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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第5章「夏休み編」
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【5章-10話】勘違い多きお嬢様

 「ちょっとメリア、本当に大丈夫?!無事?!」

玄関の扉を勢い良く開けて来たのは、アリアだった。

(ひっ…!)

ベッドで快眠していたメリアは、速攻目を覚まして起き上がる。

時刻は日の出を過ぎた頃。

起きるには、…いや、人の家に来るのには、あまりにも早すぎる。

「メリア様、少々失礼致します」

アリアの使用人が額を触ったり、何やら詠唱をして何かをする。

ふわりと風が吹くのと、ライムグリーンのオーラのようなものが身を包みこんだ。

メリアは結界書法魔術を発動すると、気まずそうに訊ねる。

『これは、何の……?』

「我が家で働くとなれば、魔術を扱える者を雇うの。ぺーリンティは診断系、解析系の魔術は扱えるから。…私の時は反対したくせに…」

アリアが不機嫌な表情で言うと、使用人からの診断が終わったのか、オーラのようなものは止む。

「左膝元に2つ擦り傷、体温は正常、魔術による影響無し、魔力の値平常、でした」

「擦り傷!?」

『あ、大したことは無いです…』

(いつ作っちゃったのかな…?)

「もう、メリアが巻き込まれたって聞いた時はどうしようかと…」

アリアは、そう言いながらメリアに詰め寄る。

(誰にも口外してないのに…?)

「……今日は仕事はあるの?」

『いや、今日は確か無かったと思います…』

「安静にして―」

「少々お邪魔しても?」

声と共に扉が開く。

『え、エイラ様?』

「奇遇ですこと。アリア様は…メリア様のご新居に同居なさっておりますの…?」

(っ…!?)

『違います違います違います違います違います』

アリアは半分諦め顔で絶句する。

「っ…、何でっ…!」

「あら違いまして?…じゃあお付き合いなられて?」

エイラが言うと、メリアは顔面を真っ赤に染め上げる。

『違います違います違います違います違います』

「違うわよっ!?」

メリアとアリアは息ぴったりに言った。

「随分仲の良いこと」

「先輩のせいでしょ!?」

アリアは素早くツッコんだ。


――――――――――――――――――――――――――――――


―ある城下の喫茶店での会話。

人が少なく、落ち着いた雰囲気の中、窓側の席で男が2人向かい合って座っている。

1人はフードを被って目立たない格好をしているが、あまりにも喫茶店では不自然だ。

きっと上の立場の爵位を持っているのだろう。

もう1人は何かを言いたげにムズムズと身体を動かしている。こちらの方が年上のようだ。

見れば分かるほどに、こちらが従者らしい従者だ。

しばらくすると、1人の男が我慢しきれないとばかりに口を開く。

「すみません、殿下」

「なんだい?」

紅茶にミルクを注ぎながら返事をする。

「次は貿易関係の資料のお目通しになるんですが…」

「…君は言っていたね。国立の図書館にリバン王国とテレンベル王国の共同製品の魔導具が設置されて魔力異常吸収被害があったと」

静かに口にカップを付ける。

「フィーライトの名を持つ王子の身として、放っておく訳には行かないんだよ。…私は兄達とは違うから」

「ですが殿下…」

従者らしき人物は頭を抱える。

「ユーアリに任せきりだと変なところに行くから私が来たのに…。また怒られますよ…?」

「私1人が怒られる?…レーベも一緒に怒られてくれないかな」

口元しか見えないが、人を無理にでも従わせるような微笑みで従者を見る。

「殿下っ…」

「それに、“俺”、興味があるんだよね。魔術に」

「それは…」

従者らしきが言い掛けると、もう1人の男がミルクを入れた紅茶を綺麗に飲み干すと、席から立ち上がる。

その人物はフードを完全に上げて従者らしき人物に告げた。

「さぁ、早く行こう。レーベ」

「私が付いているとはいえ…、十分注意して下さいね?殿下」

―フィーライト王国第3王子、ウェリアーン・ラティア・フィーライト。

彼は、城下から微かに見える図書館の建物を目指して歩き出した。


――――――――――――――――――――――――――――――


場所は国立図書館前。

メリアはいつかぶりの恐怖で震えていた。

「という事で、メリア様。調査隊を呼びましたので調査に入りましょう」

(何この数…?!)

入口付近に人、人、人。

『あ、あ、ああの…、絶対調査隊だけじゃない数いますけど…?』

「あら、母上に言ったら調査隊だけと仰っていられたのに…。父上に言った時に色々増えてしまったのかしら?」

(あの集まってる人達…。情報記者かな)

横目に見ながら小さくなる。

(大体、調査隊呼ばなくても…)

メリアは溜息をついた。


―時は戻り2時間ほど前。

「急で申し訳ないのですけれど、少々お話をさせてもらっても?」

エイラはメリアに向かって訊ねる。

『は、はい…』

すると、契約石のネックレスが揺れて、契約精霊が出てくる。

「じゃあ私はお紅茶を淹れます。…どうぞこちらへ」

ラリアードはテーブルの下のチェアを引くと、全員を座らせた。

それぞれ使用人達は座らずに主の後ろに控えた。

全員の様子を伺うと、ラリアードは勝手の方に向かっていった。

「私も使用人から聞いたのだけれど、国立図書館で興味深い事件が起こっていたと聞きまして」

『でも、私、口外してないですよ…?』

「私もそう思いました。けれど、使用人からのは、領民が号外新聞見たらしいので、聞いたそうです。私の家は近くですから」

エイラが後ろに控える使用人に顔を向ける。

「私はエイラから聞いたの。……やっぱりそういう所を嗅ぎつけてくるのよ、情報記者っていうのは」

アリアが頬杖をつくと、エイラはメリアに目を戻し、訊ねる。

「メリア様、紅茶ってどちらの物なのでしょうか?」

「それ、私も気になってた…!」

エイラとアリア両方から聞かれたので、メリアは自信を持った様子で言った。

『いつも飲んでいるのは普通の紅茶なんですけどっ…!最近はそこら辺のお花?を入れてます…!』

「最近同じのばかり飲んでいたから丁度いいのかもしれないわね。どんな香りがするのかしら…?」

「先輩?!」

アリアは驚いて机を軽く叩く。

(え、なんでだろ…?)

「メリア、それ、大丈夫なやつ?」

『…はいっ!私が飲めたなら平気ですよ!』

あまりの根拠の無さに、アリアは頭を悩ませた。


その後、ラリアードが入れてきたのはいつもの紅茶は全然違う、少し高級なフルーツの入っている茶だった。

…当たり前だが、花は入っていなかった。

ラリアードの話によると、丁度葉が切れていたので、感で茶葉を買って、皆に出したらしい。

聞いたあと、アリアは何も入れずに紅茶に口を付けた。

(生きて帰れる…)


―というのが2時間ほど前の時の出来事だ。

メリアは魔力探知をしながら思った。

(やばいやばいやばいやばいやばい、凄く失礼なことしてるやばいやばいやばいやばいやばい)

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