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【序章】1.観測者
それを見ていた。
そんな気がした。
音が聞こえた。
激しい音。地響きや人の声、物のぶつかる音、すべての音が入り混じったうるさい音。
耳を塞ごうと思った。
できなかった。
前を向いていた。
『ヤツ』と対峙していた。
酷い悲しさが心に満ちた。なのに、『ヤツ』を思うたびにとても憎くて堪らなかった。
身体がぐらりと崩れる。まるで、突然全身の力が無くなったかのように、冷たく湿った地面に倒れた。
目の前の『ヤツ』も同時に倒れた。
その一瞬、その顔が驚きに満ちたように見えた。それに気づいた瞬間、心にそれはとても熱い思いが込み上げてきた。
申し訳なかった。もっと他に方法があったはずだ。
すまなかった。すまなかった。
心がずっと声を上げている。しかし、力を失った身体は冷たく地面に転がるばかり。
それでもほんの少しだけ、頬を上げた。
どうか、我が願いが届きますように。
そして、視線だけをゆっくりと動かし『ヤツ』の見つめる先へ、この叶わぬ願いを託した。
夏麗よだかと申します。
『花束の剣士』執筆を始めました。
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