなど。まさにカオスな状態だな。そういうところが俺達のいい所なんだが。

 それはともかく。提出書類に関してはいいとして、各部署の調整が大変だな。一歩間違えると、後ろから機関銃の弾が嵐のようにくるぜ。暫くは残業ですかね。こんな事なら人事部でも作っておくばよかったぜ。


 そんな出来事から1週間後、各部署も一通り落ち着いた時に俺達は出港した。

「いや~、楽できていいですね~」

「航海科はそうかもしれんが、砲雷科は暇だぜ~」

『艦宙機も出番がなくて暇だな~』

『旗艦直衛艦隊はそんなものでしょう』

「そんなこと言ってもな、ティアちゃんよ~。俺っちは腕が鈍っちまうぜ~」

『そんな事でしたら、前線の駆逐艦にでも乗艦したらいいんじゃないかしら?砲雷長?』

「それはお断りッス!」

『あら残念』

「「「ハハハハハ!」」」


 暇になったのは、艦の数が増えたために艦隊数を増やしたのが原因だった。艦隊数は全部で7つ。まず、旗艦直衛艦隊で俺も含めた艦の数は14隻。空母アメリアや大型砲艦センチュリオン、工作艦のクルリを含め、巡洋艦4隻、駆逐艦6隻で構成させている。

 上下左右前後に展開している艦隊は少し変則的で、上下左右の艦隊は巡洋艦を艦隊旗艦として、駆逐艦と組み合わせて4隻ずつ。前後の艦隊は5隻ずつ。先頭を行く艦隊はティアを筆頭に巡洋艦1隻、駆逐艦3隻になっている。後ろから付いてくる艦隊は巡洋艦1隻に駆逐艦4隻、という配置だ。

 直衛艦隊以外の艦隊は単縦陣を敷いているため、作戦が柔軟に行えるのと、何かしらのアクシデントや敵との遭遇戦ですぐに戦えるようにした結果だ。

 なぜここまでするかというと、余計な命の危機から回避するためと海上や陸上とは違い、常に周囲360度を警戒しないといけないからだ。そのため、一番フォーマルな陣形に落ち着いたって訳。


 そんな中、俺達がいる宙域を貨物の運搬を並行しながら航行していくと・・・。

「艦長!ベレッタ艦隊が敵艦隊を補足しました!」

「全艦第1種警戒態勢!」

『ベレッタ!艦種と敵艦隊の動き、わかる!?』

『クラウン級巡洋艦1、レベッカ級駆逐感4。敵艦隊は完全にこちらを補足。戦闘態勢に入っている模様』

「ベレッタ艦隊は実力行使で敵艦隊を札束にしてくれ!全艦、第1種戦闘配置!」

 そういうと艦内にサイレンが鳴り響き、戦闘モードの為、艦橋は暗くなった。

「こんな小艦隊で迷わず攻撃してくることはない!カレン、レーダーに反応はないか!」

「後方より新たな艦隊を捕捉!その数・・・っ!60隻です!」

「艦宙機は全機発艦!我が艦隊は、敵艦隊とT字になるように向きを変える!」

「取舵90度!」

「取舵90度、ヨーソロー!」

『まるで罠にかけたようだな!俺はどうすればいい?』

「敵が散らばって攻撃してくると面倒だ!すまんが、小さい方の主砲で頼む!」

『わかったー!』

「!艦長、敵艦より通信です!」

「繋いでくれ」

 俺が繋ぐように指示すると、通信用のホログラムが出てきた。そのホログラムを見ると、如何にも小物の海賊臭がする。

『君が艦長かね?』

「艦長のミーナだ。そういうあんたは誰だい?」

『私はスカーレル海賊団の幹部、ディエゴだ』

 なんでこう、海賊って上から目線と口調なんだろうか?まぁ、疑問に思っても口に出さないが。

「はじめましてディエゴさん。それでなんですか?急に戦闘、ふっかけてきて」

『私達はてっきり、大規模な輸送船団かと思っていたのだ。しかし、よくよく見ると君たち、噂の艦隊じゃないか』

「噂の艦隊?」

『そうだ。海賊船を見ると、戦利品に限らず船やそれ以外のものも略奪し尽くす。そういう噂で持ちきりだぞ?君たちの艦隊は?』

「そいつはどーも。それで?さっきからあんたらの艦隊に話がつながってないが?」

『実は、その多くの海賊船は私達の海賊船なのだ』

「ほう」

『数が減ったため、こちらの台所は火の車で降格の嵐が吹き荒れたものだ。そのため、幹部が大分減って寂しくなったぞ』

「そいつは災難でしたね」

 あたかも他人事のように接したため、頭にきたようだ。

『~~~~~~っ、覚えておれ!必ずや貴艦隊を撃破してそのふざけた口を利けなくしてやる!‹ブツッ›』

「通信、一方的に切れました」

 あららら、機嫌を損ねちまったか。てか、そうたやすく撃破する、なんて言ったら負けフラグじゃないかな。それに、デブリにするよりまるごと売り払ったほうが高くなるから、そうしてるんですがねぇ。

