【2章-5話】何で毎回こうなるんですか?!(メリアの心の叫び)
メリアが同じようにアリアと登校し、特に何も無く過ごしていた時だった。
1限目の算術の号令が終わって直ぐに、アリアは走ってメリアに向かって走る。
「メリアー!」
(え、え…?)
ビクッと全身が震える。
『は、はい…?』
「私、見つけたよー!」
アリアが顔を近づけ、目を見ながら言う。
「何のことですか...?」
「ふっふ、〘レジリア・エンヴィーン〙よ!……本当にアイツだったから嫌だったけど…」
『あっ、えっと…』
「メリアとラリアードが、こっそり話してたやつだけどね?」
(ん…?)
メリアは違和感を覚えた。
『〈見つけた〉って…?』
メリアは軽く跳ねると、しっかりフードを押さえつけて深く被り直す。
「うん。ここにいるよ?」
構わずアリアはキョトンとメリアを見る。
『ちなみに、今は何処にいる…?』
「うーんとー」
少し間を置く。
「メリアの前!」
大きな声でアリアが言う。
(前…。ん?、前?!)
思わず手を頭につけて縮こまる。
すると、前の方から男性の声がした。
「うーん。やっぱ難しそうかな?」
暖かくて、心配しているな声。
フードの端を持って声のする方を見る。
目の前にあったのはライトブラウンの髪をし、何処か優しげな男性の顔。もう一度言う。顔だ。
(え?え?え?)
滝汗を流し、目を見開いて失神しそうになる。
その寸前に誰かが目を隠す。
「深呼吸して」
さっきとは違う、男性にしては高い声だ。
言われた通りに、深呼吸をする。若干震えている。
やがて、目から手が離れる。
さっきとは違う男性の姿があった。
「―良かった。」
それだけ言うと、さっさと自分の席へ戻っていった。
(なんだったんだろ…うぅ、怖い…)
ぶるぶると身体を軽く震わせると、また勢い良く机に突っ伏した。
「メリアー!?」
クラスにはアリアの叫び声だけが響いた。
「ねぇ、レジリア」
アリアが声を掛ける。
「なんだい?ユリンダ伯爵令嬢さん?」
「あんた本当にそういう所が取り柄なのねぇ?」
「誰からも婚約されないどっかの誰かさんには、言われたくないね?」
2人の間にピキピキと光が見える。魔術の。
「まさかと思ってたんだけど、まさかねぇ…」
「じゃあ対決する?」
提案にアリアは反応する。
「何を?」
「実践魔術試験の成績が高かった方は…」
「その人の言うこと聞くとか?」
何処かで聞いたことのあるようなゲームだが、さて置いてアリアは自信満々に即答した。
「いいわよ、どーせあんたは底辺の底辺だからね」
「その化けた外側、剥いちゃうから」
「やってみな」
そう言うと、2人の間にあった光は無くなった。
あっという間に時間が過ぎ、4限目。
(2限目から回復魔術科とかもう嫌…)
腕を伸ばして勢い良く机に突っ伏す。
メリアにとって、回復魔術と治癒魔術は大敵だ。
使い分けが分からないし、何より使ったことが無い。
メリアはそんな苦痛から解放された今、幸せそうな笑みを浮かべる。
すると、メリア達の担任教師であるエウィルが全員に向けて言う。
「実践魔術試験の結果、貼り出すわね」
そう言うと、黒板に名前の書かれた表を貼る。
(え、まだ1日しか経ってないけど…?)
「メリア!」
後ろから声がする。アリアだ。
「あのバイランらん、嘘つきじゃん?!」
(ば、バイランらん…?)
少しの間のあと、アリアが手を引いてメリアを黒板の前に連れていく。
既に黒板の前はクラスメイトで溢れ返っていた。
「メリアの名前何処かなー?」
アリアは指で辿って探す。
『自分のを探した方がいいんじゃない…?』
メリアが聞くが、アリアは名前探しに夢中でこちらを一切見ようとしない。
そこから数秒後、「あー!」と言う声で気がつく。
「ここ!ここ!」
アリアが必死に指差す方向を見る。
レースナリア(上級クラス)
―メリア・ファスリード(1年)
上には数名の同級生、その下には数名の上級生の名前全部で12名が書いてあった。
(はい?何で毎回こんな感じになるんですか?!)
思わずつっこんだが、その後、自分の席に向かって全力疾走し、謎の詠唱をした。
―呪魔術の詠唱を。
「世界を操りし呪神よ今我の元に現れ人を暗黒の地へと…」
しかし、その呪術はメリアの額にアリアの平手打ちを受けたことにより、遮られた。
「うぇっ…?!」
そんな奇声を出し、3度目、バタンと机に倒れた。
この呪魔術は、メリアが知っている中で1番効果のある魔術かつ魔力使用量が多い魔術だ。
それなのに詠唱の途中で遮られたメリアは、そのままの体制で独り言を呟いた。
「これでこの記憶が無くなると思ってたのにぃ…」
「いや、それはそうとして。凄いのに、呪魔術使う程じゃないでしょ?」
アリアは冷めたように言った。




