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「ハルバード・オンライン」第二

第一話を投稿して、自分の過去の作品を読んでくださっていた方もいるのかもしれないと思ったので、ここに記します。


今まで、色んな作品を書いては、「自分の思っていたものとは違う!」と感じてしまい、削除してしまったのですが、今回もそうなるかもしれません。


極力しないようにはするつもりです。ですが、こう言いながら、また衝動に走ってしまう可能性が捨てきれません。


こんな私の作品ですが、それでも読んでくれるなら喜びの限りです。


よろしければ、今後の娯楽の一種にでもしていただけると、こちらも「あ、これやめれんわ」とでもなるかもしれませんので、これからも、よろしくお願いいたします。


ーーーーーーーーー


「何かを書きたいけど、世間話とかはあんまり思い浮かばないなぁ……そうだ!思いついた裏話とか設定を書いていこう!」


ってな感じで、色々書いてみようと思っとるます。おいどん、ワクワク!


——きょうのひとこと——

前話で、山女が春男に復帰したとき、ログインした場所は街…。


そう!つまりぃ?


魔王軍に占拠されてたので、山女は「強敵(エサ)だ!」って喜びながら街中を走り回っては魔人を蹂躙して、街諸共(・・・)全滅させました。


その後、監禁されていた村人を解放した時に、初めて街の有様に気付き、「全部魔王がやりやがった……!!」と擦りつけて、自分は英雄になりましたとさ!


めでたしめでたし!

デマだしダメだし!


因みに、山女が聖槌や聖剣を入手出来たのは、それが関連してます。



このプロローグは、終わったら本編(・・)に移るので、終わったら出てくることはない、予定!!デス!

五振りの剣のオーラ、それらと聖剣を構えて、魔王の攻撃を捌く。


地面からの棘の攻撃は、なるほど確かに厄介ではあるが、一回しか攻撃してこないのを見るに、対策は比較的楽な部類だ。


ただ、問題は魔王の拳だ。


絶大なステータスの差もあり、二、三発喰らえば即死だろう。


まあ、一撃必殺にもなりうるが。


そのパリィに失敗することや、棘によって拘束されたら、俺の()()が潰えて、パーティー全体の致命傷になりかねない。


決戦前日の作戦会議にて、俺は琵琶擬から、「もしもの時は、一騎打ちで時間を稼げ」と言われた。


その時は「俺よりも無花果の方が向いてるだろ」としか思っていなかったが、琵琶擬がああ言った理由が分かった。


俺達四人は、それぞれのPS以外の長所が大きく分かれており、その中でも初見殺しに対する適応が早いのは、俺と無花果と判断されている。


実際、それに間違いはないと俺も思う。


そして、俺らがリーダーである琵琶擬の視点では、「初見適正」の上で、状況判断や戦闘IQに長けているのが無花果、とだけ言っていた。


だがアイツは、俺の長所は教えずに去っていった。


つい先程も、同じように詰めてみたのだが、


『キミは知らない方が強みになるから』


という理由をつけられ、結局分からずじまいだ。


まあ、一々知ろうとするのも馬鹿馬鹿しいし、今やることではないからスルーだ。



拳を構える魔王、その距離を詰め、後方へと回り込む。


前傾姿勢となったところに、頭目掛けて三本の棘が迫るが、その一本を弾くだけで流して横に転がることで回避に成功。


魔王が振り向くよりも速く、その背に剣を突き刺し、首元に向かって斬り上げ——、すかさず上半身を斬り刻む。


「ふははは!効かぬ効かぬゥ!!」


口を大きく開いて、そう言い放たれるが、シカトして顎を横に斬り裂く。


前方に倒れ込む魔王の巨躯を、再生途中の首を蹴り落として地面に激突させる。


「ぉぉおおおらぁぁあああ!!!」


剣を上空に投げ飛ばし、聖槌を出して上半身から上を数回叩き潰し、インベントリに納めてから剣をキャッチし、かつてないほどの大振りによって、粉砕された体に振り下ろし、叩きつける。



一撃に強大な火力を発生させるスキル「牙突」を発動——、だが、それでもなお再生する化物。


こういう性格の奴には、適した技がある。ここでお見舞いするのも悪くはないだろう。




スキル——「号哭」。


「ぁぁあああ、あああぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」



一定以上の音量で叫び続ける間、脅威の破壊力を出す衝撃波を発生させるという、至ってシンプルなスキル。


このスキルは、本来であれば現実での肺活量が強さを左右するはずだが、俺の手に掛かれば、そんなものは大した問題ではない。


俺の肺活量は、平均よりもはるかに低い結果しか出せない、それくらい弱々しいが、俺はその弱点を克服した。


フルダイブに於ける、そういった現実の身体能力は、自分の生活での感覚との関係性が深い。

つまりは、「イメージ出来ないから、ゲームでも出来ない」と、無意識のうちに認識してしまっていることが問題なのだ。


だからこそ、その無意識の感覚から、一時的に引き剥がすことが出来れば、「号哭」のような技では、ほぼ確実に無双出来るのだ!


