ある日突然に0089
だが、だがまだだぁっ、まだ終わってはおらぬぞぉぉぉっ!
「陛下、ファラール姫と婚約となると私を皇太子殿下に律したと同等となってしまいますぞ。
まだ5歳児である私には過分なる身分で御座います。
更に家柄も相応しいとは申せませぬ。
我が家は伯爵家では御座いますが、今年に伯爵を叙爵したばかりの元男爵家に御座います。
歴史も浅く、コレではとても王室の御方々とは釣り合いが取れぬもののと愚考致します。
また私は学徒に御座いますれば、まだまだ研鑽途中の身で御座います。
その様な未熟たる者へ確たる手柄も無しに過ぎたる地位を与えるなど、国が乱れる元かと存じ上げます」
そう言上差し上げたのだが…
「ふぅむぅ、宰相…どう思うかのぅ?」
陛下が宰相様に尋ねられた。
これは、ご再考頂けたかっ!
だが…
「いや、これは素晴らしいですな。
陛下のお話だけでは、皆も内心では懐疑的でしたでしょう。
ですが5歳児にて、此処まで理論整然と言上を申し上げるなど…普通では出来ますまい。
雅に神童と言うに相応しいかと」
恭しく告げる。
っか、あんるぅえ~っ?
もしかして…また、墓穴掘ったぁ、俺?
ギギギギギィ~って精霊達を見ると、呆れている。
やっちまったぁ~のドンドコドォオ~ンってか。
したらな、陛下が宰相様へ言う訳よ。
「ふぅぅむぅ。
これは早急に帝王学や王族に相応しい儀礼を身に付けさせるかのぅ。
ガリルならば社交の場へ出しても恥かしくはあるまいて」
い、いや…婚約云々レベルの話しでは無くなっている様な…
なんで、こうなったし。
そんな話へティナ先生が割り込む。
「僭越ながら陛下、言上申し上げたい儀が御座います」
その様に。
え~っとぉ、ティナ先生?何を言うつもりなのかなぁ~
「ほぉぅ、ガリルに関することかぇ?」
「左様に御座います」
「許す、申してみよ」
鷹揚に発言を許す陛下。
その許しを得てティナ先生が告げる。
「先程、陛下の御話が聞えて参りまして、無礼を承知にて申し上げます。
ガリル殿下で御座いますが、降臨界なる地にて帝王学や王族に相応しい儀礼は既に身に付けておいでで御座います。
社交ダンスなどもですが、古今東西の所有踊りと歌もマスターされておられます。
またその他、軍略、戦略、政治学、経営学などなど、多方面に渡って修めておられますれば、改めて学ぶ必要は無いかと」
ティナ先生ぇぇぇぇっ!何をバラしてくれとんのやぁぁぁっ!
って思っていると…
「まぁ、妥当やろな。
それらを知っとって言わんといたら…バレたら罰せられんでぇ」
そうサラマンディルがな。
ティナ先生も半泣き状態を見せない様に毅然としているけど…
言いたく無くても言わざるを得ないってか。
あ~ヤダヤダ貴族社会ってさぁ。
それを聞いた陛下が驚いて俺をマジマジと見た後、ティナ先生へと尋ねる。
「それが確かであるならば…ガリルは現時点に於いて政務を執る事が可能となるが…
相違ないかのぅ?」
ティナ先生が辛そうに頷く。
仕方ないか…貴族社会だもんよぉ。
俺が諦めに似た気持ちでいると陛下が俺へと告げる。
「ガリルよ、1つ御主の意見を聞いてみたいのじゃがのぅ。
ソナタむも知っておる通り、我が国は広い。
故に辺境が多く、辺境に於いては魔物に対する被害が多くてのぅ。
冒険者ギルドなども存在するが、旨みの無い辺境には赴く冒険者も少ないのが現状じゃ。
兵の派遣もしてはおるのじゃが、対処できておるとは到底言えぬ。
この件なのじゃが…おぬしは、どう考えるかのぅ?」
あのねぇ…5歳児にぃ、き・く・なぁぁぁっ!
しかし相手が陛下では無視も出来んか…ふぅ。
「そうですね。
僭越ながら私の意見を述べさせて頂きます。
ですが、あくまでも5歳児の私見ですので、お耳汚し程度に止められる事をお願い致します。
さて、現在の冒険者ギルドは民間経営にて動いておるのは御存知とぞんじます。
この組織は、それぞれが個々に独立した別組織となっており横の連携もなされておりません。
故に1組織にて経営が傾けば、その組織は潰れるだけであり、とても安定した組織では無い訳です。
そんな組織に開拓に近い場所で経営を依頼しても無理でしょう。
経営が成り立たずに潰れるのが落ちですね。
ならば国営の組織を設ければ如何かと。
冒険者ギルドとは別組織とし…そうですね、ハンターギルドなどは如何かと。
辺境に赴き魔物を狩るのに特化した者を集めた組織とします。
そして魔物から得た素材の買取を行い国へと納品する窓口がギルドとなります。
さすれば国庫からの補助も得られます故に、辺境へもギルド支店を進出させ易いかと。
そして辺境にギルド支店を設ける場合はサポート施設も同時に併設すればハンター達が集まりましょう。
狩場へ近く狩った獲物を換金できる場所があれば儲けが出ます。
儲けが出るならば人は集まりますし、その様な場所は村となり町となりましょうな。
そう、ハンターギルドの支店を基点に人を集め町へと発展させる。
その様な愚案で申し訳御座いませんが、所詮は5歳児の知恵なればご容赦の程を」
ってねどうかなぁ~
コレくらいなら咄嗟に考えられたけどさぁ…
所詮は5歳児の考えた事だからね。
しかし…この魚のムース、ウメェっ!




