【6章-2話】最高魔術師指導
―1週間ほど経ったある日。
実践魔術科のバイランディがこの前言っていた、最高魔術師連からの指導が始まった。
場所も、いつもの森とは違い、学園敷地内ではなく、開けた草原のような場所だった。
(強制的に皆と外されちゃったけど…。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
次々に周りに集まる生徒に背筋が震える。
(アリアは闇属性だしっ、エイラ様は風属性だし、…レジリア様は土属性だし…、ミレも…幻獣神祭が正しければ光属性だし…)
思いつく限り名前を出すが、誰も当てはまらない。
その事実に気づいた後は、生徒の増加に比例して、メリアの恐怖心も高まった。
足も次第に後ろに下がる。
(大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫。エリリア座とかアーロブ座とか合わさって魔法陣展開出来ないかな…。あれ、出来ない…)
エリリア座とアーロブ座とは、どちらも半円のような形をしていて、合わさると魔法陣の形のようになる。 そんなことを考えて気が飛んで、掌から小さく光線を放つが、全てその場で消える。
(無理無理無理無理無理無理無理無理っ…)
すると、ぼむっという音と共に、誰かに衝突する感覚がした。
(あっ…)
『す、すみませんっ…!』
「あぁ、メリアか。いいよ、大丈夫」
気になって顔を上げると、良いのか悪いのかナウアールと、隣に1人の青年がいた。
(ナウアール様にこの前のこと聞きたいっ…!)
放課後に覚えているように言われたあとから、ここ1週間まともに会っていない。
メリアは胸元のローブを掴んで力を入れると、いつものように書こうとした。
しかし、隣の青年がナウアールと話を再開すると、さっきまでの力が一息に抜けた。
(ここでまた声を掛けるの…?……無理無理無理無理無理無理無理無理っ…!?)
メリアが逆の方向に後退りすると、またぼむっという、ぶつかった音がした。
(嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌っ)
「…」
今度のぶつかった者に謝ろうと顔を上げると、無表情で無言のままこちらを見つめる少女がいた。
『すみませんっ…!』
「…別に」
その少女はそれだけ言うと、メリアを気にせず前を向いた。
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
メリアが明らかに固まると、その隣にいた少女は無表情少女の肩を叩いて言う。
「ラウィーヌ、それは流石にどうなの…?」
「私は指導に集中したいだけ。それ以外だったら普通に話すから」
『あ、あの…?』
恐る恐る聞くと、無表情少女に話し掛けた少女は気付いて答える。
「ごめんね、少しなんて言うか…不器用なだけっていうのかな…?気にしなくていいよ」
『はい、そうですか…』
「それより、指導もうそろそろ始まりそうだから、聞いた方がいいかも」
『あ、はいっ…』
メリアが前を向くと、生徒は既に移動している者はいなく、少ないながらも生徒は揃っているようだった。
レイランド学園は、中等部高等部とあるが、高等部は約200人と少ない。
なので属性ごとと分かれると十数人となる為、1週間前後あるとして、ほぼ個人的に教えることが出来る。
気付くと、前には2人の男が立っていた。
多分だが、教師と最高魔術師連の星属性担当だろう。
そのうちの1人、比較的若い男が音響魔術で声を拡声しながら、集まった生徒に告げた。
「今日から1週間程指導を行う。隣の方が最高魔術師様はタビアスト・ディア・スウェディ様だ。敬うように」
(…ナウアール様と同じ姓…)
メリアはタビアストに目を向けると、タビアストは静かに微笑んで言った。
「今回、実力者が多いようだね。だから…少々長話から行かせてもらうよ」
(色んな意味で凄いわ…ここ…)
アリアの指導の闇属性の方では、思った通り、ある意味凄い者達が多く集まっていた。
まず全体で言えば、皆フードを被っていることが重なっている。
それに、誰1人も何ひとつ言葉を発さない。
(フード被るのは流石にメリアだけかなって思ってたけど…。闇属性の人は被るんだね…?)
気まずい雰囲気でその中に入ると、物凄い力に阻まれた。
(何か…怖っ)
アリアはそのまま立っていると、やがて2人の男が前に出てきた。
1人は明らかに闇というオーラを身体中から発している。
(闇属性の担当の人、最近交代したんだよね…。だけど新しい方も若くはなかった気がする…)
ふと思っていると、前に出た1人の男は音響魔術を使わずに大声で言った。
「今日からしばらく指導していただく、リメウ・ディバリクイート様だ。覚えておくように」
(…〈リメウ・ディバリクイート〉ねぇ…)
アリアは聞いたことのあるその名の人物をじっと睨んだ。
―それと同時刻。
また、ある者も思った。
(あの子にっ…―)
何かが始まろうとしていた。




