ある日突然に0020
屋敷を出て直ぐに妖精と精霊お姉様に絡まれた訳で…
全く散歩が進んでおりません。
屋敷の出口は複数存在する。
正式な出入りを行うのは玄関。
業者や使用人が主に使う勝手口。
屋敷と倉庫が繋がる場所もあり、倉庫経由にて外へ。
それ以外にも1階に複数あるバルコニーには階段が付いていて、そこからも外にね。
んでな。
今回はバルコニーの1つを経由して、部屋から直接外へ出たんだよ。
此処はちょっと裏手でな。
塀との間に木々があって、その間に小路がね。
その小路を伝って中庭へと移動ナウ。
う~ん。
そよ風さんが気持ち良いね。
っか…
逃げていた妖精さんが帰って来ている。
懐かれたかな?
それは良いんだけど…
何人のお友達を連れて来てんねん!
蟻に群がられた砂糖菓子みたいです。
この状態は大変歩き辛いですね。
勘弁してつかぁさい。
そんなん思いながら、ゆっくり歩いていると…
『これこれ。
幼子が困っておろうに』
妖精さん達を窘める声が…
あや。
さっきの風精霊お姉様に追い付かれたかね?
そんなん思っている間に、群がる妖精さん達が退いてくれた。
そだよね。
何事にも加減は大事れす。
ふぃ~っ。
妖精さんが退いてくれたから視界が開けたぜっ!
そんな良好な視界へと飛び込んで来たのは…
前方に見える泉よりミィヨォ~ンと下半身が伸びた水色透明なお姉様。
ラミアかな?
いや…
普通に怖いんですけど。
『ソナタ達。
幼子の視線を塞ぐなど、何を考えておるのじゃ?
あの侭で進んでみや。
泉に嵌まって溺れる所だわえ』
妖精さん達を叱責ってな。
って!?
意外とピンチだったのかね、俺…
「あのぉ~」
『んっ?
何であるや?』
いや…
首をミィミョョ~ンって伸ばしながら、俺をマジマジ見んで下さい。
っか、まるでロクロ首です。
マジ怖いから止めてくらはい。
がくぶる。
ま、まぁ…良い。
良いのか?
良いんです。
助けて頂いたのですから、礼を言わねばならないでしょう。
ここは覚悟を決めて…
「お姉さん。
助けてくれて、ありがとぉ~」
可愛く微笑んで告げるのがポイントです。
きっと笑って頷いてくれる事でしょう。
くれるよね?
だが…
水色透明なお姉様は、急にクネクネし始めたんす。
矢張り蛇系?
『きゃわいい~ン』
へっ?
いや、お姉様?
キャラ崩壊していませんか?
『なんと愛くるしい童であるや。
食べてしまいたい程であるぞっ!』
いや、止めて下さい!
ギニィァァッ!
お巡りさんっ!
此処に変質者が居ます!!
って、この世界に警察官は居ないんだけどね。
それに、このお姉様は精霊だろう。
この代官屋敷には犯罪を取り締まる部隊も存在するが、流石に精霊は取り締まれんだろうなぁ~
そんな水色透明お姉様なんだが…
何かに気付いた様で…
ジィィッと、俺に近付き、顔を見る。
なんぞっ!
『良くみると…
なんと言う内包マナ量であるやっ!
これは精霊契約であろうな。
くぷぷぷぷっ。
美幼女へ精霊契約にて宿るである。
じゅるり』
いやいやいやいや、いやぁぁぁっ!
へ、変態がおるぅっ!!
っかぁ!
「俺は男だっ!」
失敬なっ!
『!!
男の娘じゃ、とぉぉぉっ!』
そう、男の子なんだけど…なんだかニュアンスが違わねっ?
『良い、益々好い。
妾と契約するであるっ!』
ル○ンダイブで迫ってくんなしっ!
『待つである、この変質者っ!』
あっ!
飛んで来た風精霊お姉様が、水色透明お姉様を蹴飛ばしたぁっ!
精霊同士なら物理ダメージ的な攻撃が通るんだね。
『何をするであるやっ!』
『それは、此方の台詞であるっ!
妾が先に精霊契約を申し込んだであるやっ!
何を割り込んでおるのじゃっ!』
いやぁ~
あのですね。
2人して同じ様な話し方は止めて下さいっ!!
非常に紛らわしいですっ!
『ふん。
ならば何故、契約しておらぬのじゃ?
おかしいであろ?』
水色透明お姉様の反撃ですね。
分かります。
『くっ。
何故か断られたである』
悔しそうです。
『ふっふぅ~ん。
断られたなら、妾が契約を申し込んでめ良い筈であるや。
そなた。
妾と契約するであろ?』
何を決め付けてんの?
「えっ?
いやだけど」
何か?
『何故であるやっ!
水精霊と契約すれば、何処でも飲料水を得られるであるぞっ!』
なんか必死にアピールを始めましたが…
知らんがな。
「そんな力は要りませんよ。
だいたい精霊と契約したなんて知れたら、大騒ぎになるでしょ。
騒動は御免ですね」
これで諦めてくれるかな?
『納得いかぬわぇ』
『全くであるやっ』
えっ?
『『そのマナ量を保有している時点で手遅れであるぞっ!』』
ユニゾンすんなしっ!
それに手遅れって何さ。
まだ大丈夫だよね。
そうに違いないのですっ!




