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これからも一緒に。

四角い裂け目を潜り抜けて着いた所は、随分と不思議な場所だった。


「車」と呼ばれているものが走っていたり、建物が全て異様な高さを誇っている。

そして、人の多さが尋常ではなかった。

夜だと言うのにも関わらず明るく、昼ですら見たことのない数の人で溢れかえっていた。


どうやら、「日本」という場所らしいが、全く聞いたことのない国だった。


「お2人さんもコスプレかい?どこで撮影すんのか知らんが、よく撮れるといいねぇ!」


すれ違う人から時々「コスプレ」という単語が出て来るが、それに関しても中々どういった意味合いなのかが掴めずにいる。


とりあえず何も分からないままフラフラしていても、と想い、ドラセナと一緒に頼れそうな人を探す。


何人かに声をかけると、「オトナシ・ナオト」と名乗る男性が親切にも色々と教えてくれた。

どの施設はどう使うものなのか、これはどういうものなのか、など初歩的な部分を始め、ドラセナが持っている宝石類の売却も手伝ってもらった。


彼はシェアハウスをしているため、家に泊める事はできないが、それでもいつでも助けになる、と連絡手段の板を一緒に購入してもらい、そこで別れた。


「随分優しい人でしたね」


「ああ。金銭面としても2、3年は問題なく暮らせるだろうって言ってたし、とりあえずは今日寝る場所を探そうか」


「そうですね」


購入した板を見れば「寝れる場所、体を洗える場所リスト」と書かれた連絡が入っている。

親切な事だ。


とりあえず、次はどこへ行くかと歩き始めようとした所、ドオン!と何かが落ちてきた。


何かがこちらへ向かって来る。


僕達の前で立ち止まったそれは、


「どこへも、行かないでよ」


どうやってここへ来たのか。


泣きそうな顔をしたラヴィンが、そこにいた。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「いや〜見つかって良かったぜ〜!」


ふいーっと合流して安心しているカリヤとチョコ、そして、先ほどよりは落ち着いたのか穏やかな顔をしているラヴィンと、人気のなさそうな場所で立ち止まる。


「なんでここに居るんだ?到底これる様な場所じゃないって…」


「そりゃもう!頑張ったんさ」


どう考えてもお前じゃないだろうと思うが。

カリヤは「まあそこは気にすんなよ」と話題を変える。

後でラヴィンから聞こう。


「それよりよお、ここはどこなのさ。どうすんだよこれ」


「どうするもこうするもないだろ。ここで生きていくんだよ僕達は」


「あ〜…まあやっぱそうなるよなあ…」


カリヤは微妙な顔をして頭を掻く。


「んでもさあ…俺たちを置いていくってのは無えんじゃねぇの?」


「…それに関しては、悪いと思ってるよ」


「ならいいさ。ほんで?行けそうなのかよ?生活できませんじゃ意味ねえだろ?」


全く、考えが甘いな。

自信満々に板の画面を見せつけると、何も分かっていない3人の頭に「?」が浮かんでいた。


「親切な人に出会ってね。生活に必要な知識や金銭などはすでに用意できているのさ!」


「マジかよ!すげえな!」


「…私たちも、一緒に暮らしちゃ、ダメ?」


チョコがおずおずと聞いて来る。

こちらに来てしまったのだ。ここで拒絶する理由もないだろう。


「勿論構わないさ。5人で生きていこう。この、日本って場所で」


「うん。良かった。」


チョコが安堵した表情を見せる。

そんなに不安になるような質問だっただろうか。僕達の間柄だというのに。


「来れちゃったんだよねぇ、ごめんね〜?」


「私は望む所ですよ。これでこそ意味があるというものですから」


「へぇ〜?強がっちゃって」


向こうでは何やら話し合っているが、まあ気にする内容でもなさそうだ。

酒場の続きといったところだろう。


「皆、今日からはここで暮らしていくんだ」


この未知と人に溢れた場所で。


「今日からまた、よろしく!」


この、日本で。

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