ある日突然に0084
陛下の近くへと行き立ち止まると…
「遠慮せずとも良い良い」っと。
さいですか?
では、もう少し近くへね。
「これこれ、もそっと近う、遠慮は要らぬ故」
へっ?いや、もう自由分に近くねっ?
壇上下から少し段となったスロープを上がってるんですがね。
これ以上行ったら玉座の真ん前になってしまう。
そらダメなんじゃぁ…
「構わぬ故にのぅ」
そう告げられて手招きされる。
いや…さいですか?
仕方ないから言われる侭に玉座へと近付く。
「ふぅ~むぅ、見れば見る程に美しい顔立ちじゃてのぅ。
その愛らしさで男とは…
朕の知らぬ事は世には多いものよ」
いやね、俺の顔で感心されてもさぁ。
本当は謁見の理由を尋ねたい。
尋ねたいんだけど、臣民たる俺の身分では自分から尋ねる事は出来ないんだよね。
これって不敬罪にあたるだぜ、知らない事は罪なのよねぇ~
なので、訊きたい事が訊けないと言うジレンマが発生しておりやす。
グヌヌヌヌヌッ。
陛下は何が面白いのか、俺を愛でる様に眺めておられるんだが…いい加減に本題へと入って欲しいものであ~るぅ。
そう俺が思っていると、宰相様も思いは同じらしく陛下のお耳へと耳打ちを。
「陛下、後の予定も押しております故に」
そう耳打ちされ、鷹揚に頷かれる陛下。
っか、宰相様さぁ、そんなに大きな声で耳打ちしても…
『ちゃうでぇ』
へっ?何が?
『アンさんは降臨界にて色々と鍛えたさかいに宰相の耳打ちが聞えとるんや。
他のヤツらには聞えへんさかいに』
『そうであるのぅ。
童達を身に宿した影響もあるわぇ』
『主さんは内包マナ量が膨大なりんし。
それ故、肉体強化されなんしな。
成長も促進されなんし』
へっ?初耳なんですが?
『訊かれもうさんで。
じゃどぉん、訊かれても制御できもはんが』
え、え~っとぉ…オートなのね?
同意する精霊達。
何時の間にか困った事態が進行中の様です。
参ったぜっ。
そんな事を高速思考にて遣り取りしつつ陛下の対応を待つ。
すると陛下が漸く本題へと。
「そなたに来て貰ったのは、そなたが、どの様な者かを知りたかったのじゃ」
へっ?単なる5歳児ですが?
「聞く所によると、全ての学問を既に修めてしまったとか。
更にはゼネティスの鎧の様な品を開発して実用化してしもうた。
恐ろしい程の才能じゃ。
ほんに、恐ろしい程ののぅ。
故に悪用されては堪らぬ。
なればこそ、そなたに一度会い、そなたの人となりを知りとうでのぅ」
いっ?俺…良い子でぇ~っよぉっ?
そう思っていると…
『主さん、実体解放して欲しいでありんす』
そうシルフィーナがね。
ってダメだろ、それ。
なんで俺の秘密を態々明かさなならんのさ。
『いや、ちゃうでぇ。
此処はワイらを明かすべきや。
王さんはアンさんの危険性を危惧しとんのや。
そして、アンさんが攫われたりした場合のリスクもやな。
それが杞憂に過ぎへん事を示さなあかんやろな』
でも、そんなの無理じゃぁ…
『出来るでごわす。
おいどんら精霊は善なる者として知られし存在でごわすぞ。
そん精霊ば宿し者ば悪ば言いもはん』
『そうであるな。
人程度が襲撃しても童達ならば楽に退けられるしのぅ。
ソナタも出来ようが信頼されぬであろ』
ぬぅぅぅっ、しかしだねぇ、要らぬ騒動に巻き込まれる気がさぁ…
って、何で皆呆れるんだよっ!
『あんなぁ、アンさんは親父さんの鎧の件で既に注目の的なんやで。
既に手遅れや』
『そうでありんす。
なれば要らぬ警戒を解く方が得策でありんすや』
そんな事を高速思考にて脳内会議ってか。
結局は説得されてしまった訳で…
しぁ無いか…
「陛下、発言をお許し頂けませんでしょうか?」
恭しく頭を下げて告げる俺。
「ううむ。
幼子が、何処でこの様な儀礼を身に付けるのじゃ?」
不思議そうに俺を見て呟かれ下知を。
「良い良い、朕が許すわぇ。
して、何かのぅ」
その様に許しを得たので俺が告げる。
「私の身の潔白たる証を示しとう御座います。
お許し頂けますか?」
俺が告げると不思議そうに俺を見た後で斜め後ろを振り返る。
陛下と目が合った宰相様が頷く。
それを見た陛下が俺の方へと振り返り告げられた。
「良かろう、遣ってみるが良い」
そう告げられたので…4人を実体開放しやした。
突如現れる男女4人の姿。
謁見の間に緊張が走る。
だが4人は玉座近くにて跪き頭を垂れていた。
「何ヤツ!」
流石に陛下が誰何する。
なので俺が告げる。
「この者達は私が契約している精霊達で御座います。
此方から地精霊ノームル、水精霊ウィンディーナ、火精霊サラマンディル、風精霊シルフィーナとなっております。
普段は私の体内へと宿っておりますが、この様に私のマナを用いて実体にて顕現する事も可能なのです。
この者達が申しますに精霊は聖なる存在とか。
もし私が邪悪ならば彼らは私と契約など致しませぬ。
また彼等は常に私と共に在る存在なのです。
故に最強のボディガードとも言えましょう。
これにて少しは御心が晴れましょうや?」
俺が説明すると、謁見の間が静まり返る。




