【4章-1話】あの事件の犯人
戻ってきて数週間後。
メリア達も普段の生活に戻って、今日も授業を受けている。
メリアが席に座って教材を探していると、こちらに向かってアリアが走ってくるのが見えた。
「メリアー、おはよう!」
『お、おはよう…』
てっきり疲れたとでも言うかと思ったが、第一声は挨拶で、メリアは内心驚いた。
アリアはメリアの席まで来ると、突然メリアに言った。
「メリア、もう直ぐ夏休みじゃない?それでなんだけど、夏休み中に王都で行われる、幻獣神祭のお祭り行かない?」
突然でメリアは少し跳ねたが、静かに聞く。
『えっと…、いつ…そのお祭りするのかな?』
「確か、来月の風舞月第7日だったよ?」
(あ、そう言えば夏休み中は寮閉まっちゃうから…。何処か泊まれるところないかな…。お祭りどうしよう…)
『ちょっと考えてみます、ね…』
間を空けて言うと、アリアの表情は不機嫌そうな表情に変わる。
「何か事情があるの?」
『えっと…』
(言って良いのかな…?でも…)
『大丈夫、ですっ。…多分』
自信なさげに答えると、アリアは「ふーん?」と言って、その話は終わった。
(泊まれるところ探さないと…)
メリアの心ではそんな事ばかり考えていた。
その日の昼、殆どのクラスメイトが先に食堂に向かっている中、メリアは遅れて食堂に向かっていた。
(先生に資料道具を運ぶの手伝って、て言われたけど、こんなに時間がかかるなんて聞いてないよぉ)
アリアには先に行ってもらっていたが、やはり話せる人がいないと1人は心細い。というか危機しか無い。
(そう言えばあの事件ってどうなったんだろ…)
ふと思うと、食堂に向かっていた足は、いつの間にか事件現場の方に向かって走っていた。
「確かここ…だったよね」
螺旋階段を降りて、事件が起きた場所まで走っていくと、現場はそのままの状態で残っていた。
(通れなくなっちゃうから、直ぐに直しちゃえばいいのに…)
そう考えながら改めて跡を見る。
(あれ?)
何かに気づいたかのように、メリアは跡全体を見る。
「幻覚式の跡?」
「どうした、メリア?」
「…っ?!」
飛んで後ろに下がる。
後ろから声を掛けてきたのはレジリアだったようだ。
「…あぁ、これか」
レジリアは興味のない声でそう呟くと、今度はメリアを見て言った。
「犯人探しってこと?」
『いや…ち、ちょっと気になったと言うか…なんて言うか…』
メリアが目線を下に向けると、何も言わず結界に書いた。
『レジリア様ですか…?これ』
「…何が?」
『この跡です』
メリアが指したのは幻覚式の跡。
レジリアは少々黙り込んだが、溜息をついて言った。
「…あぁ、そうだよ。…でも残りはクレスとフェアンと、…お前だからな?」
(えっ?)
メリアは立ち上がって再び跡を見て、あの時を思い出す。
(でも跡は2つだったし、物理の跡も…。第一、私の魔力量は減ってなかったし…)
思い出そうとすると、頭に痛みが走る。
小さく呻いている中でも、レジリアは話を進める。
「生徒会長は記憶を消しても何故か後を追いかけてたな。犯人は分かってないようだったけど」
「効果が定着しないと式は浮かばないからな。見つけるの大変だったでしょ?」
レジリアは笑うのを堪えるようにしながら言った。
「お前が物理攻撃して、生徒会長が治癒魔術で治したんだよっ」
(…え?嘘?人格が代わってた…?え?え?)
「とりあえずあの2人に聞いてみたら分かる。また後で聞いてみたら?…そろそろ授業始まるよ」
それだけ言い残して、レジリアは飛行魔術で戻っていった。
「後で行かないと、ていうか授業始まっちゃう?!」
そう決心すると、お腹が大きめの音でお昼を食べていないことに気づき、後悔した。




