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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第8章「学園祭準備編」
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【8章-3話】もう1人の演出係担当

 学園祭準備の一環で、学園では多くの出し物を予定している。

レイランド学園で決まっているのは演劇、出店、魔術披露だ。

そして今年は生徒会の提案によって、開催のオープニングとフィナーレに特別な仕様の披露をするそうだ。

メリアはフィナーレを飾ることになってしまったが、他にロディスやノディスから、演劇への参加も促されている。

演劇は基本的には学年を問わないが、出ることが出来る者は限られていると言ってもいい。

メリアはその限りを破ることが出来ない。

何故なら、人前で話せないからだ。

演劇とは話す物。

なので、誘われたメリアは、コソッと裏方を志望した。


――これが先程までの出来事だ。

結論から言うと、メリアは表役からは回避することが出来た。

表役からは。

「いやぁ、助かったよメリア。演出係引き受けてくれて」

(演出…、演出…)

見事に、メリアは演出係になってしまった。

「でも、人は大丈夫そうじゃない?ほぼ知り合いだと思うよ?」

アリアに言われて役持ちの人を、順番に目で確認していく。

何かの縁なのか、今回の舞台は〈魔術師さんのお話〉をオマージュした舞台らしい。

あらすじをざっと言うと、魔術師さんという主人公が様々な人間や生き物と出会い……。クライマックスは魔術で閉めるそうだ。

「主人公の魔術師さん、ルフェルア役リバールン・キャスバ、少女、リーラ役、ミレ・キャスバ…」

『もしかして…、兄妹…?』

今更気付いたのか、と呆れる表情でこちらを見るアリアの後ろから、丁度教室の扉を開けて本人が現れる。

「あ、メリア!…アリアも!」

ミレが手を振ってこちらに来ると、アリアが持っている役割りの紙を見て「えぇ…」と呟く。

思わずミレの表情を伺うと、目は細め、硬直していた。

(仲、悪いのかな…?)

「兄さんとやるのやだよぉ。気まずいし、揄われるし…」

『兄妹、なんですか…?』

「そう。他の役、誰が何の役やるか教えてもらってない時に役決めちゃったからなぁ…」

溜息をついて、ミレは集まっている演者の方を向く。

「兄さん、演技とかだと熱入っちゃうから嫌なんだよね…。演出にも厳しいし…」

「生徒会役員だったよね、確か」

「うん。庶務ね。そっちも熱が入っちゃうから人が変わったようになっちゃうんだよ…」

リバールンを見つけたミレは本人をじっと見つめると、そっぽを向いてメリア達に訊ねる。

「そう言えば、演出係とか衣装係とか、係って誰が担当するか教えてくれない?話しておきたいし」

「分かった。…えっと、演出係はメリアと…ラウィーヌ…で、衣装係は…」

『えっと…、演出ってもう1人の名前言ってもらっても良いですか?』

小さく挙手してメリアが訊ねる。

「いいよ。…演出はメリアとラウィーヌ、だよ」

『変えられる…?』

「変えられない」

「あぁー…、メリアもそう思う人、いるんだね」

顔を引き攣らせるメリアに、ミレは慰める。

「…とにかく、準備してればどうにかなることを信じて、頑張ろー!」

明るく声を上げるアリアに賛同して、ミレとメリアの2人は、「おー!」『おー…!』と言った。

しかし、そこでメリアは油断していた。

「…宜しく、メリア」

(そ、そ、そそ、そうだった…)

『は、はいっ…!?』

耳元で囁かれるラウィーヌの恐ろしい声に、メリアは恐る恐る返事を返したのだった。

「…災難だね。メリア」

アリアがコソッと呟くと、ラウィーヌは笑みを浮かべて言った。

「…1人だけに起こると思ったら大間違いよ。必ず誰かは同じ状況に陥るから」

アリアは怖さの混じった言葉では無いことに驚いたが、ラウィーヌの恐ろしい声で身震いする。

「ラウィーヌ、委員会の件についてなんだけれど?」

ラウィーヌを呼ぶエイラの声で、ラウィーヌはエイラの方に走っていったが、アリアはずっと硬直して今にでも失神しそうだった。

(こ、怖っ…)


「〈私、フィリ…ううん、リーラ。魔術師さん、貴方について行ってもいい?〉」

「〈君は…、勿論!いいよ。ついてきて〉」

「ストップ。ここは――」

教室で演劇の練習が始まっている中、メリアは台本を見ながら頭を抱えていた。

「どうしたのかしら、メリア。頭なんか抱えて。早く演出の話をしちゃいましょ?」

『ラウィーヌ様…、そういう訳では…』

(学園祭の終わりについて考えなきゃいけないのに…)

メリアの頭の中は、悲劇…ではなくてしっかり学園祭の締めくくりを考えていたのだ。

本当なら、演出もあまりやりたくなかったが…。

学園祭の終わりは演劇の終わりという理由半分で、メリアは演出を任せられたのだ。

『…先に演出から考えた方がいいですかね…?』

「それはメリアに任せるわよ。…でもアドバイスするわ。難しく考えないことが大切よ。去年フィナーレを飾った先輩から言わせてもらうけど」

衝撃の事実に、メリアはラウィーヌを2度見、いや3度見する。

『…へ?』

「多分だけど、私が去年やったから文化委員会とか演出っていう仕事で、メリアと一緒になったのだと思うけれど」

(ラウィーヌ様がフィナーレを…。申し訳ないけど想像がつかないな…)

苦笑いでラウィーヌに訊ねる。

『どんなことをしたんですか…?』

「…去年の演劇の終わりの後、付け足しで演劇をやってもらってそのストーリーにあった演出を付けたわ」

(なるほど…。それなら想像がつきそう…)

「……私が心理操作使えるの忘れてるわね。完全に」

『あ』

(すっかり忘れてた…っ!?)

慌てて頭を押さえると、つまらなそうに見ていたラウィーヌが立って伸びをする。

「まぁ、いいわ。手伝ってあげるから、さっさと演出とフィナーレをどうにかしちゃいましょ。…今年のフィナーレ飾り担当さん?」

『その最後のやつ、何か言い方が遠いです…』

メリアが言うと、ラウィーヌは演劇の練習をしている集団の中とメリアを交互に見る。

(…楽しい、かもしれないわね)

(頑張らなくちゃっ…!)

2人は、それぞれで力を入れた。

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