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



現在、発狂を始めてから一分が経過!


だが、魔王のHPは未だ有り余っているようで、肉体は再生と崩壊が鬩ぎ合っている模様。


「号哭」は、発動から一定の時間毎にダメージボーナスが蓄積されていくのだが、一分半が経過した現在でも、再生力が上回っている。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


そろそろ、脳の方のタフネスが限界を迎えそうだが………


「——山女、邪魔や!」


関西弁の姫(笑)の助けの声が入り、飛び掛かってきた魔王を蹴り倒し、すぐにその場から離脱した。











春男の廃人の上位が一人「梅」。


山女達の四人衆の中では、最も高いプレイヤースキルと、数多の格ゲーによって極められた格闘スキルと、その磨き上げられたセンスが何よりもの強みである。


彼女は、山女のようなテンションファイトは出来ないし、無花果のような————な戦い方も出来ない。


だが、六年間ただひたすらに磨き上げたその技量は、プロ相手にも引けを取らない、どころか、過去には日本上位とマッチングし、ラウンドを取った経験もあるほどに、だ。


まあ、当の梅にとっては、そんな経歴はどうでもよく、本人には「過去の栄光に頼るなんてアホらしい」としか言っていないご様子。


そんな女豹のような性格から、四人衆からは「毒姫」やら「女帝」やらと呼ばれている。

なんとも良いのか酷いのか、よく分からない呼び名である。



「女、貴様はなぜ、武器を持たぬ?」


魔王は、梅を睨みつけながら、そう尋ねる。


彼女の拳には、武器が握られておらず、強いて言えば拳帯で巻かれているだけである。


「は?」


怒りが浸透していそうな魔王に、対する梅もキレ気味である。


彼女は指をポキポキと鳴らすと、魔王に指を刺して言い放つ。


「武器ならここにあるやろうが!この(エモノ)が!」


「ほう、その程度で私を討てるとでも?」


「お前こそ、私に勝てんかい、あ?」


両者が威嚇しながら睨み合い、利き足を前に出すと、


「「らぁ!!」」


瞬く間に距離を詰め、二人の拳が激突した。


互いにスキルを発動したらしく、プレイヤー特有の赤い覇気と、魔王特有の黒い覇気が辺り一面に撒かれた。


より軽い梅の体が弾かれるが、地面を蹴って強引に着地、すぐに横腹にトーキック。


それにより怯んだ巨躯、その膝裏を踵で蹴りつけ、片足だけのバランスを崩す。



ここで、両足を蹴るのは違う、梅にはその確信があった。


先程までの山女との格闘を見て、彼女はとある発見をした。


「テメェは、体幹が弱いんや!」


ならば、両足ごとバランスを崩すよりは、片足の方が、体が地に着くまでの時間が伸びる。


「——ッ!」


一気に息を吐きながら、高度の下がった頭を上に蹴り上げ、すぐに地面に戻して膝で打ち落とす。



「ぁ…、ああぁぁあああ!!きッ、貴様ッ「“疾風(ハヤテ)の様に”」————ァッッッ!!」



詠唱を唱えたことで火力を増強し、倒れ伏す魔王の全身をタコ殴りに。


それもただのタコ殴りではなく、梅の持つ、最大の速度強化スキル「クロノス」の効果を込めた、最速の連打である。


彼女の繰り出す攻撃の全てがクリティカルを発生させており、この時点で、山女の与えたダメージ量を上回っているだろう。


(まあ、ホンマは山女っちのおかげでコイツを観察できたんやけどな)


