まいったね、こりゃ 1-11
新年早々ですが、このパートで終わらせてもらいます。
理由としては、ネタ切れです、はい。
それはともかく、話の展開が個人的にしんどくなってきたので不完全燃焼気味ではありますが、最終章という形を持って終わらせてもらう所存でございます。
決して、家の都合とかではないのであしからず。
そんな訳ですので、拙いながらも処女作品であったこの小説にブックマークしてくださった方々や読んでくださった方々に感謝の極みです。
ではでは始まりますよ~
最終章 来たるべく戦闘に備えて
オムレス宙佐達がいる惑星についたその日、白鯨艦隊から少マゼラン王国に引き渡された夜の女王と呼ばれたサマラと打ち上げ屋のトスカは、特殊な輸送艦で要塞惑星ミルヒクーに護送されていった。
「本当に良かったんですかね、アレで」
宇宙港から離れていく輸送船をユーリと見ていると、彼が心配そうにつぶやいた。
「あーでもしないと計画がバレちまうよ、ユーリ艦長」
「しかし・・・!」
「大丈夫だ、ユーリ艦長。なんだって夜の女王に打ち上げ屋のトスカだぜ?自分の副長ぐらい信じてあげなよ?」
「・・・!」
カメラを通してしか、俺達の会合を見ていないユーリと違ってサマラ本人と話した俺にはわかる。この作戦に乗った時のあの目と表情は、よほどの余裕が無いとできないやつだ。
だから、焦りを隠せないユーリに対してこう言った。
「まぁ、何はともあれ。一週間ぐらいは待とうぜ?ユーリ艦長」
「・・・そう、ですね」
そう言って、俺達はそれぞれの艦に戻っていった。
一週間後
「なに?諜報員と連絡が取れない?」
『あぁ、彼女達に同行したカロンという男との連絡が取れない』
相変わらず、海賊狩りをしていた俺達にオムレス宙佐からそう通信が来た。
「電波が届きにくい、とかじゃないですかね?」
『それはあり得ない』
「なぜ?」
『そういった磁気嵐のような場所に作られてないからだよ』
なるほどね~。そりゃ、怪しむわ。
「じゃあ、直接乗り込むってのはどうです?」
『法務局の許可がないと無理だ。幸い、こちら側も独自に動いているため、もうすぐで許可が降りそうだ』
「わかりました。こっちは内部情報を知ってそうな人を当たってみます」
『心あたりがあるのかね?』
「まぁ、見ていてくださいよ~」
『・・・』
とても不安そうに見られたが、確実な情報がある人を襲ってしまえばいい。それを言ったらオムレス宙佐は納得した顔で頷いた。
言わば、ブラック・クロウの幹部を引っ捕らえて拷問にかけ、情報を吐かせようというものだった。
やり方は単純だが、これが一番手っ取り早くて確実な方法だ。
という事で、ちゃっちゃと捕まえに行きますかね。
その1時間後。
「艦長。味方哨戒機が、ブラック・クロウの艦隊を発見しました」
そう報告したのは、通信手のポプリだった。
「よし、ユーリの艦隊と2、3隻の駆逐艦以外はステルスモードにしてくれ」
今回の目的は、海賊艦の拿捕の他にブラック・クロウの幹部がいそうな艦隊を積極的に索敵して生け捕りにしようというものだ。だからなるべく、罠の奥に入ってくれるとやりやすい。
「了解」
「ユーリ艦隊に打診。“誘い込むっため、善戦しているように見せかけてくれ”と」
「了解!」
「全艦、戦闘配置!」
その後、この戦闘で勝利した俺達は敵の幹部を軽い拷問にかけて尋問した。
“拷問”、と言っても尋問室を少し減圧して軽い酸欠状態にして脅しただけだ。それ以上やるとこっちが精神的に辛いし、時間も余裕がなかったため、この手法でやらせてもらった。
結果、その幹部は知っている事を全部喋ってもらったし、これで腰の重い法務局も動いてくれるだろう。
「ふぅむ、ここまで来ているとは・・・」
「彼の話が嘘でない限り、かなり精度の高い話だと思うが?」
