ある日突然に0080
文屋にも筋を通す漢達がおり、その者達は国を憂い事実確認に現れたのだが…
その者達は既に親父様の弁明を受けて此処を去っている。
そして此処へ残っているのは害虫に等しき、漢としての心根を持たぬゲスのみと思える。
故に親父様が一斉検挙に乗り出そうと動き始めた時、その方が現れた。
「ゼネティス殿、これは何の騒ぎですかな?」
そう告げながら白い司祭服の様な衣装を纏ったスラリと背の高いイケメンが告げる。
その優しげな風貌に似合わぬ威厳を纏う彼の登場に皆が動揺する。
・・
あの親父でさえ同様させるとは…いったい、何者なのだろうか?
そんな中、記者の1人が怯える様に呟く。
「何で宰相様が…」っと。
って…えっ?
宰相…様?
宰相様と言えば公爵にて王家に連なる王家の縁者筋となる方では?
高貴と言われる方で、下々が軽々しく接する事が可能な方では無い。
このクラスの方ともなれば、冗談抜きに切り捨て御免状態となる。
宰相様の後ろには屈強な騎士達が控え、既に抜剣状態にて待機している。
無礼があれば、即座に切り捨てる気満々ってか?
物騒だな、をいっ。
親父様は捕らえても切り捨てるつもりなどは無かった。
故に舐めていた所もあったのだろう。
だが生粋の貴族に甘えは通じないってな。
庶民…いや男爵家の末程度からの成り上がりである親父様とは違うと見える。
う~ん…おりぁ親父様の様な貴族の方が好きだね。
甘いってか?
甘くて上等。
ま、それでも一線を越えたら容赦はせんがね。
そしてな、突如現れた宰相様にて場の空気が明らかに変わる。
緊迫した空気の中で泰然と振舞う親父様が告げる。
「理由無く我が屋敷の門前を占拠せし不埒者を捕らえようとしておる所ですが?」
当たり前と言った様に。
その親父様の応えに宰相様が返す。
「それはご苦労な事ですが…
己が屋敷にて起こった騒乱へ近衛部隊を招集するとは何事ですかな?
確かに卿の部下ではありましょう。
ですが近衛は王家を守護せし者達。
それを私用にて呼び寄せるとは…卿にも困ったものですねぇ」
そう告げ溜息を。
バツが悪い顔となる親父様。
だが…
「いや、俺は急に伯爵となった者ゆえ屋敷に仕える兵など居らぬのでな。
俺が直接捕らえても良いが…
俺はどうも加減がなぁ…
脆弱な者達だと捕らえる所か殺してしまいかねん。
故に部下達に頼んだ訳なのだが…
ダメかね?」
困った様に。
って「捕らえる所か殺してしまう」って…親父ぇ…
そんな親父の言葉に宰相様が溜息を吐くと告げる。
「此処へ居る記者達へ告げます。
この度の無礼な振る舞いにて勅命が下りました。
今後は定めた憲法が改変され、貴方方に無礼な振る舞いがあったと断じられれば捕らえられます。
これは一般の方々に対しても適用されますので心する様に。
そして貴族に於いては無礼な行いと断じられた場合は無礼討ちも許可となります。
これは貴方方が引き起こした事態と理解なさい。
ただ、国から許可制にて今迄の様に取材が許可される者も居りますがね。
ですが残念ですが、此処に留まっている方々には永久に許可が下る事はないでしょう。
己が仕出かした事を猛省する事です」
冷たく言い放つ宰相様。
いやぁ~、胸がスッとするとは、この事ですね。
宰相様が告げた後に一睨みすると、残っていた文屋達が蜘蛛の子を散らすが如く逃げ去って行く。
いやぁ、迷惑な奴らだったなぁ。
アレをダニ畜生と言うのだろう。
もう二度とお目に掛かりたく無いものである。
さて、宰相様のお陰にて騒動も沈静化した訳だし…登校しますかねぇ。
そんな事を思っていた事もありました。
俺が登校しようと門へ近寄ると…何故か俺を見付けた宰相様が俺へと向かって来る。
って、俺?
驚いて後ろを振り向くが…門番のおっちゃんが居るだけだな。
おっちゃんは必死に顔の前で手を左右に振り違う事をアピール。
ですよねぇ~
っう事は…矢張り、俺?
そう思っていると…
「アナタがゼネティス殿の御子息であるガリル殿ですか?」
そう尋ねて来るので頷き応じる。
「はい、私がゼネティス嫡男であるガリルであります。
宰相様より直々のお声掛け、身に余る光栄で御座います」
そう告げ、貴族式の礼を。
「ほぉぅ、ご息女でなく…
う~むぅ、見目麗しい姿からは男性と判断できかねると噂に聞いてはおりましたが…
真に美しいですなぁ」
いや、嬉しく無いからね。
男の俺が美しいって誰得やねんな。
『少なくともメイド達と御母堂は得であろうのぅ』
うっせいやぁぃっ!
って宰相様…何さ、俺の心を抉りに来た訳?
地味に嫌な野郎なのだろうか?
そんな事を思っていると…
「いや、これは失礼。
余りに美しかったので話しが逸れてしまいましたな」
だからさぁ、美しいって言われても嬉しく無いんですがねぇ。
流石に憮然とね。
失礼とは思うが、彼方も失礼だし…俺、5歳児だしね。
『ぬしさん?
5歳児が免罪符だと思いんしか?』
えっ、違うの?
そんな遣り取りを内心にて終えた俺へと爆弾発言が投下される。
「実はガリル殿に陛下が会いたいと申されておりましてな。
城までご同行願えますかな?」
ってな。
いや、ご同行できませんっうのは…ダメかなぁ。
『当たり前でありんすやっ!』
『せやで、下手したら勅命に逆らったとして処罰やな』
ですよねぇ。




