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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第6章「新学期編」
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【6章-13話】都合のいい憶測話

 ―――「夏休みの図書館の件について、私からお話致しますわ」

エイラが威厳のある、堂々とした態度で静かに言う。

流石は侯爵令嬢と言ったところだろうか。

誰も彼も無言で、ただエイラの次の言葉を待つ。

その中で、エイラは静かに告げた。

「…単刀直入に申し上げますと……。“行動した”犯人はもうこの世にはいません」

「えっ、嘘っ…?!」

アリアの口から零れる。

それでも辺りの空気は変わらない。

「犯人の名はクラロード・エディボール。…図書館の司書です」

(司書さん…?)

驚愕の事実に、メリアは目を見開く。

皆の様子を伺いながら、エイラが続けて説明をする。

「詳しく言えば……ある人物に、彼は操られていた、と言うことです」

『操られていたって…』

思い当たる人物は1人しか思い浮かばなかった。

「―月属性最高魔術師、リース・ヘベリアント。彼が司書を操って事件を起こしました」

(やっぱり…)

『それって、事実なんですか?』

メリアは片手を挙げて、エイラに聞く。

「気の毒ですが、つい先日拷問をした時に話したらしくて。…私的には本当だと思いますわ」

(…確かにそう考えると…)

思考を巡らせる。

働きに行った日の行動、言動、状況を考えた。

その間、ナウアールは頬杖をつく。

「これだけでも十分だけど…、他にも説明があるんだね?」

「…皆様は図書館の魔導書や魔術書の管理や禁書の管理は、書類取扱資格という特別な資格を取らないと、例え、最高魔術師であっても扱えないことは知っていますね」

「リースは書類取扱資格を持っていなかった筈。憶測ですが、リースは書類取扱資格を持っている司書を使って、禁書類の棟に入りたかったのでしょう」

(司書さんは魔術・魔導書類の棟に行かせようとしてた…)

『それは…』

「自分の知る魔術より強力な開発合成魔術を使う為、でしょうね」

国立図書館に保管されているのは、殆どがフィーライト国内での魔術書や魔導書のみだ。

しかし、唯一国立図書館の禁書類に、開発合成魔術について置いてある魔術書がある。

だが、これも簡単に使われないように、司書によって厳重な鍵が施されているのだ。

(…そう言うことだったら)

『……司書さんを操った方が早い』

メリアが言うと、エイラは軽く頷いて答える。

「そうですね。でも早いからと言って人に見られちゃあ不味いです」

「……あぁ、だからあの魔導具をね…」

ラウィーヌが呟く。

『私達を魔力吸収を付与している魔導具で注目を集め、その裏で魔術書を取り出した…』

「…その通りですわ」

『じゃあ私とミレが会った時も操られていたんですか…?』

「えぇ、普通、資格持ってない高等部魔術師に任せる司書はいないでしょう?」

「で、司書はそのまま死んだのかしら?」

「リースによって倒されたらしいけど、遺体には一切の傷無し。床には魔法陣の後があったらしいわ」

「へぇ…」

「なら、エイラの件や幻影の件から説明出来るんじゃあないの?」

「「「「(えっ?)」」」」

誰もが驚きを隠せなかった。

その場にいた者は全員ラウィーヌの方を向き、エイラはラウィーヌに訊ねる。

「どういう風にか教えてもらってもいいかしら、ラウィーヌ?」

「話を聞く限りで話すけれど、何で魔力吸収を選んだか分かっているの?」

「…偶然じゃあ?」

黙り込んでいたアリアが訊ねる。

「―後で、記憶改変魔術と人体操作魔術を使う為では無くて?」

記憶改変魔術と人体操作魔術等の開発合成魔術は、普通の魔術より多く魔力を消費する。

後から考えると、記憶改変魔術と人体操作魔術を何回も使っていると魔力が底を着くのは、たかが知れている。

実際にこの後、学園にリースは来てエイラやラウィーヌ、メリア等に加害している。

「継ぎ足す為に魔力を吸い取り、竜召喚を使って司書を倒し、魔術書を取り、学園に来てエイラを操り、私とメリアに記憶改変魔術をかける…」

『竜召喚…?』

「床に魔法陣の跡が残るのは竜召喚しか無いわよ」

メリアが受けた竜召喚も、床に跡が残っていた。

それに、メリア達の身体の外に傷は無かった。

竜召喚は、物理的な傷は付けられないのだ。

「親子って、よく似るのね」

ラウィーヌが床を見つめて呟く。

メリアは2人の顔を思い出す。

(…似てる)

「……でも流石に都合が良過ぎるわね。殆ど出来事に沿った憶測だし…。本人に聞けたら良いのだけれど…」

「近い内に聞けるわよ」

エイラが1枚の紙を出す。

そこには「面会書」と書いてあった。

「彼は王城の地下牢にいる。これがあれば、面会に行けるわよ、…というか行くのだけれど。このメンバーで」

(え、…え?)

メリアは口を開けて固まったのだった。


「メリア…。何か先輩、怖かったね…」

『そう、なのかな…?』

廊下を歩きながら、2人は話していた。

「…ラウィーヌ……さん、やっぱり怖い…」

アリアが震えるなら、余程アリアにとって怖い存在のだろう。

そんなことを思いながらメリアは苦笑する。

メリアは、この時思っていたのだろうか。


他の出来事が、多くの出来事に重なるなんてことを。

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