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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第2章「学園生活編」
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【2章-4話】変人について

 結局、メリアは勝ち続けて試験は終わった。

「今日は終わりにする。来週末までにはクラス分けが出るだろうから。各自教室帰るように」

バイランディはそう言うと、飛行魔術の詠唱をしてグラウンドから去っていった。

メリア達も歩き出す。

縮こまって歩くメリアのその後ろで興味の目で見る人物がいた。

その人物はニヤリと笑いながら呟く。

「…良いかもね」


「疲れたぁぁぁ」

靴を履き終えたアリアが、溜めに溜めた溜息をつきながら小さく叫ぶ。

『そうだね…』

メリアは靴を吐き終えると、少し先を歩く。

「だってほんとにハードだって!今日!プリント多すぎ、行事多すぎ、試験キツい…」

なんとも言えない叫びにメリアは苦笑いしつつ、寮に入る。

ラリアードに教えてもらったように階を上がり、それぞれの部屋に向かって歩く。

「また準備終わったら一緒に行こー!」

『…うん!』

そうして手を振ると、メリアは自分の部屋の方に向かって歩き出した。


部屋着に着替えたメリアは、アリアと合流した後、食堂へ歩いていく。

部屋着と言ってもフード付きの質素なローブだ。

「今日っの晩御飯っは何っかな〜」

アリアは鼻歌交じりの歌を歌う。

「あっ、そう言えば―」

『う、うん…』

(今日、やけに変な感じがする...)

一通り辺りを見渡すが、寮に特に違和感があるものは無い。

(やっぱ2回目の登校だし、慣れてないからかも...?)

うーんと首を傾げるメリアに気づいたアリアは、メリアの肩に手を置いて勢い良く跳ね上がり、思いっきり体重を掛ける。

「もー、話聞いてるー?」

ムスッとした顔を覗かせると、次は頬を横に引っ張っぱったり、ぷにぷにと指で押す。

メリアは思わず手で払う。

「もう食堂着いたよー。これ何回も言ったんだよー。」

(えっ、本当に?!)

メリアが再び辺りを見渡すと、確かに食堂の入口だった。

「お腹空いたよ〜。もう行くからね?」

(えっ、ちょっと...!)

アリアは、メリアの手首をぎゅっと握ると、中に引っ張っていった。


「あ、そうだ。メリア、知ってる?」

アリアがパンを千切って口に入れる。

メリアは淹れたコーヒーに口を付ける。

『何かあるんですか?』

「うん。あの、友達から聞いた話なんだけどね。実践魔術試験って全校で行われるらしいの。だから…。3学年でクラスが分けられるんだって!」

『え、ということは…』

メリアの頭に不安が過ぎる。

(知らない人と同じクラスになったり…)

「そう、2年生とか3年生も一緒になるらしいよ?」

(無理無理無理無理…)

舌に残っていたコーヒーのほろ苦さも飛んでいき、感覚が麻痺される。

『知らない人がいるなんて…』

「まぁ怖いわよね…。……でもこの怖さは別の感覚で忘れるべきよ!」

そう言ってアリアは一目散にある場所へ向かう。

しばらくして戻ってくると、自信ありげにメリアに言う。

「少し待っててね!」

そしてまた同じ場所へ向かうと、アリアの手にはマグカップがあった。

マグカップの中身はドス黒い液体が入っていた。

「新しいコーヒー淹れてきたよ!」

どこからどう見てもコーヒーの見た目じゃない。

更に不安になったメリアはアリアに訊ねる。

『アリア…。コーヒーか紅茶って淹れたことある?』

「ううん、無いよ。使用人のは見たことあるけど…」

これは終わった。

メリアは思った。

だがメリアは見た目で決めつけるのは良くないとマグカップを口に近付ける。

(ただ黒くなっちゃっただけ…だよね…)

一息に飲むと、メリアはその味に驚愕した。

コーヒーとは思えない謎の味と、抽質し過ぎたコーヒーの味が混ざり合ってごちゃごちゃだ。

『……アリア、ちょっと待ってて…』

メリアはアリアが向かっていった場所へ行き、道具を全て持ってくる。

『コーヒーの作り方と…、ついでに紅茶の作り方、教えるね』

「メリア…?」


――「何だこの苦い液体は。入れ直せっ…!」

――「葉が混じっている。客に出せないだろうがよっ!」

(孤児院で何回も淹れ直されたコーヒーと紅茶の淹れ方…。ちゃんとアリアに教えようっ)

そうして、メリアの心に火がついた。


部屋に戻ったメリアは部屋に戻ると、ベッドに向かって一直線に歩く。

そして真顔で飛び込み、うつ伏せで止まる。

数分経つと起き上がり、本棚へ歩いて本を探す。

すると背後から声が聞こえた。

「今日は何もありませんでしたか」

振り返ると、そこにはラリアードがいた。

一瞬ビクッと跳ねると、メリアは気を取り直す。

「はい。今日は特に何も…」

それを見たラリアードは、直ぐに挟む。

「クレス・ラードリー、アリア・ラクアレーン、レジリア・エンヴィーン」

「え…?」

「メリア様を変な目で見ていた人達です。…許しません」

契約精霊は契約主のことを何時でも何処でも見れる―いや、監視できる。

更に、精霊は四六時中起きていられる。

ラリアードはこれを利用したのだろう。

紛れも無いストーカーだ。

(最初の2人は知ってたけど、最後の〘レジリア・エンヴィーン〙って人誰だろう...)

「〘レジリア・エンヴィーン〙って誰ですか?」

「実践魔術試験のあと、何故かひとりで笑ってたクソ変人野郎です」

メリアはまたもや首を傾げ、黙り込む。

そしてしばらくすると、ラリアードは口を開く。

「変人についての情報です。〘レジリア・エンヴィーン〙。第12属性最高魔術師首長、地属性最高魔術師、ラディルド・エンヴィーンのご子息で、次男。地属性の使い手で中等部時代、生徒会役員だったらしいです。その他は...」

「大丈夫…!大丈夫ですっ!」

ラリアードの話を止める。

「何もしてこないなら大丈夫ですから。それより、魔術書読ませてくださいっ!」

「おっと、失礼致しました」

メリアは気にせず魔術書に手を伸ばし、読み始める。


こうして1日は終わった。


この時、メリアは知らなかった。

この人がある意味、予想以上におかしい人だったということが。

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