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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第9章「学園祭編」
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【9章-11話】第2王子や孤児院長を連れる理由

 「…ふぅ」

演劇の舞台の裏で、ポツリと小さい呼吸が聞こえた。

(いつも緊張するけど、今回は一段と胸が苦しいな…。少し頭痛もするし…)

メリアは頭を抑えながら考える。

(…皆がいるから、かな)

思わず口元が緩む。

メリアはそのことにも気付かず、目までもうっとりとさせて、春からの思い出を振り返る。

初めて、一緒にいてちゃんと楽しいと思えた友人。

分け隔てなく接してくれた仲間達。

別れた仲間。

自分を見習い魔術師として指導してくれた人達。

それぞれの思い出が、自分の胸の中に集まっているのが分かる。

――温かい。

メリアは静かに心から微笑んだ。

しかし、足を踏み出そうとした時だった。

「――それで満足したつもりか?」

聞き覚えのある声が、メリアの足を重くした。


時は遡り、10数分前。校舎裏。

「――まず過去から遡らせて貰うぞ」

ベルレイがそう皆に伝えた後だった。

何を話すのかと、皆好奇心を剥き出しにして耳を研ぎ澄ませる。

ベルレイは全員と顔を合わせると、小さく話を始めた。

「数日前、国王から命が下ったんだ」

「第2王子の護衛ですか?」

「いや、違う」

ラリーの質問に即答する。

(ひぇっ)

驚いて、ピクリと反応するラリーの前で、ベルレイは話を続ける。

「…メリア・ファスリードの確保だ」

(メリア・ファスリード…?)

その名の者は、先程まで自分達と共に行動をしていた少女の名だった。

「そ、それはどうしてですか…?かっ、彼女は何もしてないですよね…?」

「あぁ、そうだ。彼女は何もしていない。“彼女は”、だがな」

ラリーを睨みながら、ベルレイは説明を続ける。

「…そいつの母親が見つかったんだ。大罪人の妻であり極悪人である女がな」

その言葉で、身体にずしりと重みが加わる。

(…た、大罪人…?)

「あ、あのっ…――」

「――…国王の命とは?」

ラリーの言葉を代弁してシルベートが訊ねる。

ずっとラリーを凝視していたベルレイは、シルベートが話し始めると真っ先に視線をシルベートに移す。

そして変わらぬ表情で続ける。

「“誰にも口外せず、大事にせず目的人物を攫え”。それが命だ」

「…はぁ」

(…あ)

シルベートとラリーは、同時に同じことに気が付いた。

「…だからルイナーレが試しという言い訳で、即効性のある幻覚魔術を使ったの…?」


――「その娘には言わないで頂戴ね。…私達がいた事について」――


「さぁ、どうでしょうね」

そう言ってそっぽを向くルイナーレを見て、シルベートは代わりに答える。

「…察して、ムルトスタ殿。…まだベルレイが何か話すみたいだから」

「よくそこまで察したな」

「大体は魔力探知で分かるから」

素っ気ない態度で言うと、ベルレイは小さく呟く。

「…なるほど、魔力探知でそこまで分かるのか」

「…でまぁ、そんなこんなだから。メリア・ファスリードのところに行かせろ」

無理やりラリーとシルベートの間を通ろうとするベルレイの腕を、誰かが掴んだ。

「…まだ説明が終わってない、…ですけど?」

その手は力が強く、骨の芯までその強さを感じた。

――その手はラリーだった。

「別に、お前らに話すことはこれだけだよ」

「じゃあ第2王子の変装とその孤児院長は、何で今このにいるの?」

「これは別件の用事だ。…ということで」

「聞き捨てならないわね」

2歩程歩いたベルレイの後ろに殺気を感じる。

(…チッ)

「その早く行く癖。嘘ついてる時の態度じゃない?」

強烈で鋭い言葉がベルレイに向かって飛ぶ。

「勝手に決め付けないでもらえ――」

「――10472回。これは、貴方がこの約6年間今と同じように行動した回数よ。だから…――」

「――…だからなんだ?」

その場が静まり返る。

「仮にそれがあっていても、それは何にも関係しない。こいつらを連れてるのも話す意味がない」

「―神託大特化魔術、神降ろし。メフェリア。―」

シルベートとベルレイが話している間に、ラリーは素早く詠唱をした。

ラリーの頭上には、あっという間に白い布地を着た人型の形をしている何かがいた。

「…」

ベルレイは、それを見上げると口元を緩めた。

「――戦うか?この俺と」

「えぇ。貴方がその気なら」

その一言で、瞬く間に辺りは光に包まれたのだった。

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