幹部の吐いた情報とは、軍の内部にもかなりの内通者がいるらしい。そのため、ワイロを渡したり、あえて監視網に穴を作って見落としができるようにしているそうだ。
その内通者の手は法務局にも及んでいるため、どうしても行動が重くなってしまう。
「むむむ、時間がないな。よし。第4、第5艦隊と惑星強襲部隊の緊急呼集!準備ができ次第、直ちに出発する!」
「はっ!」
そばにいた宙尉が敬礼すると、踵を返して部屋を出た。そしてオムレス宙佐は俺達の方に向いて、
「ミーナ君、ユーリ君、君たちにも協力を要請したいが?」
「無論。ウチらはともかく、ユーリの方の仲間があそこにいるんでね」
「はい!すぐに行きます!」
「助かる。では、12時間後に指定された場所で落ち合おう」
オムレス宙佐がそう言って、この場はお開きになった。
宇宙港に戻った俺らは、軽めのフットワークで白鯨艦隊に補給物資を余分に積み込んで指定された宙域に到着した。とは言え、軍隊的な組織ではなかった俺達のほうが早かったため、少マゼラン王国の軍が到着するまでの3時間は暇だった。
それでも、極秘の装備は整えてきたと言っていたので良しとしますか。
その先は比較的簡単に事が進み、俺達は要塞惑星ミルヒクーに強襲をかけた。強襲を受けたブラック・クロウのメンバーは完全に不意を突かれた形になり、陣形を整える前に瓦解させて宇宙港を急襲。そこでは流石にブラック・クロウの激しい抵抗を見たが、どこぞやのアイ◯ンマンみたいなロボットたちに先陣を切らせて簡単に突破。
地上部分でも抵抗をしていたが、マッドサイエンティスト達に作らせておいた武装で抵抗していた海賊たちを一網打尽にしながら中央制御塔に侵入した。
「囚人塔に居なかったことを察するに、とっとと脱走しているのかもしれん」
「だな。トスカは知らんが、サマラの方はやるからには効率よく情報を得ようとするはずだ」
「そうなのですか?ミーナさん」
複数人の護衛の元、俺とウォルフ、ユーリの3人で無人の制御塔内部を探索していた。その中で、トスカとサマラが女性囚人塔にいなかったことに関しての話にユーリが俺に質問した。
「いいかい、ユーリ君。ああいった海賊のリーダーたるもの、結果のみが全てだ。結果を得るんだったらあらゆる非合法なやり方だって辞さない覚悟の人だ、サマラという人は」
「はい」
「だから今回、行動に移すんだったら確実に彼女に必要な情報を得ているはずだ」
「そういうものなのですか?」
「そういうものです」
その話を受けてユーリは腑に落ちない顔をしていたが、宇宙に生きるものとして自由に生きな、と言うと小さいがしっかりとした返事が聞こえた。将来が楽しみな少年だな。
「艦長!」
「チハか、どうした?」
俺がそんなことを考えていると、同時並行で探索をしていたチハが伝令としてきた。
「司令室を発見、隠し部屋らしき扉も確認したのですが、ロックされていて開けれないんです」
「!」
「わかった、案内してくれ」
「はっ!」
チハに案内されて着いた場所は、まさしく司令室といった感じではあるが、無駄な装飾品や電飾はされていないシンプルなものだった。
だがよく見ると、壁の一部分に違和感を感じる。
「あれが?」
「そうです。ロックを解除しようと色んな所を探したら、机に引き出しに暗証番号を入力するやつがありまして・・・」
「これか」
チハに促されて机に引き出しを見ると、それらしき装置があった。
ふむ、電子装置か。なら簡単だな。
俺はおもむろに右手をその装置に乗せると、
ゴゴゴゴ・・・
「え?」
「・・・開いた」
「さすが艦長、仕事が早い」
そう、俺の体はマッドサイエンティスト達が作った優秀な人形だ。ハッキングして扉を開けることなど、赤子の手をひねるより簡単だ。
「トスカさん!?トスカさぁぁん!!」
「ちょっ!?危ねえぞ!?」
