表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第7章「魔術試験編」
60/100

【7章-1話】オタクさん、推しに会う。

 フィーライト王国城地下牢。

そこは、一般の罪人が送られるベルリガ監獄よりも監視が強く、大罪人を監視する施設である。

大抵の国は、大罪人は問答無用で死刑に処すだろう。

だが、フィーライト王国はとある事情から、死刑をなるべく出さないようにしている。

その為、国の管理下に地下牢で監視するのだ。

地下牢内の施設や規律は、国内にあるベルリガ監獄と大層変わらないし、大罪人だからと言って厳しく罰を受けさせるといったこともしない。

しかし、王城地下牢は決して釈放にはならない。

大罪を犯した者の命が尽きるまで監視し続けるのが、フィーライト王国城地下牢の存在意義なのだ。


―――フィーライト王国城下街広場にて。

「な、何でセルバー様がいるんでしょうか…?」

アリアが興奮する胸を押さえながら訊ねる。

アリアの前にいたのは、アリアが最も尊敬する、いや推し魔術師である魔術団長、セルバー・スウェディ。

(でもっ!それより、早く生で魔術見たいっ!)

目を輝かせているアリアの隣で、メリアは見覚えのある姿を見て、首を傾げる。

(あの身長、髪…。やっぱり…)

『入学式の…?』

「うん、そうだよ。…久しぶりだね」

そう。メリアが入学式で助けてもらった青年こそ、このセルバー・スウェディである。

今日はローブ姿な為か、入学式とは随分雰囲気が変わっているような気がする。

セルバーが返すと、アリアは茫然とメリアを見る。

「知り合いだったの…?!」

『…いや、顔見知り程度っていうか…。入学式の時、色々助けてもらって…』

「凄いじゃんっ!」

メリアの手を掴んで、アリアは自分の方に引き寄せる。

(アリア、この人のこと、本当に尊敬してるんだな…)

苦笑する裏で、メリアは思った。

その様子を見ていたナウアールとロヴィリア、ラウィーヌは、それぞれ異なる視線を向けている。

ナウアールはいつものように2人を見て微笑み、ロヴィリアはいつものような不機嫌そうな表情で目を向けている。

しかし、ラウィーヌだけはいつものような無表情ではなく、つまらなそうなオーラを放ち、その様子を見ていた。

(何が面白いのかしら…)

目の前で楽しそうに(はしゃ)ぐ2人は、ラウィーヌにとっては良く思っていないのか、溜息をつく。

「ラウィーヌ、どうかしたか?」

ラウィーヌの不機嫌さに見かねたロヴィリアが訊ねる。

「いいえ。唯の寝不足なので、どうぞご心配なく」

「…そうは見えないけど?」

「…女を舐めないで下さい」

冷たく答えると、同時に突風が巻き起こる。

土埃が舞い、その場の視界が遮られる。

やがて晴れると、人物がはっきり見えた。

――そこにいたのは、星属性最高魔術師であるタビアストと、後ろにいる誰かだった。

「……王子、先へどうぞ」

タビアストは、手を進行方向に向けて誘う。

「ありがとう」

(……………)

「久しぶり」

(……………)

「皆、会ってはいるかな?」

(……………)

「ナウアール、ロヴィリア、ラウィーヌ、メリア、アリア…」

(第3王子…)

『第3王子?!』

「うん、そうだよ?」

聞いた瞬間から、メリアは取り乱して、目が据わらなくなった。

終いにはその場で固まった。

ウェリアーンはクスッと笑うと、堪えるように自身の口を塞ぐ。

(謝らなくちゃっ…)

『…あ、えっと…、ごめんなさい、大丈夫ですか…?』

「いやぁ、面白くって。気にしなくていいよ」

(そう言われても気にしちゃうけど…!?)

ウェリアーンにワタワタと慌てるメリア。

それをナウアールが鋭い目で見ていると、近くにいたタビアストとセルバーが目を丸くする。

「ナウアール、あいつ…」

「まぁ、そういう年頃だからな」

2人が会話すると、ロヴィリアは呟く。

「…そうなのか」

「あら、ロヴィリアもそう思うのねぇ」

「黙れ」

ラウィーヌの煽りは効果があったようだ。

睨むロヴィリアを気にせず、ラウィーヌは言う。

「皆はしゃいで…。エイラがいたら、大変だったかもしれないわね」

「おいっ…。…それは確かにそうかもな」

2人の考えが一致した瞬間だった。



――――――――――――――――――――――――――――――



―――それと同時刻。

風邪で寝込んでいたエイラは、部屋でくしゃみをした。

「元々行く予定でしたのに、風邪を引いてしまうなんて…」

ベッドで、エイラは赤い頬を触り「情けないわ…」と呟いた。

「お嬢様、お熱を測りますね」

「…頼むわ」

弱々しい声で使用人に答えた。



――――――――――――――――――――――――――――――



メリア達が本日行うのは、リースとの面会。

真実を聞き出す為に面会をしに行くのだ。

メリアは着ているローブを握って緊張を緩和させる。

巨大な門を入って、ウェリアーンが皆に告げる。

「じゃあ、案内するよ。付いてきて」

(殿下が案内役…。案内役が護衛付けてるって…何か面白いかも)

城の中を歩いている時、メリアはそう思いつつ、表情を緩める。

城の内装は、全体に白系の色で揃えられていて明るい雰囲気。

窓も面積が大きく、陽の光が存分に室内の床に当たる。

王城ということもあり、使用人が絶え間なく行き来していた。

「ねぇ、メリア。お城、大きいし、使用人多いと思わない?私の家と比べると2、3倍位多いと…」

肩を叩いてアリアが耳打ちをする。

『確かにそうですね…。王城と言うだけはあるんじゃあないかな……?』

「やっぱりそうよね…。…あ。今思ったんだけど、セルバー様とタビアスト様とナウアール様って家族なのかな……?」

『そうなんじゃないんですかね…?』

3人の顔を並べると、2人はよく似ている。

しかし、もう1人を並べると、メリアは2人とは似ても似つかないように見えた。

(姓が同じだがら…、家族ではあると思うけど…)

考え込むと、後ろを歩いていたロヴィリアが近付くざまに言う。

「あの3人は家族だ。思うのが遅すぎだろ」

「いや、分かってました!言うの忘れていただけですっ!」

「それ、思ってなかっただろ…?」

完璧に返されてしまったアリアは「ぐぬぬ…っ」と声を漏らす。

苦笑すると、メリアはふと周りを見る。

いつの間に場所が変わっていて、辺りはすっかり暗くなっていた。

窓が小さくなり、壁も黒系の色に変わっていた。

メリア達は、地下へ降りる為に階段を下り、狭い道を進んでいく。

(不気味だな…)

身体を縮めて歩いていると、しばらくしてウェリアーンが急に立ち止まる。

「ここから地下牢に入っていくんだけど、ひとつだけ守って欲しいことがあるんだ」


――「何があっても、惑わされないようにね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