第一話 家族
一階のリビングにやってきた。内装は意外に普通のだった。
……クローゼットの中に、高校の制服であろうものがあった、おそらく、この世界の私は高校生だ。
それはそうと……。
私の隣の席で、コッペパンをむしゃむしゃたべてるこの男の子は誰なのだろうか。
「あ? どした、そんなに見つめて、生理か?」
とんでもない言葉をぶっ込んできた。
一瞬ぶん殴ろうかと思ったが、流石に子供を殴るわけにも行かないのでなんとか思い止まれた。
「ねぇ? 君って……」
「あん?」
眉を寄せ不機嫌な様子で返答する少年。
なんというか、子供っぽくない、ひねくれた大人のような仕草な気がする。
「君って、わたしの弟なの?」
年下の男の子ってだけで弟ってことはほぼ確定だけど、一様確認のために。
すると、ごくっと牛乳でパンを流し込み、呆れ顔で口を開いた。
「何言ってんだ? 俺はお前の……」
「アリスちゃん! 歯を食いしばりなさい!」
「え?」
ショタの声を遮りながら、デカパイが大きく体をねじった。
そして勢いよく体を振った。
「ぶっへぇぇ!」
おっぱいでぶん殴られた。
おっぱい痛! おっぱい固! コンクリートかよ!
「ありすちゃん! なんてこと言うの! パパのこと忘れちゃったの?」
「ん、パパ? ………はっ? パパ⁉︎」
こ、このガキがパパ⁉︎ 見た目は完全に小学生なのに!
「と、朋恵、そのくらいに……」
ショタがそういうと、デカパイは、ギュン! ショタに振り向いた。
「あ、ありすちゃんがやんきーに…… ぱ、ぱぱぁぁー!」
目に涙を溜めながら、じりじりとショタににじり寄るデカパイ。
「おいまて! 落ち着け、落ち着いて話を聞け!」
「だ、だって、アリスちゃんがパパのこと……」
「大丈夫だ、思春期だからそんな日もある! だから抱きつこうとするんじゃない!」
「ぱぱぁぁ!!」
「ぎゃぁぁ! 殺される! おい、アリス! アリース! 助けろ、助けてくれぇぇ!」
なんなのこの茶番は……。
ていうか、こいつがパパって……。冗談よね?
「……あんたが私のパパなの?」
「ぐぎゅぅぅ、た、たすへて……」
谷間に挟まったショタは、顔を青に染めながら私に手を伸ばしている。
ハンカチで涙を拭きながら、コンクリートおっぱいで締めながら口を開いた。
「う、ぐすん。アリスちゃん、今日はなきざ君と一緒に登校する日でしょ」
ショタパパをがっちりホールドしながら話かけてくる。
「なぎさくん?」
「なぎさ君の事も忘れちゃったの? ご近所で、アリスの幼馴染の一ノ瀬渚よ。入学式は一緒に登校するの、ってママに教えてくれたじゃない」
「そ、そうだった、ありがとうお母さん」
「むっ、お母さんじゃなくて、ママでしょ?」
「あ、ありがとう、ママ」
ニコッとはみかみ笑顔を見せてくれるママ。
なんというか、インパクトと押しが強すぎて、逆らうことができない。あとおっぱいが怖い。