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あまやどりをしよう。
そう決めたのは、ついさっきのこと。
台風がちかづいている。連日ニュースでやっていた。
だというのに、私は傘の一つも持たずに出掛けてしまった。
おかげで体は滝のよう。
タオルなんかではおさまらない。
だけど私は負けたくなくて、歩くたびに跳ねる水飛沫も、目を開く事を億劫にさせる雨風も、全部無視。知らんぷりだ。
とても悲惨な見た目かもしれない。
いや、かもしれないではなくて、そうだろう。
それを私が一番知っている。
知っているからこそ、あきらめて、さらに進める。
でも限界だ。もう限界だ。
雨になってしまう。
このまま体がゆがんでいって、アスファルトの水たまりに溶け込むのは何分後だろうか。
読んでくださりありがとうございます。
明日の同時刻、後編が更新です。