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後
ゆっくりと侵食してきた雨水は、私の膝まで飲み込んでいた。
頭が食われるのも時間の問題だ。
ひっくりかえった傘を横目に、私は一人歩み続ける。
行きたいのは家じゃない。
行きたいのはそこじゃない。
行きたいのは、私の目的地。
目と鼻の先なのに。毎週の楽しみなのに。
こんな自然に負けたくない。
だけど、それでも、ダメでした。
人は水の中では生きられないでしょう。
それに、こんな激流じゃ泳げもしない。
仕方が無い。
そういうのは嫌いだけれど、そうする他ない。
雨に打たれない、暖かい場所へ。
あまやどりをしにいこう。
前後編で完結です。
小説……というには、なんともおこがましいのですが、一応小説のつもりです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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