ある日突然に0007
ビーコンを設置しながら移動している訳だが…
進んでんのか、これ?
いやね。
此処ってば、ジャングルな訳で…
視界が全く利かない訳さ。
んでな。
普通なら木々を迂回しながら移動するから迷い易くなる訳だけど…
俺っちは霊体。
故に物質は透過する訳よ。
故に真っ直ぐ移動している訳。
アンダスタァ~ン?
けどな。
人間って視界が利かないと、真っ直ぐ移動しているつもりで案外曲がって歩いていたりするものなんだと。
つまりはだ。
俺も真っ直ぐ歩いているつもりではいるのだけど…
もしかしたら曲がって歩いてっかもしんないってな。
幸いな事に生き物達は霊体では無い。
なので俺に危害を与える存在は、今のところ現れて居なかった。
いや…
霊界なら霊体にて構成されていると考えていたのだが…
違うのかねぇ。
霊山や霊所へと赴くと、鮮烈な空気を感じたものだ。
だが、此処では感じないなぁ~
霊界は、そんな空気で構成された世界だと思い込んでいたよ、俺。
まぁ、あんな張り詰めた空気を常時感じながらの生活より、今の方が望ましいけどね。
常時じゃぁ疲れるって、アレ。
ただな。
此方に来てから何か分からない力を感じてはいるんだ。
空気に溶けているって感じか?
その力を霊体に受ける度に、霊体に力が馴染む感じでな。
特に木々や岩などを透過して通過する際などが顕著ではある。
それ以外には、その力が集まり澱んでいる箇所にも遭遇したりな。
そんな力の溜まり場へは、弱い生き物達は近寄らない様だ。
逆に肉食獣系統の生き物が力に惹かれ集まっていたりする。
俺も行ってみたが…
強烈な力が集まり過ぎていて、気持ち悪くなってしまったぜっ!
霊体の俺を酔わすとは…
大したモンたい。
けどなぁ…
時々力に酔い狂い暴走する獣も居る様で…
力の澱み…
恐るべし!
そんな感じでジャングルをセッセと移動ナウ。
でも歩けど歩けども景色が変わらん。
此処って、本当に霊界なんやろか?
大分不安になって来ちまったぜっ!
どんな植物や動物がいるのかも、自然に覚えてしまったよ。
何せ日がな一日ジャングルを移動しているからなぁ~
同じ様な生き物に出会えば生態位は把握できるさ。
木の実や果実、茸や野草も食してみる。
無論、霊体をだがな。
万が一毒が有っても大丈夫。
霊体にはダメージはありませんのでね。
故に時々摘んでは食べ食べ移動ってな。
霊体になってから食は生きる為に有らず、娯楽のために食す様になったからなぁ~
幾日移動を続けただろうか。
変わらぬ景色に挫けそうになる。
空を飛ぶ鳥達が、楽々と移動して行く。
アレは羨ましい。
上空からならば視界が遮られる事などあるまい。
俺も飛べたらなぁ~
ふと、そんな事を思って見る。
まぁ…
俺は人だから飛ぶなんて無理だけどなっ!
霊体だから物体を透過して擦り抜けるていど…
……… ……… ………
物体を擦り抜けるぅ?
普通、人間には無理やんねぇっ!
俺が霊体だから出来るんやん!!
そして霊体ってば幽霊さん。
普通の幽霊さんには足が無く宙に浮いているものだよなぁ…
俺、霊体。
所謂1つの幽霊さん。
幽霊と言えば宙に浮くもの。
っとなるとだっ!
俺って飛べんじゃね?
そうだっ!
絶対にイケる筈。
では、飛んでみましょうか。
いざっ、ワン、ツゥ、スリィ、はい。
……… ……… ………
飛ぶって…
どうやんだよっ!
俺っちってば人間よっ!
飛べる訳無いわさっ!
翼がある訳でもってねぇのにさぁ。
風船でもあるまいし…
そう簡単に…
んっ?
風船みたいにフワフワと?
………
いやね。
確かに、フワフワと浮く感じをイメージしたわさ。
けどな。
そんなイメージで浮く訳が…ありました。
足元が地面を捉えておりませんな。
超低空ではあるが、宙に浮いている様なんだよ、これがっ!
つまり…
イメージだっ!
人の時には飛べないのが当たり前。
それは、そうなのがが…
その固定観念が邪魔していた訳やね。
ならば意識改革やん。
飛んで見せましょう、何処までもっ!
……… ……… ………
3日ほど経ちました。
皆さん如何お過ごしでしょうか?
現在の私は、宙にフワフワと浮いておりましす。
イメージに成功した訳ですな。
いやぁ~目出度い。
けどね。
宙に浮いているだけです。
そう。
移動できません。
初めは浮いたら浮きっ放しで着地も侭成りませんでした。
それが浮上と着陸が可能となっております。
随分な進歩と言えるでしょう。
んっ?
言えるのか?
良いのです。
言えると断言して良いのです。
何せ最初は浮く事も出来なかったのですからね。
大層な進歩と言って良いでしょう。
旅程は捗りませんが…なにか?
……… ……… ………
お久しぶりです、皆さん。
如何にお過ごしでしょうか?
アレから5日の日が過ぎ去りたました。
現在ですが…
宙をアメコミヒーローが如く飛び回ってます。
ヒャッハァー
武○術だぜっ!
調子に乗ってます。
すんまそん。
だってさぁ。
空を自由に飛べるんだぜ。
狸ロボの竹も要らないお気楽さ。
最高さ。
霊体様々やね。
いやぁ~
死んで良かったよ。
って、そんな訳あるかぁ~いっ!
んでな。
ジャングルさんなんだが…
密林って言うより樹海やね。
木々の海に埋め尽くされて端が見えない。
取り敢えず、遥か彼方に山脈らしき物が微かに見える。
取り敢えずは、アレをめざしますかね。