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ある日突然に0086

陛下は、まだまだ聞き足りない様なんだが…

流石に政務にも支障が出るだろうし、もう昼時だ。

なので宰相様が、やんわりと陛下へと告げる。

「陛下、そろそろ昼餉(ヒルゲ)の時間で御座います。

 昼の会食の用意も整っておりますれば、そろそろ謁見を終わられては?」

そうそう、会食があるのなら、それを優先して下さいね。

俺は漸く終わるとホッとした訳だが…

世の中、そんなに甘く無いってな。

「ううむ。

 確かに昼時であるのぅ。

 ではガリルよ、参るぞぇ」ってか。

って、えっ?

いや、えっ?

参るって…何処へさ?

戸惑っていると…宰相様が俺へ告げる。

「ガリル殿の昼食を用意しております故、食堂へ移動頂けますかな」

にっこりってな。

いや、良い笑顔でぇっすねぇ。

「ほんなら、ワイらはガリルに吸帰するさかいに」

そうサラマンディルが告げる。

それに宰相様が空かさず…

「吸帰とは何かは存知ませぬが…精霊の御方々(オンカタガタ)のお食事もご用意させて頂いております。

 もし宜しければ、御会食を共にされては如何でしょうか?」

そう宰相様に告げられ、精霊達が喉を鳴らす。

って、をいっ!

もう既に会食へ参加する気満々ってヤツですね、分かります。

分かりたく無くても分かります。

4人の目が会食へ参加しろと告げています。

普段に無い凄い威圧感です。

ゴゴゴゴゴォッて音が発せられんばかりですね、分かりたく無いです。

どんだけ必死なんですかぁっ!

いや…精霊達の圧力に負けた訳ではありませんが、会食へ参加となりました。

くそっ!

俺は陛下と宰相様に続いて城内を移動する。

来た時には通らなかった通路を移動するんだが…

これって絶対に内々的な通路だよね。

対外的には公開してない王家の者と、その警護の者しか知らない通路だと思う。

いやいやいやっ、俺が通っちゃダメでしょがぁっ!

何を考えてんのぉっ!

その通路にて食堂近くまで移動。

見張りが居る扉を開けて室内へと到ると、その室内より外へ。

対外的にも公開している通路近くに存在する王族専用通路へと室内から出る事に。

いや、彼方の通路は使わないのね。

一般的にも王城には王家専用のプライベート通路が存在する事は知られている。

その通路は対外的に公開されている通路へも続いており、その通路への入り口にも見張りはいる。

だから、その通路を使っていると皆は思っている訳なんだが…

まさか、その通路がフェイクだなんて誰も思わんわさ。

陛下と宰相様に連れられる形で食堂へと。

いや、絶対に伯爵家子息の立ち位置じゃ無いよね、これってさぁ。

大体、俺が入った入り口って…王族専用の入り口じゃんっ!

(マズ)いって、これぇぇぇっ!

俺が入った入り口に気付き慌てていると…

「ガリル殿、どうなされました?」

そう宰相様が尋ねて来られる。

いやいや、どうしたって…

「此処って…王家専用では?」

俺が狼狽えていると陛下が仰る。

「構わぬ、構わぬ。

 (チン)が許した事じゃ」

そう下知がね。

さいですか…そうですか…では、はい。

ってな事で席へ…って、俺の席って…どぉ~こぉ~っ?

困っていると執事が俺の前へと現れエスコートしてくれる。

助かるぜぇっ。

案内される侭に席へと…って…ちょっと待てぇぇぇぃっ!

何で上座、ってか、なんて上座?

おかしいでしょうがぁぁぁぁっ!

俺ん家は伯爵家ぇっ!

貴族の爵位ってさぁ、大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵ってなっている訳よ。

分かるぅ?

大公様は、通常は叙爵される事は無い特別な爵位なんだとか。

だから現在は大公の爵位を叙爵された方は居られない。

けどさぁ、当然、公爵位を叙爵された方々は居られる訳です。

そして侯爵位を叙爵された方々もね。

公爵位の方々って王家の御姻戚の方々なんだよねぇ。

侯爵となれば、等級の下がる姻戚関係の方々も居るけど成り上がりの方々も混ざってはいる。

ってもさぁ、どちらにしても伯爵位よりは上位の貴族の方々なんだよね。

それなのにさぁ…なんで、俺の方が上座に座ってんだよぉぅっ!

慌てる俺を何故か皆さんが暖かい目で見て下さっている。

っか、それで良いのかファーレンファイト王国ぅぅっ!

他の厳しい国だったら俺っ投獄か打ち首だよねっ、これ。

ある国なんてさ、目上たる爵位を持たれている方に対する礼が幾通りも定められているらしい。

歩き方も歩く場所で変えないとダメとかさ。

例えば騎士爵は男爵への礼と子爵への礼は当然違う。

しかもシチュエーションにて色々と変えないとダメなんだとか。

それを誤ると不敬罪にて投獄または打ち首らしい。

勿論、上爵全てにて対して行う礼儀作法が異なるという…

いやぁ~、俺、この国に転生して正解だわ。

そうで無かったら投獄されているか斬首だな。

ってもさぁ…ゆる過ぎじゃね?

そんなん思いながら下座を眺めると…

あ、学院長先生にティナ先生が居る。

え~っとぉ、どゆこと?

そんな俺をサラマンディルが諌める。

「ガリル、ええ加減にキョロキョロするの止めんかい。

 ごっう恥かしいさかいに」

いや、さいですか?

確かに御登りさん的な所行だったかも…

これは確かに、ちと恥かしいかも。

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