ある日突然に0036
翌朝。
なの…かぁ?
辺りは暗い。
いや、薄闇と言うべきか。
だが薄暮と告げるのも憚れる時刻だろう。
そんな早い時間に、親父殿ったら何故に起こしなさる。
まさに起こしやすってか。
喧しいわっ!
『これが、ノリ突っ込みと言うものであるや?』
いや、ウィンディーナお姉様?
違いますからね。
良いですか?
私はマジなのです。
『なお悪いでありんすやっ!』
おおぉおおおおぉっ!!
これ、これですよっ、これっ!
この突っ込みを俺は待っていたぁぁっ!
ジィィィィンっと感動しているとだ。
『もっ、イヤっ、でありんすなぁっ!!』
っうシルフィーナお姉様。
いや。
何がイヤなんざんしょ。
はっ!?
あれかっ!!
イヤよ、イヤよは…
『言わさんでもそ』
チッ!
そんな、楽しい、楽しい高速思考は、さて置き…
何で、こがぁに早い時間に起こすんれすかね。
オラ、まだまだ眠いだぁ。
何せ幼児れすからね。
異論は認めないのです。
「ガリル。
出立するぞ」
そんな事をね。
いやいや、何故に?
早くねっ?
だからさ。
「まだ眠いよぉ~」
ってグズってみました。
どうでしょう。
「昨夜は酔ってエクスード様の同行願ったが…
良く々考えたら拙いのでな。
故にエクスード様へ悟られぬ様に出立をな」
だぁぁぁっ!
良く考えんでも拙いだろがっ!
こん粗忽モンがっ!
言いたい。
そがぁに主張したい。
だが俺は幼児で親父の息子。
親父の立場もある。
自重せざるを得ない立場だが…
う~む。
なんたるジレンマ。
まぁ…な。
仕方ないか。
従いましたよ。
それ以外に選択肢はありません。
幼児の立場弱いな、をいよぉ~
んでな。
騎士達が整えた旅装にて出立を。
俺?
準備などしませんが、なにか?
所詮は幼児れすからね。
ただね。
何故か…メイドさんが2人増えてます。
いや、何故に?
そんなん思っているとだ。
「まぁまあぁっ!
その様な出で立ちで…
なんと嘆かわしい」
「そうですわっ!
お嬢様のお召し物が、昨日と同じではないですかっ!」
いや…
お嬢様じゃ無いしぃっ。
っか、お嬢様っうなやぁぁっ!
俺様は、ジッと親父を、見詰めます。
サッと顔を背ける、親父殿。
って、をい。
「仕方無かったんだ」
なにが?
「館の全メイドと町中ご婦人方に詰め寄られてな…」
遠い目で…
いや、吊し上げ?
領主と等しい代官様を?
王族直轄領だから代官だけどさぁ、権限的には領主と同じだよな、親父様…
えっ、なに?
そんな親父を吊し上げぇっ!?
いや、コワっ!
女性って、コワっ!?
特に群れると…
い、いや。
突如、理解しましたぁぁっ!
その彼女達の向こう側。
見え隠れする真の支配者を。
そう。
女性達の後ろには、絶対にお袋様が…
そんな見え隠れする影に、ゾッとしましたよ。
まさにね。
そら、逆らえんわ。
出来たなら真の勇者だが…
そんな勇者に成りたくありません。
そうなると、妥協せざるを得なくなる訳で…
いや…
秘密を知る者を増やしてどうする。
なんて思っていると…
「それに彼女達は在野時代にセンティアの仲間だった者達でな…
腕は確かなのだよ」
歯切れは悪いが…
ああ、成る程ね。
母さんの友人で配下なのかな?
ははっ。
断る?
なにそれ?
無理ゲーでしょ。
既に詰んでいます。
そんな事はあったが、無事に出立です。
無事なのか?
いや気にしてはなりません。
エクスード様は巻いたのですからね。
そんな事を思っているとだ。
町外れにて…
「遅かったではないか」
にこやかなエクスード様がね。
アータァ、何故に此処へ居るぅっ!?
早起きした意味ねーじゃんねっ!
館へ戻って寝直しても良いですか?
きっと、そうするべきです!
そう思うのでした。
そう正論をば考えているとだ。
『阿呆な事を言いなんしっ!』
ってな。
そ、そう?
今なら館で朝食…
『直ぐに戻りなんしっ!』
『グズグズしないであるやっ!』
『そうでもそっ!』
ア、アンタらなぁ…
俺も、そうしたいのだけど…
『なんなんしっ!』
俺には、何も決定権が無いのでした。
だなら無理ね、無理。
そんなん思ってっと…
「ではゼネティス様。
お嬢様を此方へ」
メイドなお姉さんが…
っか。
「お嬢様ちゃうしぃっ!
俺は男だぁぁっ!」
ほ~んと、失敬なっ!
でも2人とも若くて美しいお姉さんなんだよなぁ~
この2人が、お袋さんの冒険者時代の仲間ねぇ~
って…んっ?
っう事は…
お袋さんと同じ歳?
ゾクッ!
なんだ、今の悪寒はっ!
い、いや…
考えたらダメだっ、駄目なんだっ!
心を無にしろっ!
色即是空、空即是色ぃ~
な、なんとか危機は凌げた様だ。
凌げていますよね?
その筈なのです。
『何をしてなんし?』
このプレッシャーを感じて、な・い・だ、とぉっ!?
『訳が分からんであるや?』
マジでかっ!
精霊だからか?
『い、いや…
恐ろしもそ…』
ガタガタと声が震えてますね。
うん、理解しました。
男性にのみ有効な様です。
ピンポイントですね。
親父達には悟らせておりません。
お流石です。




