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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第3章「アバント領での退治編」
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【3章-3.5話】それぞれの場所で 2

 ――西側のグループでは、主に森を中心にして各々行動をしていた。

「今までにいたのは、イヴァが3とレビが2、ルエルヴァが4か」

「ルエルヴァなぁ、珍しいなぁ」

ルエルヴァ。別名、呪操族。

人型で山羊のような角を持ち、呪いを扱う魔族、エルヴァだ。

西側のグループは、今日は7分の4程退治を終え、森の深部から抜けてきていた。

レジリアとリースが会話をしていると、レミアンが「止まれ」と強めに指示する。

「なんだ、ロービエン」

「魔力反応があった。…ヘベリアント。お前まさか魔力探知苦手か?」

リースの眉が動くと、諦めたように話す。

「…そうだ。で、なんだ?そんなに凄い反応があったのか?」

「大精霊だ。…相当な力だぞ」

大精霊とは、その地域を統べる精霊とみなした精霊のことを指す。

大精霊には特別な用語を付けることは出来ない。

大体の大精霊は、従えている精霊の力を吸っているので、非常に手強い強敵だ。

「…近い。気を付けろ」

辺りはすっかり暗くなり、時間も魔物や精霊が活発に行動し始める時間帯だ。

「騎士団様、集合の時間が…」

レジリアが時計を見て言うと、それを聞いたレミアンは「シッ」と指を添える。

「…お前ら、俺が最高魔術師っていう立場ってことって分かってる?」

「…ええ、知っていますとも」

「そうか」

悲しげにリースは俯く。

それを呆れて見ていたレミアンは、改めて時計を見ると2人に指示をした。

「――姿だけ確認したら、結界で保護するぞ」


――「もうお疲れ?最近の見習いは魔力は十分だけど、体力は無いわね」

南側のグループで、ルイナーレが先陣を取って言う。

「そう思いになられるのなら、全然敵は私達に回してもらってもよろしいのだけれど…」

「お嬢様の考えは良いわね。だけど今はダメ。退治依頼だから手っ取り早く片付けた方が早いし、それに依頼主を不安にさせないわ」

「…不安にさせない…」

ロヴィリアはエイラとルイナーレの会話の後ろで考え込む。

(そうだ、依頼主を安心させる為に退治をするのだから…。当然と言えば当然か)

今、ロヴィリア達が行っているのは、実践魔術の授業では無い。リバーズリー団として退治の依頼なのだ。

「感謝します。セイラン殿」

「随分と言葉遣いが丁寧ですわね。ロヴィリア」

「…チッ」

ルイナーレは舌打ちをするロヴィリアに微笑むと、微笑みとは裏腹に厳しい言葉を放った。

「今から全員で走りましょ。ダント殿もよろしくって?」

「はい。成長出来るのなら何だってします!」

元気に答えるオーズを見て、ロヴィリアは思った。

(…すげぇな、あいつ)


――(案外、リバーズリー団に特派員で来て良かったかもしれないな…)

ナウアールはふと思う。

北側のグループは、興奮したビーラスの日魔術を纏わせたブンブンと振り回した結果、3分の1の敵を圧倒してしまった。

「騎士団は剣術が様になってるなぁ。…俺が言ったからか」

「そうっすよ!急に集合地に来たかと思ったら「下手くそ」だけ言ってどっか行っちゃうんですもん!」

訛る口調にラディルドの様子を伺うが、特に怒ったりはしていなさそうだ。

「ビーラス、そんなベラベラと訛り腐った口で話してていいのか?油断だらけだぞ?」

前言撤回。怒っていた。

「…失礼、ラディルド様。そろそろビーラス様の日魔術の効果が…」

「あぁ、そうだったな。じゃあビーラス。剣をこっちに向けろ」

「は、はいっ…!」

ビーラスの剣を向けると、ラディルドは詠唱をして、纏わせていた日魔術効果を断ち切ると、また詠唱をして水魔術を纏わせる。

「…何故水魔術にされたのですか?」

「この先、火に関するレビが多い。集団だから広がりやすい水を選んだ。それだけだ」

「なるほど…」

素早く手帳に記していると、ラディルドは物珍しそうにその様子を見ると、ナウアールに訊ねる。

「そんなに学ぶことあるか?」

「最高魔術師が1人、ラディルド殿に学ばないものなどありませんよ」

当然のように答えると、ラディルドは口端を若干上げると、ナウアールの背中を叩いて言った。

「気に入った。タビアストの次男」

「…ではビーラス殿は?」

「論外。絶対ありえないぞ?」

「なんか…、悲しいです」

ビーラスは肩を組む2人を見て、ポツリと言葉が漏れた。


――「―地魔術、第9章、大地の揺ぎ。―」

「―蔓魔術、第20章、巻き吊るす薔薇蔓。―」

西側に戻ると、レジリアとレミアンが連携して、大精霊の攻撃を防ぎ、攻撃と防御を交互に繰り広げていた。

大精霊は風属性で、その事もあり安全の為にも属性は限って行動しなければならない。

「そのまま抑えててくれっ――」

2人が風の魔法を抑えていると、リースは詠唱を始める。

「―範囲70、2重結界、捕獲結界、遮光結界、補強付与、第51式、展開。―」

詠唱を終えると、大精霊の周りに結界が張られる。

レジリアが魔術を操る手を緩めようと魔力を止めると、リースが声を上げる。

「まだ待っててくれっ!」

「え、あはいっ!」

レミアンと共に、またいつでも詠唱出来るように準備をする。

リースは先程とは違い、小さく詠唱をすると、結界の上にもう一度結界を張った。

「何でもう一度張ったんですか?」

「補強だ。予備みたいなやつでな」

「それなら3重にしとけば…」

「…お前、バカだろ」

レミアンが言うと、レジリアは怒りを堪えて訊ねる。

「…何でですか」

「なんとなく」

(…は?)

言うと、レミアンは結界に向かって詠唱をする。

「ほら、強度チェックだ。バカ」

「僕はレジリアっていう名前があるんですっ!」

「…ははっ」

強度チェックをする2人の後ろで、リースは薄く笑った。

「それ終わったらさっさと戻るぞー。」


――「これで、何割くらい片付いたかな?」

ルイナーレが振り向いて訊ねる。


「走っている途中ではレビが6、フールイエルヴァが7ですね。数えておきました」

(どれだけ意欲があるんだ。こいつは…)

オーズに引き気味なロヴィリアだが、今は逆に尊敬する。

自分は強制的に言われて走るので精一杯だが、オーズは余裕で数えている。

(見習わないとな…)

「ロヴィリア、随分と真剣じゃない?」

「おい、エイラ。ずっと忘れてるが、お前と俺はひとつ歳が違う。俺がひとつ上で、先輩だぞ?」

「…それが?」

話が通じないエイラに、ロヴィリアは頭を抱える。

そしてルイナーレの方に寄ると、会話に加わる。

「…ということは10分の3、3割片付いたね」

「そうですね。今日は暗くなってきたので、一旦宿に戻りますか?」

「…しかしお二人共。ここからどうやって下山するんでしょうか?」

「あ」

「あ」


――その後、道に迷いつつも無事に山から抜け出すことが出来た南側グループは、フェアンに「え、本当?それ」と笑われたのだった。

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