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第二十八話 ブラックスワンの戦い(2)

 他の部屋の捜索をする前に、転がっているオークの魔晶石をいただくことにした。

 

 魔晶石を【解析】してみる。 



―――――――――――――――――――

 名称:オークの小魔晶石

 スキル:【筋力強化(中)】【体力強化(中)】【バーサーク】【グランドブレイク】

 備考:なし 

―――――――――――――――――――



 おお、強化(中)スキルに、初めて見るアクティブスキルを持っているな。


 これはどんな能力なんだろう。

 


―――――――――――――――――――

 バーサーク:5秒間攻撃力が1.5倍になり、防御力が0.5倍になる。

 グランドブレイク:対象に打撃属性ダメージを与え、一定時間俊敏力を低下させる。

―――――――――――――――――――



 かなり強そうなスキルだな。


 特に【バーサーク】ってスキル、ちょっとチート過ぎないか?

 攻撃と防御力が強化されるし──と思ったけど、良く見たら防御力が0.5倍と書かれている。


 0.5倍ってつまり、半分になるってことだよな?

 誤解するような書き方しやがって。


 これは防御力を犠牲にして、攻めに特化するスキルってことか。


 使い所がハマれば強そうだが、無闇矢鱈と使っていたら一瞬であの世に行くことになりそうだ。


 一応、全部頂いておくが。


 スキルを奪取して、探索を続ける。

 他の部屋に何匹かオークがいたが、問題なく処理することができた。

 オークにもリーダー格の個体がいると聞いたが、ここにはいないみたいだな。



「……ん? なんだこれ?」



 一階の部屋をおおかた調べ終えかけたとき、綺麗な装飾が施された扉を発見した。


 いかにも「大切なものがありますよ」と主張している雰囲気。 


 鍵はかかっていない。

 ちょっと調べてみるか。



「おお、これは……」



 扉の先は小部屋になっていた。


 いや、これは小部屋というより──宝物庫か?


 きらびやかな装飾が施されたタペストリー。


 金色に輝く大小様々の皿や壺。


 多分高価なものであろう絵画に、衣類、アクセサリーなどなど。


 砦を拠点にしていた騎士団が盗賊団から押収したものなのかもしれないな。

 もしくは、近くの村から略奪したものとか。


 騎士団の中にはそういうあくどい連中もいると聞くからな。


 しかし、ここにあるものを換金すればかなりの金額になるだろう。これはルシールさんに報告したほうがよさそうだな。



「……ん?」



 部屋を出ようとしたとき、ふと奇妙なものが俺の目に止まった。


 壁にかけられた、ひとふりの剣だ。


 派手な装飾がされているわけではないが、その剣がただならぬものだとわかったのは、剣身がかすかに青白く輝いてたからだ。


 どこからどう見ても、希少価値が高そうな剣。


 だが、悲しいことに剣身の真ん中ほどからポッキリと折れてしまっている。どこかに切っ先が転がっていないかと思ったが、どこにもない。



「……ううむ。もったいないな」



 手にとってまじまじ確認してみた。


 折れている以外にこれといって損傷はないが、ここまで綺麗に折れていたら修復は難しいだろうな。


 一応【解析】でステータスを見ておくか。



―――――――――――――――――――

 名称:聖剣アロンダイト

 外形:聖剣アロンダイト

 効果:攻撃力+344

 耐久値:0/100

 素材:アダマンタイト

 剣聖ギデオンが愛用していたと言われている剣。剣身がほのかに青く発光していることから「青焔剣せいえんけん」とも呼ばれている。

―――――――――――――――――――



「……な、なんだこりゃ」



 剣聖が愛用していたって、間違いなく超激レアな剣じゃないか。


 攻撃力も桁違いだし。


 というか、なんでそんなものが砦に放置されているんだ?

 こういうありがたいものは教会とか王城とか、そういう場所に保管しておくべきだろ。


 しかし……やはり耐久値はゼロだったか。


 中古品店で買ったロングソードのように、多少耐久値が残っていたら改ざんでいけるかと思ったが、残念だ。


 俺の【不正侵入】で改ざんしても「9」までしかできないし、現状はどうあがいても使えるレベルに戻すのは不可能だな。



「とはいえ、このまま放置しておくのももったいないか」



 砦の宝物庫にあったってことは国の所有物だから俺のものにする……ってわけにはいかないが、一応持って帰ろう。


 追加報酬がもらえるかもしれないしな。


 というわけで、折れてしまっている聖剣アロンダイトはカバンの中に入れて、探索を続けることにした。


 砦は地下を含めて3階建てになっているようだったので、次は地下から安全を確保していくことにした。 


 地下はじめじめとした牢獄。

 白骨死体が転がっていたが、ネズミがいただけでモンスターはいなかった。


 2階にあがり、部屋をひとつづつチェックしていく。


 腐った肉を食っていたオークが1匹に、眠りこけていたオークが3匹ほどいたが、特に問題もなく処理することができた。


 ほとんどの部屋が苔だらけで、長い間誰も立ち入った形跡がない。オークの連中は1階で生活していたのだろう。


 一応、すべての部屋を見てまわり、モンスターがいないことを確認して探索終了。


 これで砦は確保できたと判断していいだろう。


 砦を去る前に、設置されている篝火に明かりを灯してまわった。

 明かりがついていたら、モンスターや盗賊も近づかないだろう。


 すべての篝火に火を付けてまわったので、モンスター処理よりも時間がかかってしまった。


 砦を出るころには西の空が茜色に染まっていた。

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