隠し部屋につながるであろう扉が空いたのを確認してからユーリは、躊躇なくその扉に勢い良く飛び込んだ。
すると、
「だから言ったろう、ユーリが来るって」
「そのようだな」
という会話が聞こえて、ユーリの後にトスカとサマラの二人が出てきた。
「今回はあんたに助けられたねぇ」
「あのクソ野郎に閉じ込められた時はどうしようかと考えたものだが」
「二人が無事に出てこられて何よりだぜ」
二人の話を聞くと、ブラック・クロウの頭首ギャレンは数年前から行方不明の噂があって、それを確かめるためにこの作戦に乗ったということだった。
実際、隠し部屋にギャレンの白骨死体があり、見た感じでは噂が出た頃のものだという事が判明した。
では、誰がブラック・クロウを率いていたかというと、少マゼラン王国の法務局に人物であり、このことをオムレス宙佐に伝えると、彼は今回の件が終わったら大急ぎで自分の基地に戻るそうだ。
そして、それぞれがそれぞれの迎えの艦に乗ると一気に慌ただしくなる。サマラは目障りな障害物を破壊するために、俺達はそれを支援するために補給を急がせたのだった。
1週間後
事の結末を簡単にまとめると、ブラック・クロウの本拠地である『クモの巣』と呼ばれる小惑星郡に、張り巡らされたケーブルでつながっている惑星に、月の半分ぐらいの大きさがある隕石を落としたのだ。
結果は目に見えていて、『クモの巣』は崩壊。そして、そこから逃げようとしている法務局にいるはずだった人が乗っている装甲空母が俺達のレーダーの範囲内に入ったため、行動不能にして軍に丸投げした。
そのため、ブラック・クロウはその日を持って完全崩壊を告げたのであった。
艦長室
「ふぅ、やはりここが落ち着くな」
有給休暇を含めた一連の書類の処理が終わった俺は、のんびりとした時間を久しぶりに味わっていた。
「はい、お茶が入りました~」
「サンキュー、エルビラ」
そんな俺に、エルビラがお茶を淹れてくれた。この子も付き人として、板が付いてきたな。
「艦隊の皆さん、人気でしたね」
「あぁ、あそこまで人気が出るとは思っていなかったよ」
つい先日、休暇の直前にティア達の体である人形ができたため、休暇と共にお披露目をした訳だ。すると、イルミナの時と同じように野郎達からは歓喜の雄叫びが聞こえ、女性陣からは黄色い歓声が上がったのだ。
しかも、大人の女性から幼女まで多種多様な姿を取っているため、男女を問わずに人気が出たのは言うまでもない。
「はぁ、これで人気投票とかすると殴り合いの喧嘩になりそうだ」
「ふふっ、それだけ人気者なのでしょう」
そんなのんびりとした時間は、艦長室に入った人物によって終わりを告げる。
「旗艦ミーナ、“要塞戦艦”が会合点で待っています」
「はいよ、ティア。じゃあ、イルミナ、行ってくるよ」
「はい、行ってらっしゃいませ。艦長」
1時間後
「・・・あれが要塞戦艦」
「そうだ。来るべき脅威に対抗できるだけの戦力を守ることのできる艦だ」
俺達の目の前にあるのは、全長が数百kmはあるでかい戦艦だった。
「先の戦闘によってある程度の纏まったお金と研究ポイント、それと名声値が入った。そのため、新たに艦隊を作るのではなく、俺達の本拠地を作ることにした。それがこれだ」
そう、ここをキャンプ地とする!ではないが、今後の戦闘を見据えた作戦行動が必要になってくる。そのためのでかい購入だった。
「主計科のメンバーをよく黙らせましたね」
「必要経費がこれで浮くぞ、て言ったら納得してくれた」
「なるなる」
そう、艦隊の主な出費は人件費と整備費だったのでその内の整備費だけでも減らせただけでもかなりのお金が浮く。このお金で戦いに向け、新たにいい人材でも買おうと思う。
「ここを俺達の前線基地にする!」
「「「「おう!」」」」
俺たちの戦いはこれからだ。