「艦長」

「ん?なんだい?カレン」

「時折、物凄く他人行儀になる」

「営業用の顔だと思って堪忍してくれ」

「かんにん?」

「・・・まぁいいや、それより」

 カレンが頭の上に、はてなマークを幾つか浮かべているのを放っといて。

「戦闘準備、出来てる?」

「いつでもオッケー!」

「最大出力は3分保証するぞ!」

「射撃管制システム、いつでもどうぞ」

「全艦、配置に異常なし!」

『マスター、ご指示を』

「全艦、主砲を3斉射した後、自由射撃で各個撃破せよ!」

「「「「『了解!』」」」」


 戦闘は圧倒的にこっちに有利だった。艦宙機によって、何らかのダメージを負っている艦が多かったし、常に敵の頭を取っているから撃てるビームの数が多かった。その上、1隻あたりに積んであるレーザー砲の数が異常に多いことも関係して、一時間後には戦闘不能になっている艦だけになった。

 無論、こちらもある程度の損害が出たものの、全員小破止まりだった。


 そのため、こちらから通信をかけるとすぐにディエゴが出てきた。

「さて、ディエゴさん。まだ戦いますか?」

『ぐぬぬ・・・』

「降参するんだったら、命だけは保証しましょう。そうでなければ、全滅するまで攻撃を加えますが?」

「・・・わかった、降参しよう・・・」

「話が早くて助かるよ。ギレン!」

『うっす!剥ぎ取りタイムっすね!』

「お願いしますー」

『うぅっ、負けるのがここまで屈辱だとは!くっ、殺せ!』

「殺しませんよー?聞きたい事もたくさんありますしねー」

 初めからいるクルーは見慣れているが、最近入ってきたクルーの多くは(艦長はドSだ!逆らわないようにしよう!)、と思ったのだった。一部のクルーは、その口調で踏んでくれ!、と思ったらしいが気にしないでおこう。

 それはさておき、流石に65隻分の乗員を捕虜にした事なんて今までになかったため、貨物を乗せていなかった駆逐艦にすし詰めで押し込んだ。それでも15隻分が満杯になったから、その人達から巻き上げた私物や貴重品で、この戦闘で消費した分のお金は返ってくるはずだ。

 どこからか恨めしい声が聞こえてくる気がするが、駆逐艦たちもインテグラ達同様、自律型AIを積んであるため、乗っ取られたりはしない。使えそうな艦艇は全員で牽引するという事で・・・。

「ウォルフ、ここから近い惑星は?」

「惑星グラウシアです」

「よし、グラウシアに舵を切れ」

「グラウシアに舵を切ります!進路・・・」

 なんで一番近い惑星に舵を切ったかって?流石にこんな大荷物を運んでいたら、目立って仕方ない上、戦闘に支障が出るからだよ。だって、1隻あたり1,2隻を牽引してるんだよ?流石にクルーたちも大変だしね。


 その道中で、ラルフのエルメッツァ軍所属のオレムス艦隊に遭遇した。エルメッツァ軍というのは、少マゼラン王国の一番大きい領地を持つ領主の軍である。その領主が支配している惑星ラルフから来たのが、オムレス艦隊だということだ。

 領主が持っているとはいえ、正規軍なので戦艦を多数配置しているため、戦闘になったら今の俺達の艦隊では少なからずの損害が出るだろう。それでも勝てなくはないが、コスト面で割に合わないからここは穏便に行こう。