戦闘の始まりを山女に任せたのは、当然暴れさせてやるためだけではなく、標的の弱点を一つでも多く見つけるための時間稼ぎでもある。


そして、当の山女はそれをやってのけた。


「なら、私もそれに続くだけや」


この場の誰よりも冷静に、それでも熱意を孕んで、魔王の体力を削る役割を担う。


それが、技術面での最強の役割——


「バカスカ、殴る…な!!」


急激に怒りが込み上げたのか、急上昇した再生速度で巨躯を取り戻し、梅の打撃をパリィ。


勢いに乗って全身を再生させ、再度攻撃を狙う梅を薙ぎ払うと、何度も距離を詰める彼女を投げ飛ばした。



そして、魔王はその場で、自身の胸元に鋭い爪の生えた手を翳すと、


「何を「最初の、たかが人間二匹で、この私を痛めつけるとは、やはり人間(貴様等)は侮れぬものだ」


魔王の奇行を止めんとする梅に対して、恰も独り言かのように、呟く魔王。


その、一手を誤ればディストピアと化してしまいそうな雰囲気に、一瞬気圧されるも、すぐにいつも通りの平静を作り出す。



——状況判断……。そう、常に状況を見続け、最高の判断をしなければならない。


「貴様等人間は、道を極めれば、「覇気解放」を発動出来るようだが、それは私には出来ない」


「は……」


——何を言っているのか、サッパリ分からん。


私も、「覇気解放」の能力の特性は知っているし、その上で使っている訳だが、それが私らプレイヤーの普通で、常識。


んで、魔王はそれが出来ない。



「やから何?何が言いたいねん?」


「私はね、敢えて覇気解放(ソレ)をしないのだよ。いや、正確には「自分から発動出来ないようにしている」とでも言おうか」



「————!」



それはつまり、自身のスキルに、何かしらの条件をつけることで、その効果を底上げさせる——、そういうことだろう。



「バトル漫画でよぉあるヤツやね」


ただ、ゲームでは、バランス面から、その仕様を導入しているものはあまり見たことがない。


それだけでなく、そういった「縛り」の仕様は、自由度が高くなってしまうため、NPCに扱わさせるのも厄介である。



「で、お前はなんの「縛り」を?」


「「縛り」か…、良い響きだ。幹部の者にも教えてやったことはなかったが、丁度良い。冥土の土産に教えてやろう」



緩んだ拳帯をキツく締め直しながら、いつの間にか魔王の口元に視線が固定される梅。


「俺の「縛り」は「一旦退()け、梅!」


突如、二人の間に山女が割って入り、槍斧を地面に叩きつけたかと思うと、付近の岩石が激震で吹き飛び、崖の上からも落石が起こる。


だが、魔王の口は止まることを知らないらしく、土煙の中から見えた顔は笑っている。





「——生命力が削られると、覇気が解放される」


大方の予想が出来ていた答えとともに、魔王は自身の胸元を、腕で貫いた。


突然の行為に、警戒心を剥き出しにする一行。


だが、誰もが反応する間も与えないほどの速度で、魔王から覇気という名の爆風、もとい衝撃波が辺り一面に発生した。











俺達四人は、山の頂で、さっきの斧撃による大穴、その真下にいる化け物——、もとい魔王を眺めていた。


「あのー、山女…、そろそろ降ろしてくれへん?」


「えー、やだ」


「なんで?」


「いい匂いするから」


「死ね!」


お姫様抱っこの状態で、腕の中で暴れる姫にスマイルを向けていると、極限まで威力の抜かれたアッパーが顎に直撃し、少しよろけてしまう。


「冗談だよ。ま、リアルであった時と、匂いは同じ————ぐぇ」


「黙れ、殺すぞ」


柑橘類の香りがたまらない!も言おうと思ったが、この状況でHPを全損しかねないので、口を閉じておく。


「茶番は終わりだ、お前ら」


一方的な取っ組み合いになる俺達を睨みながら、クソロン毛という名の琵琶擬が止まる。


「手短に話し合おうと思っていたが……、あの衝撃波からはどうやって逃げたんだ?」


「それは変態(山女)が」


「秘密」


「了解!」


ぶっちゃけると、雨が戦っている間、それを観察しながら、魔王の「覇気解放」の寸前に、大地を振動させることで、大量の落石を発生させた。


元々、地形が岩山ということもあり、それを衝撃波の盾にしたのだ。


その隙に、俺は毒姫をお姫様抱っこしながら、穴から抜け出した。


それにより、二人ともカスダメで済んだのである!


まあ、そんなことを今自慢出来ないのが悔しい。



「アイツ、覇気解放をしたんだって?」


「単純な身体能力のバフっぽいよな」


「てかアイツ、体を変形させての攻撃、しなくなったよな。そのスキルを捨てるってのも縛りの内かも」


「————」


各自が発見を言い合う中、梅が大穴の底を見て、思わず口を半開きにした。











「ショタになってる!!」


魔王らしく、黒い角が生えた、少年がいた。

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