【5章-2話】ふ、フードが無いっ…
フィーライト王国で行われる幻獣神祭。
別名、幻獣祭。
この祭りは、このような伝説を元に祭が行われている。
――大昔、フィーライト王国は非常に栄えていた時期があり、皆幸せに過ごしていた。
ある時、地竜が起こした地震によって、国は大混乱に陥ってしまう。
国王もこれには困り果てて、頭を抱えていた。
だが、この後、あるひとりの少年が幻獣を連れて国王の前に現れる。
少年は自らを幻獣使いと名乗り、幻獣達の力を使って国の復興に強く貢献し、あっという間に復興が終わりまでに進んでいた。
しかしある日突然、幻獣達と共に姿を消した。
あとから国王の家臣が調べたことによると、幻獣使いという者は幻獣の頂点に立つ幻獣神フェレメではないと操ることが出来ないと記されていた。
それから、国民は助けてくれた幻獣神共々を崇め、毎年奉ることを決めたのである。――
――これが昔から伝わる伝説だ。
幻獣神が現れた日が風舞月第7日だったことで、毎年その日に幻獣神祭が行われる。
幻獣神祭の行われる日、王都の街道では次々に準備が行われていた。
「これを向こうの道具屋に渡しといてくれんか?」
「了解っ、じいさんっと」
飲み物屋の店主から沢山の器具が入った箱を手渡されると、15、6つ程の少年は向かい側の奥にある道具屋の店主に箱を手渡す。
「ありがとな少年!これやるから何か食えよな」
「ありがと!道具屋のおっちゃん!」
少年に渡されたのは銀貨3枚。
1枚で食べ物1つくらいは買える。
少年は銀貨をポケットに入れると、また飲み物屋に戻って手伝いをする。
その陰で少女は呟いた。
「チィはいいなぁ…。よしっ、私も頑張ろっと」
少女は拳を握って深呼吸をした。――
「メリア、準備出来た?」
『あ、まだ掛かりそう…』
「えぇー、嘘!?手伝う?」
アリアは支度を終えて、メリアに話し掛ける。
メリアはクローゼットで服を選んでいた。
(お祭りって、どんなもの着ればいいのかな…)
少ない服を組み合わせてコーデを組む。
それを見ていたアリアは横から言う。
「メリア、幻獣神祭だよ?水色か緑色か黄色か赤色に統一しないといけないんだよ?」
幻獣の色はその4色で構成されているらしく、どれかに統一しなければならないという条件があるらしい。
『そ、そうだったんだ…』
「知らなかったの?!」
メリアは改めてクローゼットの服を見ると、条件に満たしている服が1着、それも水色のワンピースしか無かった。
(あ、あぁ、フードが無いっ…。て言うか何でこれしか無いのぉ)
メリアが固まっていると、アリアが顔を出して言う。
「無い?私の服貸すから、着てみて?」
使用人から受け取ったのは白いシャツとリーフグリーンのベスト、グリーンの薄生地のスカートだ。
着替えると、いつもとは違う雰囲気になったような気がした。
(ふ、フードが無いっ)
「流石私、メリアに似合う服見つけちゃうなんて…!」
アリアが鼻を高くして誇る。
『あ、アリア…。もし良かったらなんだけど…。髪も結ってくれないかな…?あとフードのあるやつ…』
アリアは少し無言になると、いつもの笑顔で答えた。
「よしっ、張り切っちゃうからね。いつもの三つ編みは残しておくよ?」
『ありがとう…!』
そうしてメリアはアリアに髪を結ってもらった。
『同系色のローブ借りれた…。ありがとアリア…!』
「どうってことないわよっ」
アリアの頬が赤く染まる。
「そう言えば、お金って幾ら持ってきた?」
『えっと…金貨20枚かな…』
「何処からそんなに出てくるのよ?!」
メリアは首席合格者なので奨学金は貰っている。
『奨学金が、毎月金貨10枚貰ってるんだけど…、入学から結構残っちゃってるから、殆ど持ってきた…よ』
目を丸くして固まるアリアにメリアは言う。
『どうせ、全然使わないから大丈夫だよ…?』
「そ、そういう話じゃなくてね…?」
アリアは金銭感覚皆無のメリアに困り果てた。
どうしたものかと考えていると、御者が言う。
「この辺りで下ろしますので、ゆっくり楽しんで下さい」
「ありがとう、タイズ」
『あ、ありがとうございます…』
メリアが続けて言うと、タイズと呼ばれた御者は笑って言う。
「嬢ちゃん、アリア様と仲が良いんですねぇ。今日はいい思い出を作って下さいね」
『は、はいっ!』
(優しい…、この人!)
メリアは返事をすると、アリアと共に馬車を降りた。