『オムレス艦隊の司令、オムレスだ』

「艦長のミーナです」

『早速で悪いが、その牽引している軍艦は?』

「スカーレル海賊団の幹部とやり合いましてね」

『何!?それで勝った、というのか!?』

「えぇ、奴さん、かなり舐めてかかって来たのか、随分と簡単に倒せましたよ」

『そ、そうか。で、では、その幹部は生きているのか?』

「えぇ、まだ生きていますよ。名前は確か、ディエゴって言ってました」

『何!?』

 幹部の名前を聞いたら、オムレス司令はかなり焦ったようで10分以上、他の所に指示を仰いでいた。

『待たせてすまなかった』

「いえいえ、気にしてませんよ」

『そうか。できれば、そのディエゴとかいう奴をこっちに引き渡してもらえないだろうか?』

「それはちょっと、難しいですね」

『なぜ?』

「他の海賊クルーと一緒に、貨物室に詰め込んでますからねぇ。すぐには無理です」

『なら、我が艦隊と共にラルフまで来てもらえないだろうか?』

「行くとしても、対価がほしいですね」

『・・・何が望みだ?』

「ある程度のお金と、何かしらの設計図、でどうでしょう」

『わかった、それで手を打とう』

「じゃあ、ついていきますよ」

 そう言って、通信を切った。すると、艦橋クルーが聞いてきた。

「艦長、これでよかったんですか?」

「なにが?」

「絶対、軍の方から注文を受けるぜ」

「確かに海賊とはいえ、スカーレル、というとかなりの規模の海賊です。その幹部を殺さずに捕えた、となれば敵味方問わず、多少の目がつきます」

「確かにね。しかし、だ。ただでさえ、ある程度の規模の艦隊を持っている以上、目立つは確定的に明らかな訳で、それを隠せないのであればどこかの組織と、ある程度の関係は持っておくべきだと思う」

