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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第10章「悪霊の取り憑き事件編」
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【10章-4話】追加の頼み

 ウルディアに続いて、ナーフェルディア、プルディスティアン、ソルメリドの3人は、その後を歩いていた。

「ね、ねぇ。アンタ達のどちらか話し掛けないの…?!」

ナーフェルディアが小さい声で囁くように、2人に訊ねる。

何故だか黙り込んで話さない2人に、ナーフェルディアが再び訊ねる。

「…男なんでしょ?!ウルディアって人!」

その発言の後に、プルディスティアンが身体を震わせる。

その横で、ソルメリドも顔に手を当てている。

(私、なんか変なこと言った…?)

「ねぇ、2人とも。何か言いなさいよ…?」

段々と何も言わない2人に、ナーフェルディアは怒りが湧く。

怒りが抑えきれていないのか、拳がフルフルと震えている。

それでも尚黙り込む2人に呆れたナーフェルディアは、俯いて歩く足を速める。

「…なぁ、ナーフェルディア。この記事読んだことあるか?」

突然、ソルメリドが言葉を発すると、ナーフェルディアは反応して「…何」と言う。

ソルメリドは続けて、ナーフェルディアにあたかも準備していた新聞の端切れを見せた。

(…この記事読んだことあるか、って…。大体私は新聞は毎日読んでるし…?)

疑問を感じながらも、ナーフェルディアがその記事を受け取って読む。

ナーフェルディアは、その記事の見出しを見て、足だけを動かしながら後の身体は硬直した。

滝汗をかきながら、ナーフェルディアはその記事の見出しを読む。

「…さっ、〈最高魔術師ウルディア、その正体は女性だった…!〉…」

更に、ナーフェルディアは顔を赤らめてウルディアをもう一度目視する。

見ると、後ろにいたプルディスティアンがナーフェルディアの肩を叩き、耳元で囁く。

「…色々察してくれないかな?」

「……もう、分かったから」

「なら、いいや」

ナーフェルディアはプルディスティアンを一瞥すると、前を歩いていたウルディアの隣に向かう。

「…ウルディアさん。最近の仕事って何かありましたか…?」

その質問は、常人では何の変哲もない質問だ。

だが、歴史修復記録人であるプルディスティアンでは知っている、いや知っていなければ可笑しい。

(何でその話題を…?)

ナーフェルディアがそう思った時だった。

――「…んー。今お前達を殺す為かな」

衝撃の言葉が返ってきた。

その言葉を聞くと、ナーフェルディアは直ぐさま顔を上げてプルディスティアンの歩いて行った方向を見る。

その光景は、ナーフェルディアが言うまでも無かった。

目の下にある痣、まるで意志のない目。


――悪霊の取り憑きだ。


ナーフェルディアの本能はそう解釈した。

途端に、身体が震わされ、反射的に身体がある感覚を呼び起こす。

その為、身体は頭とは反対に腰の辺りにある小さい鞄から小さいナイフを取り出し、1秒もしない間にウルディアに飛び上がる。

そして、ウルディアの目の前に真っ直ぐ飛んでいくと、ナイフを奮った。

目の下を的として。


その瞬間、目の下から大量の赤黒い液体が流れ出て、とてつもない速さで壁を伝って窓から去っていく。

「…逃がしちゃった」

ナーフェルディアが液体が流れ出て行った方向を見ていると、プルディスティアンは小さく言った。

「いや、逃がしてはないよ」

「どういうこと?」

「そのままの意味」

いかにも真剣な表情で、プルディスティアンは窓の外を見つめると、背後の自分達が歩いてきた方から1人分の足音がした。

「君達、そこにいたの?結構探したんだけど?」

後ろを振り向いたナーフェルディアは、その姿に驚いた。

そこにいたのは、先程ナーフェルディアが窓の外へ落とした、ウルディア張本人だった。

その身体には、一切の傷は無かった。

(…何で?)

ナーフェルディアは首を傾げる。

何故、先程刺したばかりのウルディアがここにいるのか、怪我ひとつ無く帰ってきたのか、ナーフェルディアは疑問だった。

すると、その様子を見たウルディアはナーフェルディアの反応を待っていたかのように答える。

「大丈夫、大丈夫。我は本物だよ。君達が思っている通り、君達が刺したのは偽物だ」

(偽物…?じゃあ…)

ナーフェルディアが何かを閃くと何やらブツブツと呟き始める。

「…ということは、幻影魔術でしょうか?」

「あぁ、そういうこと」

「たまにこういうのもいるから、慣れてるんだけどね」

ウルディアが頷くと、ナーフェルディアの後ろからソルメリドが訊ねる。

「じゃあ、ウルディア殿はつい先程来たのか?」

「それしか無いだろうね」

プルディスティアンが言う。

その会話を聞くと、ウルディアは3人の答えがあまりにも的外れだったのか、呆れ顔で言う。

「君達なら、口調の違いで見分けられると思ったのになぁ」

「私達なら、ですか?」

ナーフェルディアが思わず訊ねると、ウルディアは再び的外れだったようで、すっかり呆れ顔のまま言った。

「…このままだと面倒臭くなっちゃうから、ほら、さっさと行こう」


学園校舎の2階まで来ると、段々と空気が重くなってくるように感じた。

(この階は…。…まだ生徒の教室の階じゃないか)

プルディスティアンは辺りを隈なく見回す。

その前で、ウルディアが声を発さず突然に立ち止まる。

(おっ…と)

「どうしました?」

ナーフェルディアが目の前で立ち止まったウルディアに訊ねる。

「…この階、結構な数いるね」

「いくつくらいですか?」

プルディスティアンが訊ねると、ウルディア軽く目を閉じ、しばらく黙り込んだ。

(へ、返事は…?)

ナーフェルディアの顔が強ばるのと反対に、直ぐにウルディアは顔を上げて言う。

「ざっと…。400くらいかな?この階は移動教室だから。…取り憑く前だからそんなには強くないかな」

「…でも、上にはいるよ。取り憑かれた人が」

後に続いて言うと、プルディスティアンがふと口にする。

「だから、僕達に頼もう、と?」

「流石は、国の管理人の1人。国のお姉さん…?にしては誇らしい…?というものだろうか?」

ドヤ顔で誇るウルディアを見ながら、ナーフェルディアはウルディアの身体を見て硬直した。

(お、お姉さ…ん?)

どうやら、ウルディアは女性だったようだ。

しかし、ソルメリドとプルディスティアンはそうでもなかったようで、逆に安心したかのように息を吐くと、ナーフェルディアの襟元を掴み、階段の方へと引っ張る。

「な、何よっ…?!」

「…ウルディア殿。その頼み、承諾致した」

ソルメリドが手短に言うと、3人は颯爽と階段を登ったのだった。

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