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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第10章「悪霊の取り憑き事件編」
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【10章-3話】取り憑き

 一方、メリアとラウィーヌがいる図書館では。

「…本は見つけたは見つけたけど、その本を一体どうするつもり?」

ラウィーヌがメリアが抱えている本を見て訊ねる。

(…どうするって)

『全治の森に行くんです』

決心した目つきで言っても、ラウィーヌは驚くことはなくただ「そう」とだけ言った。

恐る恐るメリアがラウィーヌの顔色を伺う。

どんな表情をしているのか不安だったが、結果は意外だった。

(…良かった)

いつもはメリアが何か言う度に何か言うが、この時は唯黙ってメリアの答えを尊重したのだ。

『…ありがとうございます』

言うと、ラウィーヌはツンとしたいつも通りの顔つきで言った。

「その言葉を言う前に、自分を気にしなさい。…じゃあ私はこれで」

『…はい』

メリアは静かにラウィーヌを見送ると、改めて自身の心に誓った。

(私は、私の大事なものを取り戻す)


――「もう、なんなのよ…?レジリア、あんた可笑しいわよ?」

「そりゃどうも。お前こそ伯爵令嬢らしくないじゃないか。昔に比べて喋り方も荒っぽくなってねぇ」

その言葉に、言葉が詰まる。

「…っ」

「言い返さない?急にそんな雰囲気になったら気が乗らないんだけど」

レジリアが振り返ると、アリアはレジリアとは3m程離れた場所で立ち止まり、俯きながら言った。

「…なんなの、こんな所に連れ込んで。何がしたいの…?早く話しなさいよ」

アリアが言うと、レジリアは妙な笑みを浮かべてアリアの方を振り返る。

「…あぁ、そうだった。最近物忘れが多いんだ」

「物忘れ…?」

ある予感が頭に浮かぶ。

目を見開いて、アリアはレジリアに訊ねる。

「ここ数日酷いんだ」

「…それっていつから?」

段々と胸の辺りが音を立てる。

その瞬間、一気に妙な不安感に襲われる。

(な、なんで…?違う、違う…。絶対違うから――)

信じて答えを待っていると、レジリアがポツリと呟いた。

「――6日前。留学から帰ってきた辺りかな。丁度学園に戻った辺り」

(…っ)

アリアの胸が握られるように痛む。

そして、その不安を胸にある仮説を口にした。

「レジリア。それ、悪霊に取り憑かれてるかもしれない…かも」

「んな、真逆――」

悪霊の取り憑きは、痣が浮き出て意思操作される以外にも、症状があるととある書では明記されていた。

そこには、しっかりとこの記述がされていた。


――取り憑かれれば、強力な精霊の場合は記憶を失うことがある。――


「…その記憶の話以外にも、決定的な根拠はあるわよ」

アリアが地面を見るようにして俯く。

(出来れば、こいつを救う言葉なんか言いたくない…)

そんな気持ちもあった。

どうしても、過去にこのレジリアがしてきたことは最悪で最低だ。


――「おーい、伯爵令嬢様よぉ?取り返してみたければ取り返してみろよ」


ある少年の記憶が蘇ると、アリアは何かを決心して言った。

「レジリアは、そんなこと言わない。だから、あんだが偽物――」

そう言葉を放った瞬間、レジリアの口角が上がったような気がした。


――「という訳で仕事に来た訳だけど、肝心な取り憑き悪霊がいないじゃない」

空から飛行魔術で降りてきたのは、平民が着るような質素な服を着た女ともう1人。

「まぁまぁ、ナーフェルディア。短気な女性は結ばれないよ?」

眼鏡を掛けた、女に比べればそれなりの服を着た男。

「別に結婚したいだなんて思ってないし」

そう女が言うのと同時に、空から落ちるように降りてきた男は激しい音を立てながら言う。

「…そんなごちゃごちゃ言ってないでよぉ、さっさと記録して帰りたいんだが?」

「その前に同行する最高魔術師が来なきゃあ話にならないでしょ、ソルメリド。…ねぇ、プルディスティアン?」

「――いや、もう来るよ」

プルディスティアンと呼ばれた男は、そう言って雲がかかった空を見上げて言う。

つられて、ナーフェルディアと呼ばれた女とソルメリドと呼ばれた男が曇り空見上げる。

それから10秒程3人はピタリと固まる。

「…誰も来ないんだけど…?」

ナーフェルディアと呼ばれた女が言うと、その前にいたプルディスティアンと呼ばれた男が上の空になりながら答える。

「い、いやぁ…。感!感だったから間違えたのであって…っ」

「――いや、来るぞ。3、2、1――」

動揺するプルディスティアンと呼ばれた男の横で、ソルメリドと呼ばれた男がカウントをすると、「0」と口に出した瞬間、強い風と共にその場に土埃が舞った。

「遅れてすまない、我が国の“歴史修復記録人”達」

土埃から顔を出したのは、珍しい白っぽい金色のした髪を持った青年だった。

「最近は、色々と仕事が多くてね。…と、言い訳はここまでにした方がいいかな?」

前置きを入れると、青年は誰もを魅了する微笑みを浮かべ、言った。

「我はウルディア・トルアー・テンパスト。宜しく頼む」

「…名乗ることもないですが、“歴史修復記録人”ナーフェルディアです。宜しくお願い致します」

「…ソルメリドだ。本日は宜しくお願いする」

「…プルディスティアン。…右に同じく」

3人が順番に言うと、感心したのかウルディアは3人の顔を一人一人見ると、うんうんと頷く。

「…それで、今日はレイランド学園の悪霊祓い…。その記録係が君達で合ってるよね?」

「はい、そうです」

ナーフェルディアが言うと、ウルディアは顔色一つ変えず、1歩踏み出す。

そして言った。


――「君達にも、その仕事以外にやってもらうことはあるからね」――

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