「確かにそうですが・・・」

「それに、身に合わない注文なら否応なく断るつもりだ」

「・・・艦長だけでは不安なので、軍からの注文の時は私もついていきましょう」

「え?」

「そいつはいい!サナダさん、お願いします」

 サナダの提案に、ミッチャーを始めとする艦橋クルーが全員、賛成した。俺って、どんな風に見られてるんだろう。


~~~~~~


 惑星ラルフ 軍基地前


 はいはい、あのオムレスとかいう軍人がいる軍基地前にサナダと一緒にやってきましたよ~っと。

 いやはや、あの戦闘から移動に2日、ディエゴを含めた捕虜を軍に引き渡すのに1日。合計3日分、かかってしまった。

 まぁそれでも、艦隊で使われているオリジナルの部品の修理代を引いた分のお金と、今までになかったモジュールや軍艦、艦宙機などの設計図をもらえたから良しとしよう。技術班のメンバーが大喜びで、魔改造するための準備に取り掛かっていたし。

 一方、宇宙で一般的に使われている部品に関しては無料でもらえるので、荷物を卸したり、艦隊に乗せるために主計課の方で頑張ってもらう。

 そんな訳で、守衛と話をする。

「あの、オムレスっていう軍人さんから来るように言われた者ですが」

「話は聞いています。中へお入りください」

 あっさりと入れてしまった。どうやら仕事はできる人らしい。案内された部屋に行くと、ホログラムにでてきた人がいた。本物を見るとやっぱり、生粋の軍人だということがよく分かる。

「うむ、来たか」

「先日はどうも」

「では、自己紹介から行くか。私はエルメッツァ軍所属のオムレス2等宙佐だ」

「私は艦長のミーナだ。こっちは副長のサナダです」

「サナダです」

「ふむ・・・」

「?」

 自己紹介が済むと、オムレスは俺のことをジロジロと見てきた。あらやだ、顔になんかついてるのかな?だったら、多少化粧でもしてくればよかったぜ。

「若いな・・・」

「へ?」

「あっ、いや。侮辱した訳ではなく、あの艦隊の指揮官はもっとこう、歴戦の戦士かと思っていたからな」

「生憎、艦隊を結成した時に私が艦長になったもんでね」

「そ、そうか・・・」

 なんやろか。ははーん、わかったぞ。先日の通信で出てきたのが、副官か何かだと認識してたんだな。それなら納得がいく。それでなければ一目惚れとかだろうか。中年のおっさんなのに青春真っ只中とか、やめてくれよぉ。中身は一応、男だし。

 その後、あの海賊たちはどうするか、とか報酬はあれでよかったのか、などの話をした後でオムレス宙佐はこう質問した。

「君たちは軍に参加しないのか?」

 オムレス宙佐が言わんとすることはわかる。軍やどこかの組織にに入れば、安定した収入や場合によっては土地を得られる。それを捨ててまで、どうして宇宙に行くのか?と。

「今の所、ないですねー。地上での束縛を嫌って宇宙に出たやつがほとんどなので」

 そう、前にも言ったが命を捨ててでも宇宙に行きたい、て奴らと俺は出会ってしまった。どうして俺なのか、とは思わない。俺は彼らに衣食住を与え、彼らが活躍できる場所を提供する軍艦として生まれた。ならば、迷っている場合ではないだろう。

 そういった思いで、即答することができた。隣ではサナダがうれしそうに微笑んでいるから、あながち間違いではないだろう。

「・・・そうか。なら、引き止める資格はないな。長引かせてすまなかった」

「いえいえ、お気になさらずに。運があれば、いずれ会いましょう」

「あぁ、達者でな」

 そういって俺たちはみんなが待っている艦隊に、オムレス宙佐は軍の事務仕事に戻っていった。


「軍に誘われた時は少々、焦りました」

「君は俺を何だと思っているのかね」

 衛星軌道にある宇宙港に戻るために、高速エレベーターに乗っている間にサナダがほっとした様子だったので、ついジト目になってしまった。

「やや押しに弱い、自由気ままなドS艦長、というのを誰かから聞きました」

「その”誰か”が聞きたいんですがねぇ」

「どうするおつもりで?」

「盛大にとっちめてやろうとね、ククク」

 そうやって悪役っぽい笑顔になると、ドン引きされてしまった。殺生な、ちょっと”お仕置き”するだけですよ~。


「ふぅ、やっぱりこの席が一番落ち着くな」

 やはり軍の席ではなく、俺自身の艦長席が一番落ち着くのは気のせいじゃないだろう。それは、使い慣れているベットに入るような感覚、といえばわかるだろうか。

「カカカ、軍に誘われたんだってな」

「む?話が早いな」

 艦長の席で、まったりしている俺に話しかけてきたのはギレンだった。

「知り合いに口が軽いやつがいてね。そいつからのリークだ」

「ギレンに気兼ねなく話せるのってそうそういないはずだが・・・。てかその話、ついさっきだぞ。て事は・・・」

「さ~てね。誰のかとやら」

「サナダぁ!」

 俺の呼びかけにすぐに出たが、周りに人が集まっていた。どうやら、かなり口が軽いらしい。

『何でしょう、艦長』

「お前、今月から3か月の給料、半減ね」

『な、なぜでしょう(汗』

「理由は言わなくてもわかるよな。話はヴァレリに通しておくから」

『あぁん、ひどぅい!』

 マッドの悲鳴はスルーして、ヴァレリにそうするように命令を下した。はぁ、やれやれ。口が軽いのが副長とは大丈夫なのかね、この艦は。俺も人の事、言えないけどさー。


 サナダの3か月分の給料が半減した日から3日後、俺達は遅れている日数分を稼ごうと、巡航速度よりやや早く航行していた。約1週間前に、スカーレル海賊の幹部をひっ捕らえたことによって並の海賊船はすぐに逃げ出してしまう。

 まぁ、簡単には逃がさないがそれでも、直衛艦隊まで来ないため、時よりひっ捕らえてきた海賊船をこちらで牽引するぐらいで比較的、安定していった。そんな中、珍しくサティが来た。

「ちょっといいかしら?」

「サティか。珍しいな、艦長室に来るなんて」

「わ、悪いか?」

「大丈夫だ、問題ない。で、何の用だ?」

「・・・あなたって、時よりおかしな事を言うのよね」

「これでもネタ振りに頑張ってるんですがねぇ」

 さっきのやつも、「そんな装備で大丈夫か?」で有名な某堕天使の返事を真似るために力んだのだが、あまり受けが良くなかったようだ。ネタ振りも、けっこう大変です。

「あ、そうそう。ここに来た本当の理由は、これを見てもらうためよ」

「これは?」

 そう言ってサティから受け取ったのは、ルービック・キューブ大の四角い箱だった。

「それは亡き父親からもらったものなのよ。何やら大事なものらしくて」

「内容までは聞いてなかった?」

「うたた寝半分で聞いていたから、あまり覚えていないのよ。よく、大事なものだ!って力説してたけど」

「うーん、表面はすべすべ、中に液体や物体は無し。それに結構、軽いですねぇ」

 本当に、表現に困る箱だった。見た目的には、金属でできているように見えるがその割には軽すぎる。かと言って、木製の箱に塗料を塗った感じではない。

「うーん、情報が少なすぎますねぇ。何か些細な事でも思い出せますかね?」

「後は・・・あっ、そうそう。伝説級のものだとも行っていたような気がするわ」

「伝説級って、まさか・・・」

「おーい、艦長~。新しい計画案ができたから読んでくだちぃ、って、あーー!」

 ギレン、艦長室にノック無しで入ってくるなし。

「「パンドラ!」」

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