ある日突然に0091
ガルラスのTボーン・ステーキをシッカリと堪能していると…
再び陛下からお声が掛かる。
っかさぁ、俺、今ガルラスのTボーン・ステーキに夢中なんれすけっどねぇ。
話し掛けないで下さる?
って言えたら、言えたらさぁ…どんなに幸せな事か。
でも相手は陛下、そう、この国のトップなんだよねぇ。
そんな方へ口が裂けても申し上げられませんって、下手したら家族全員へ害が及ぶかんなぁ。
だから食事を止めて拝聴致しやしたよ、ええ。
だってさぁ、流石に陛下が語り掛けて来られているのに食べながら拝聴はねぇ。
ガルラスのTボーン・ステーキぃっ…グッスン。
そんな涙目の俺に気付かない様に陛下が尋ねられる訳で…
「ガリルよ。
我が国の奴隷問題に対して理解しておる事は分かったのじゃが…
ソナタならば、この問題に対して、どの様に手を打つかのぅ?」
興味津々って感じで尋ねて来られる。
っかさぁ、俺は学徒で更に5歳児な訳、お解かり?
そんな幼子に国政について語らせるなぁぁぁっ!って、そんなん言いたい。
言えんけどさぁ…ふぅ。
「陛下…あくまでも5歳児の学徒が私見にて語る戯言程度に聞いて下れば幸いで御座います。
さて、件の奴隷問題の焦点である獣人亜人と蔑視されている方々ですが…全ての方々が奴隷となっている訳では御座いません。
差別の問題は御座いますが、王都、街、町などの人が集まる場所、特に王領や公爵家、侯爵家などの領地で、ほぼ解消されておられるとか?」
俺が告げると宰相様が頷き告げられる。
「確かにそうですな。
まぁ、一部の侯爵家や半分以上の伯爵家に於いては奴隷として扱っております。
そして男爵家や騎士爵などの領土では奴隷と扱うのが当然とされており、酷い場所では旅をしておる獣人亜人を捕まえ奴隷しているとか。
奴隷狩りと称して遠方の獣人集落、亜人集落を襲い連れ去る非道を行っていると言う話も聞き及んでおります」
陛下が眉を顰める。
話しは知ってはいるんだろうけど、不快に思われたんだろうな。
まぁ、それは俺も同じだけどさ。
「それで、その様な者達の扱いは、どの様になっておるのでしょうか?」
宰相様の話しを聞いた俺が尋ねると、意味が解らなかった様で宰相様が小首を傾げた後で尋ねられる。
「それは、どう言った意味なのでしょうか?
先程も申した通り、奴隷として使役されておりますが?」
あっと、言葉足らずで言い方が悪かったかな、こりゃ。
「済みません、言い方が悪かったですね。
私が訊きたかったのは奴隷として、どんな仕事に従事させられているかなのです。
奴隷を扱う者達が救い様の無い者達ならば、その者達を罰すれば良い話ですよね。
ですが、何かの仕事に従事させているのならば、その仕事を代わって行う者が居れば無理に奴隷を使わなくても良い訳です。
もし、その労働力を提供できるとして、その労働力の提供を条件とし奴隷解放を迫ればどうなるでしょうか?
そして、それに従わない場合は違法として取り締まれば良いのでは?
無理やり奴隷解放を迫っても、奴隷達が従事していた仕事が廻らなくなれば不満も溜まりましょう故、開放が難しいのではと愚考しました」
俺が告げると、宰相様が困った様に俺を見て告げる。
「いや、確かに使役させられている奴隷達の代わりとなる者達がおれば問題は無くなるが…
それでは、獣人亜人と入れ替えで別の者達が奴隷となろう。
それでは本末転倒であろうに」
溜息を吐いて告げられるが…
「そうでしょうか?
私は、そうは思いませんが?」
そう告げた俺を呆れて見る宰相様と…面白そうに見られる陛下に…オロオロと狼狽えているファラール姫。
いや、上座は混沌としてんなぁ~。
そんな事を思いながらガルラスのTボーン・ステーキを切り分け御口へとね。
モグモグのゴックンにて…う~ん、デリシャスれすねぇ。
さて、合間に至福を挟みましてぇ、言ってみますかねぇ。
「では、代わりになる者が生物でなく魔術的なクリーチャーであったならば…どうでしょうか?」
俺が問うと宰相様が難しい顔になる。
そして俺を諭す様に…(矢張り、幼子か)った顔にて告げて来た。
「確かに、ゴーレムなどを代替として奴隷解放を迫るならば可能でしょうな。
ですが、様々な問題が御座います。
1、ゴーレムの製造費が高価にて容易く造れる物では無い事。
2、ゴーレムは魔導の粋を集め造られる品から簡易的に造られる品まで様々であり、同品質の物を揃えるのは難しい事。
3、性能的に人とは違い単純に命じた事しか行えない事
4、ゴーレムの稼動には魔石などの動力源が必要であり、それを購入するなどの対費用効果に難がある事。
5、ゴーレムは定期的にメンテナンスが必要であり、その維持費が掛かる事。
ざっと上げただけで、これだけの問題がある訳です。
そんなゴーレムを奴隷の代用にて提供すると告げて、誰が納得しましょうか?」
うん、全くだよね、現界のゴーレムなんて提供したら誰も「うん」って言わないさ。
けどな…
「でしたら、それらの問題が解決されたゴーレムならば問題ない訳でしょ?」
そうね告げて…みた。




