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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第10章「悪霊の取り憑き事件編」
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【10章-2話】調べ物

 メリアはとある場所に向かう為、学園内にある階段を駆けていた。

(ここの階で曲がって…。左手に見えるのが――)

「――あら、偶然ね。メリア」

メリアは直ぐに声のする方を見る。

自分に向けて言葉を放ったのは――、ラウィーヌだった。

だが、メリアはその姿を完全に捉えて、ラウィーヌだと認識するまでに少し時間が掛かった。

何故なら、見た目が以前最後に会った時とは異なっていたから。

――髪を切っていた。

それも、背中まであった髪を肩の上までにするまで。

いわゆるショートカットというやつだ。

その髪の毛先はガタガタしていて、如何にも自分で切ったように見える。

若干全体的に痩せた気もする。

一応、重要なことを言っておく。

これは、昨日の学園祭から1日経った後の出来事だ。

もう一度言う。

これは、昨日の学園祭から1日“だけ”経った後の出来事だ。

(ラウィーヌ様…?)

『その…。髪って…』

「切ったわよ。自分でね」

いつものツンとした口調で答えるが、見た目はメリアがチラチラと一瞬見るだけでも、やつれて見える。

(…言った方が良いのかな)

『何か――』

「悔しかったから切っただけ。…それ以外は何も無いわ」

メリアが訊ねる前にキッパリと言い放つと、ラウィーヌは続けてメリアに訊ねる。

「貴方こそ、ここの階に何の用があるのかしら?」

『あ…、えっと…。その…』

メリアは指を捏ねると、小さく呟くように言った。

『…調べ物をしたいと思って…』

「…じゃあ図書館に行くつもりね?」

『は、はいっ…!』

頷くと、ラウィーヌはメリアの目をジッと見つめた後、衝撃の言葉を放った。

「私も着いて行くわ」

『へ…?』

メリアの反応がそう分かりやすく漏れてしまった理由は、ラウィーヌが放った言葉ではなかった。

ラウィーヌが微妙に微笑んでいたことについて、メリアは驚いていたのだ。

『あっ、あの!』

「どうしたのかしら?学園祭の感謝もせず、ただ驚いているだけの方?」

『…あっ』

メリアが完全に忘れていたこと、それは学園祭の感謝を伝えることだ。

普通のメリア、いや前のメリアは感謝や謝罪を直ぐにする性格であった。

しかし、今日は違った。

メリアは心から自分に向けて絶句を向けると、ラウィーヌはそれを呆れて見て言った。

「…そんなに気にすることは無いわよ。唯揶揄っただけだから。私は少しも感謝を求めてるわけじゃ――」

そのツンデレ発言の後だった。

(…っ!)

メリアは顔を真っ赤に染め上げると、小さく口で呟いた。

「…あ、ありがとう、ご、ご…」

『ございましたっ……っ!』

流石に最後はトラウマと緊張とで魔術上になってしまったが、ラウィーヌはメリアの声を聞いて目を見開く。

(…この子、喋れるのね?)

「別に私は感謝を求めていません。…さっさと図書館へ行くわよ」

そう言って、ラウィーヌはメリアの袖を引っ張って図書館の方へ方へと引っ張っていったのだった。


「…メリア」

とある本を探している途中のメリアに、ラウィーヌが顔を覗かせて声を掛ける。

『…ど、どうしましたか?』

「ここにある本は全て禁術に近い類の本だけど、まさかここ辺りにあるのかしら?」

確かに、図書館のこの場所は見る限り幻術系魔術や記憶操作系魔術等の禁術に近いとされるものが多くあった。

「間違えてないかしら?貴方の目的の場所。ここらに用があるのは…。そうね――」

「――全治の森に行きたいとかだと思うのだけれど?」

(…)

黙り込むメリアを見て、ラウィーヌは察したように溜息をつく。

「…なんて本を探しているの?」

『え…っ?』

「…貴方のお友達がいないから、私が揶揄ってあげようと思ったのにその反応じゃあ楽しくないから」

貴方のお友達…と言えばアリアだろうか。

メリアは目をパチパチと開閉させると、言った。

『あ、ありがとう…ございます』

「…そんなのいいから、早く本を探すわよ」

いつもと違うその声に、メリアは驚きながらもその題名を告げた。


――『全治の森に眠る、という本です』――


――「…折角の学園祭明けって言うのに、メリアはどこか行っちゃうしミレも深刻そうだし…」

教室に残っていたアリアが溜息をつきながら頬杖を突く。

(何か面白い事でもあればいいのに…)

そうふと思った時だった。

「…ずーいぶんと暇そうだねぇ、アリア」

「げぇっ」

アリアが嫌なものを見るように顔を上げる。

「……相変わらず「げぇっ」としか反応しないようだね。それ、止めてくれない?」

「ごめん、無理」

アリアの前に現れたのは、結構前に完全にアリアの視界から消え去ったレジリアだった。

(…というか)

「レジリア。あんた最近見かけなかったけど何かあったの?」

アリアが訊ねると、レジリアは先程アリアがしたように嫌なものを見るような目を向ける。

「…お前、連絡事項聞いてなかったのかよ」

「連絡事項…?」

ポカンと口を開けるアリアに、レジリアは説明を始める。

「毎日、朝に担任が連絡事項言うだろ?生徒の欠席具合とか色々」

「…あぁ、それなら説明はいいかな」

「…なんでだよ。お前分かってなかっただろ?」

レジリアが不満げに言うと、アリアは腕に顔を埋めて衝撃な事実を言い放った。

「私、朝は寝てるから」

「…え?」

「寝てるから」

「…?」

目を丸くして硬直するレジリアに、アリアはもう一度言った。

「朝、私寝てるから」

「いや、待て待て」

「…え?」

アリアが明らかポカンとすると、レジリアは珍しく真っ当なことを言った。

「お前、成績大丈夫か…?」

その質問に、アリアはハァーと息を吐いて言った。

「…オールAだけど、何かある?」

「……」

最高の評価に、レジリアが再び硬直すると、アリアは呆れてレジリアに訊ねる。

「それはもういいから。…さっさと教えなさいよ。連絡事項とかあーだこーだ」

(…本当にこいつは伯爵令嬢なのか…?)

そう思ったが、直ぐに飲み込んでレジリアは中断された説明を続けた。

「留学行ってたんだ。…1、2ヶ月くらいかな?」

「留学…?あんたが…?」

レジリアの言葉に、アリアは口元を抑えて蹲る。

「はぁ…」

レジリアはその姿に呆れると、アリアに真剣な表情で言った。

「――廊下に来い。今すぐ」

「…?何、急に」

そう言った時には、レジリアは既に教室の扉に手を掛けていた。

その姿をアリアは追い掛けるようにして、教室を出て行った。

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