【3章-5話】体調不良者、薄着で部屋を出る。
1日目が終わり、全体の報告会が行われた。
その間、メリアは魔力不足の為、部屋で休息をとっていた。
普通は安静にしていればなんて事ないのだが、今回は消費が激しかったせいで、街に常駐している医師に絶対安静と言われたのだ。
(アリアが出席してるからいいのかな…)
「うーん」と小さく声をあげていると、思い出したかのように、メリアは胸元に入れていた契約石のネックレスを取り出す。
ついこの前、レイランド学園の近くの街道の店で作ってもらったものだ。
石の色と合った形で、メリアはとても気に入っている。
手を翳すと、無表情のラリアードが現れた。
メリアはムスッとしたような表情でラリアードに言う。
『頭を叩く必要…、無かったですよね?ラリアードも魔法は使えるし…』
「まぁ、そうですね。でも、結果オーライ、とか言うやつではありませんか?」
『……それは、そうです、けど…』
下を向いて指を捏ねていると、ラリアードが部屋の扉の前に移動する。
『どうしたんですか?』
「誰か来てます。…何人か」
メリアがそっとラリアードの隣側に立つと、確かに足音がした。しかも3つ。
『ラリアードは戻ってて下さい』
メリアが指示する。
だが、ラリアードはメリアをベッドに寝かせて、自分は扉の前に控えた。
「いざとなったら飛散しますから。気を付けてください」
精霊はいざとなったら、魔力の塊となって飛散することが出来る。
ラリアードが言うと同時に扉の前で足音が止まり、声がした。
「メリアー、入るよー。…2人はここで待ってて下さい。変態になります」
アリアの声だ。
アリアが扉を開けると、ラリアードが無言で目の前に立ちはだかっていた。
「ど、どうも…」
アリアはそう言って部屋に入る。
「メリア、具合大丈夫?ちょっと来れる?」
呼ぶと、メリアは走って部屋を出た。
ラリアードはアリアに何か囁くと、アリアは恐怖を感じたような表情になった。
心配になったが、ラリアードは「お気を付けて」とだけ言って扉を閉めた。
ラリアードが完全に扉を閉めると、メリアはアリア達を見る。
他にいたのは、ナウアールとフェアンだった。
メリアが安心してアリアを見ると、アリアはメリアの身体をじっくり見ると、突然目を隠し、後の2人の目を塞がせた。
「メリア…。…ちょっと着替えてきて」
(あ…)
メリアは自分の服装を見ると、驚愕した。
(そう言えば、魔力不足で熱でちゃったから、薄着に着替えたんだった…!)
気が抜けそうなのを抑えて、メリアは夢中に扉を開けた。
『ごっご、ご、ごめんすぐに着替えてくる……!』
「メリアぁ。薄着で出ちゃダメだってぇ」
『えへ、忘れてた…』
「それで済まないから。男子がいるから!」
アリアが歩きながら言うと、先を歩いていたナウアールが振り返って笑いながら言う。
「流石に女子の薄着姿は見ないって。今は」
そう言うと、丁度止まって左側の部屋を指す。
「こっち入って」
そう言って扉を開けて3人を中に入れる。
(ひぇっ…)
『これって、何するんですか…?』
メリアが聞くと、アリアが「省略した、報告会みたいなやつ…かな。メリア、遠いとこまで行けないから。ていうか心配だから、らしいよ?」と言ってナウアールを見る。
ナウアールは頷くと、手に持っていた資料を合わせてメリアに向けて言った。
「メリア達の西側は討伐完了らしいね。明日以降、体調が戻ったら他のところを手伝ってもらうんだけど…」
(やっぱりそうだよね…)
「と思ってたけど、国からの指示で、リバーズリー団と特派員の僕達は抜けて、戻っていいらしいんだ」
ナウアールが笑顔で言うと、フェアンが後から言った。
「でも折角だから小旅行しよう、って“生徒会長”が」
(生徒会長……?)
「あぁ、僕だよ。生徒会長は」
ナウアールが察したように、メリアに向けて言った。
(えええええ早く言ってえええ)
メリアは衝撃で、ただでさえ魔力不足で疲れた身体に鞭打って、魔術で自身を攻撃しようと、詠唱をした。
しかし、フェアンによって詠唱を邪魔されたので、結局、床に丸まって倒れた。
「それにしても凄いよね、生徒会長って権力あり過ぎじゃない?!」
『…そうだね』
「もしかして、生徒会長って神だったり!?」
『ま、まさかぁ』
メリアとアリアは部屋に戻ると、そんな話ばかりしていた。
勿論、アリアが話して、メリアが受けだ。
メリアはふと考える。
(孤児院じゃあ、話できる人何て、いなかったな。いつもひとりで魔術書を読み漁って…)
ギュッとスカートを握ると、思わず書いてしまった。
『私って、今、幸せだな…』
すると、アリアはさっきまでの笑顔とは異なった、満面の笑みに変わった。
そして、ほんの少し間を空けて言った。
「私もだから。忘れないでね、メリア」




