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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第5章「夏休み編」
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【5章-7話】陰キャとオタクの楽しい楽しいお泊まり会☆

 食事を済ませ、部屋のベッドで寝転んでいると、勢いよく扉を開ける音と同時に、誰かがドタタタと走ってくる音がした。

「メリアっっっっっ!!」

(ひぇっ?!)

アリアがメリアの胸に飛び込むと、真剣な顔付きで言った。

「語り合いお泊まり会、開始よっ…!」

(え、ええ、え?)

目をパチパチと開閉していると、アリアは自身の胸元に手を当てて、誇らしげに語り出す。

「今、ぺーリンティに家にある小説と魔術書、魔導書を持ってきてもらってるから、今日はオールよ!」

『え、あ、えっと…?』

「メリア、遠慮しなくていいから、存分に語り合いましょっ!」

手を握って振り回していると、部屋の扉が開き、使用人が入ってくる。

「お嬢様。夜更かしはいけません。お身体に悪影響ですよ」

使用人は、手に抱えた本を下ろすと、アリアの隣に座る。

「何でぺーリンティが座るのよ」

「護衛なので」

『…ちょっと待っててくださいっ!』

そう言って、メリアは後ろを向いて契約石を取り出すと、小さく呟く。

「―契約精霊、今此処に―」

『…あれっ?』

ラリアードが現れない。

目を丸くして契約石を握っていると、何事も無かったかのように、ラリアードが現れる。

「ひゃっ?!ど、どどどうして!?」

アリアは明らかに動揺している。

これには無理も無い。

だって、アリアは前にラリアードにお仕置というお仕置をされて、滅茶苦茶にしてやられたのだ。

(出てくるの遅かったような…?)

『ラリアード、今日遅かったけれど、どうしたんですか…?』

「あぁ、すみません。最近呼ばれないので、1人パーティをしてたんです」

『へ、へぇ…?』

メリアが曖昧に返事をすると、アリアのとてつもなく絶望した叫び声が聞こえた。

「め、めっめめっメリア…、そ、そっそそその精霊は直ぐ戻るっ…よね?」

「あら、アリア様。私のメリア様と仲良くして頂き、誠にありがとうございます。…最近、メリア様と馴れ馴れしい時が御座いますが、どうお考えなのでしょうか?…ちなみに私は戻りません」

厚でアリアの方に寄るが、アリアの使用人が手で払い除ける。

「アリア様に簡単に近付かないようにして貰っても?」

ラリアードはメリアの隣に素早く控えると、無表情で感情の無い声で言う。

「はい、分かりましたっと」

こうして、ラリアードとアリアの使用人の監視の中でお泊まり会が始まったのだった。


「やっぱり、合成魔術は広めてもいいと思うんだよね?!」―

「この魔術、詠唱長すぎて諦めちゃうよぉ」―

「闇属性の使い手って初めて知った時は「天才かよっ」て騒いじゃったわぁ」―

「元祖の魔術と魔法の歴史について調べてみたんだけど、ちょっと意見頂戴!」―

「そうそう、今度、国認定魔術師試験があるんだけど、受けてみない!?そうしたら個人で依頼が来て、第14属性最高魔術師になっちゃったり…!?」―


アリアがひたすらに語る中、メリアはあまりにも口数が少なかった。

メリアが放った言葉、僅か4言。

1つ目。

『う、うん、そうだねっ……!』

2つ目。

『へっ、へぇ、そうなんだ…!』

3つ目。

『私が読んだものだと、世界に初めは、精霊神と頂点神、幻獣神、魔法が最初に生まれて、元は精霊が地にいたけど、頂点神が人間を創り出したことによって……以下略』

4つ目。

『国認定魔術師試験を申し込むためにはっ、最低でも基本魔術の基礎は出来ないといけないし……以下略』

3つ目と4つ目以外相槌だ。

真面に喋っていても早口で分からない。

だが、アリアはオタクであるので、スラスラと会話が進む。

「…次は小説っ、行くわよっ!」

『お、おー…?』

またしても陰キャとオタクの語り合いは続く。

「お勧めの小説あるんだけど、メリアって恋愛小説は読む?」

『読むは良みますけど…』

控えめに話すメリアに対し、アリアは目を煌めかせながら早口で喋る。

「よしっ、じゃあ、じゃんじゃん行くからね!」

……以下略。


12時を回り、それぞれの使用人と契約精霊にベッドに押し込まれる。

「おやすみ」

『おやすみ…』

明かりを消して、ふとアリアはあることを思い出す。

(…あの本、また読み進めないと…)

聴覚強化の詠唱をしてメリアの寝息を確認する。

確認すると、アリアは机の引き出しから鍵を取り出し、下の段にある鍵穴に通す。

そのまま回さずに詠唱をする。

「―光魔術、瞬光―」

パチッと鍵穴が一瞬光り、鍵が消える。

開けると、中に分厚い本が入っていた。

(著者、リメウ・ディバリクイート…)

表紙を捲って目次を見る。

(ほぼ魔術についての論文?と魔法と魔術の伝説について…。…171ページ、魔女狩りについて…。馬鹿馬鹿しい…)

興味を持たず、171ページを開くと、アリアは内容を呟く。

「〈皆が知っている魔術の起源は、大まかに言うと、神々が我らを生み出し、精霊や幻獣も生み出したところ、魔法を見習って人間が魔術を作ったというものだろう。

だが、はっきりしてない分、別の起源の可能性もあるだろう。

これから私の魔法や魔術の起源についての別の見解を述べようと思う。

今から約3000年程前、国の境も何も無い頃、1人の少女が産まれた。

彼女は、産まれた時から不思議な力を持っており、ありとあらゆるものを操ることが出来た。

今で言う魔力だ。

勿論今まで関わってこなかった精霊達と調和し合い、普通、人々には見えない幻獣とも、言葉を交わしていた。

魔法は精霊や幻獣が生み出された時、自然と組み合わさって生まれた為、精霊や幻獣だけの特権と精霊達は言う。

魔法の知識を手に入れた彼女は、何らかの方法で魔法という手段を身に付ける。

しかし、時間が経つに連れ、彼女は何らかの理由で急に自分の力に溺れたように、街に竜を召喚したり、地を操作して遊んでいた。

次第に彼女には人の感情が無くなっていく。

街の人々は彼女を“魔女”と呼んでいった。

化け物と化していく彼女が暴れると、何処かで彼女のような力を持つものが産まれた。

被害が増えると、対抗する為に魔術を生み出し、魔女を狩って、皆消していった。

――。

話が広がってしまったが、魔法は精霊や幻獣のみ扱うことが出来る特権だと言う可能性がある。

魔術の起源については、また書こうと思う。〉…」

(曖昧な箇所がある…。あと、明らかにこの国の文字じゃないし、こんな話、聞いたこともない…。魔術に関してもこの本には書いてない…)

溜息をついて本を閉じると、アリアは本を元の場所に戻して、眠りについた。


―アリアは読みそびれていた。

1番有力な可能性を。

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