【3章-2.5話】それぞれの場所で
――西側担当のグループでは。
西側はレジリア・エンヴィーン、リース・ヘベリアント、レミアン・ロービエンだ。
「なぁ、エンヴィーン。お前ってラディルドの息子だってな」
隣を飛んでいた月属性最高魔術師、リース・ヘベリアントがレジリアに聞く。
「そうですけど、何かあるんですか?」
「いや、何もしないけどさ、ただ気になっただけ」
レジリアは素っ気ない態度に既視感を覚える。
(父上も含めてだけど、最高魔術師って変わってるなぁ…)
振り返れば、レジリアの父、ラディルド・エンヴィーンはいつも素っ気なかった。
いや、興味が無かったのかもしれない。
父上の手伝い時も、魔術師になりたい、と言った時も、中等部で生徒会役員になった、と報告した時も、新しい魔術を作った時も。
(そう思うだけでも無駄だなぁ…)
「…今更ですけど、何で僕達のグループは3人しかいないんですか?」
「西側は森や山で殆ど影響を受けていないし、魔物も魔族も集まらない。そもそも日が東から対照に向かってくる西に集まるんだよ」
アバント領は、西からはあまり陽は見えない。
太陽は東から西へ昇り、沈む。
魔物や魔族は太陽の光を好まないことは、誰でも知っている。
人に見られないようにする為にも、出来るだけ光は避けたいのだ。
「被害件数もたったの2件。東側のほぼ50分の1だぞ?」
「……それなら人の数を削れる」
後ろを静かに飛んでいたレミアンが言う。
「北も南も相手は少ないが、油断だけは絶対にするな。俺達は油断が大敵なんだ」
「騎士団の言うことは厳しいなぁ」
「…そう言われた方が良いです」
レジリアは違和感を感じながら、目的の場所へ向かった。
――遡り、メリア達が竜を追っている最中。
「おい、フェアン。ちょっといいか?」
小さい声でオリバスがフェアンに訊ねる。
「何ですか、オリバスさん」
「お前の魔力量はいくつだ?」
「なんで聞くんですか?」
フェアンが単純に聞いた理由は、魔力量なんて魔力視を使えば直ぐ分かるのに、と思ったからだ。
オリバスは頭を搔いて説明を始める。
「俺はあんま魔力視には頼りたくないんだよ。それに誰が何をするか、構成する為に必要なことだからだ。今回は1番相手が多い場所だからな」
「意外とそういうの、考えるんですね」
「そうじゃないと惨敗するだろ?さっき決めたのも同じだ」
「確かにそうでした」
説明をし終わると、オリバスは目を閉じてしばらく無言になると言った。
「結界はメリアに、通常攻撃は俺達メインで、総攻撃はメリアに任せた方がいいか」
(…下手すると、あいつより強いかもしれないかな)
――戻り、北側のグループでは。
北側のメンバーはナウアール・スウェディ、ラディルド・エンヴィーン、ビーラス・バントの3名だった。
「俺らは北側で被害件数も少ないが、強力なエルヴァやレビもいるかもしれない。十分注意するように」
「ラディルド様。進行方向は決めていらっしゃっていたりは…」
「していない。まとまって行動するからその時その時で連携するつもりだ。お前らにもいい経験になると思うが」
ラディルドに質問したナウアールは、ラディルドの話した説明で納得した。
「連携って…、騎士と魔術師ってどう連携するんですか?」
ビーラスが訊ねると、ラディルドはビーラスに剣を抜くよう指示する。
「普段は剣に魔術を纏わせたり、元々魔術と合わせられるようになっている剣に合わせて戦う。お前は普通の剣だから魔術を纏わせたり。…最悪交互とかだな」
確かに、ビーラスの剣は唯の磨かれた剣。
魔術が組み込めるようにはなっていなかった。
ラディルドが試しに詠唱をして、日魔術を剣に纏わせる。
すると、見た目が尖り、一気に強さが増したような気がした。
「うおぉっ、すごいですねっ!?」
「静かにしろ。昼行性が気付いたらどうするつもりだ」
ビーラスは冷酷なラディルドに怒られた。
――南側のグループでは。
南側のメンバーはエイラ・フェリンドール、ロヴィリア・ルンディス、ルイナーレ・セイラン、リバーズリー団のオーズ・ダントだ。
1人1人特に何も話さず目的の場所へ向かっていると、ルイナーレが何かを思い付いたかのように皆に指示を出す。
「イヴァやレビ、エルヴァでの実践経験がある人は…。ここには私とダント殿しかいらっしゃらないのね」
「模擬実践ならありますが…」
エイラが言うと、ルイナーレは頷いて指を動かす。
「分かりました。そう考えると…ルンディス殿もですか?」
「はい。…セイラン殿。1つお聞きしたいことがあるのですが…」
「何でしょう?」
ロヴィリアの質問に、ルイナーレが答える準備をするとロヴィリアは訊ねた。
「私事で恐縮ですが、イヴァと出会ったことが無いのです。どのように判断すれば良いのでしょうか…?」
「そうですね…。例えば――」
ルイナーレは生み出した杖を振ると、詠唱をして後ろにいる3人に言った。
「こんな感じですかね」
目の前にはイヴァの集団が迫ってきていた。




