表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/50

第十四話 ドライアド討伐(1)

 ドライアドを探そうとは言ったものの、この広い森の中から特定のモンスターを探すのは少々骨が折れる。


 特にドライアドは日向を好む傾向にあるため、日陰だらけの森の中では見つけづらい。


 ミリネアに協力するとは言ったが、どうやってドライアドを探すか。



「大丈夫ですよ」



 俺が悩んでいるのを察してか、ミリネアが笑顔で言う。



「私のスキルを使えば簡単に見つかりますから」

「……え? スキル?」



 首を傾げてしまった。


 スキルを使うって、そもそもスキルは俺みたいな転移者かモンスターしか使えないモノじゃなかったか? 



「実は亜人の中にもスキル持ちがいるんですよ。全員が全員持ってるってわけじゃないですけど」

「へぇ、そうなのか。知らなかった」



 どういう理屈でスキルが使えるようになるのかはわからんが、この世界の人間以外の血が関係している……とかなのか?


 ミリネアみたいな亜人は、人間以外の血が混じっている感じだしな。


 しかし、亜人の冒険者ってあんまり見ないな。

 何か理由があるのだろうか。



「というわけで、ちょっとスキルを使いますね」



 意気揚々と、ミリネアが一枚の紙を取り出した。 


 何も書かれていない、白紙の羊皮紙だ。


 一体何をするつもりなんだろう──と思っていたら、真っ白の紙にじわっと何かが浮かびあがった。


 これは地図と言えばいいのだろうか。


 細かい線で周辺の障害物と地形が描かれていて、黒や白い星マークがいくつか点在している。



「ミリネア、それは……?」

「これが私のスキル、【マッピング】です」



 自慢げに鼻を鳴らすミリネア。



「私を中心に周囲数百メートルくらいの地形や存在する生物、鉱物、アイテムの位置を正確に表示させることができるんです」

「おお、それはすごいな」



 よく見ると、紙の中心に描かれている猫耳のアイコンが細かく動いている。


 それに、周囲に点在している黒い星マークもだ。


 猫耳アイコンがミリネアで、黒い星がモンスターってことかな?


 リアルタイムで位置を表示しているみたいだが、スマホの地図アプリ……いや、それ以上の機能だぞ、これ。



「この黒い星マークが生物で、白い星マークが鉱物やアイテムなんです。詳細を見たい場合はこうやって触れると……ほら」

「なるほど。名前が表示されるんだな」



 ミリネアが少し離れた場所にある黒い星に触れると「ゴブリン」の文字が出てきた。


 流石に俺の【解析】みたいに、対象のステータスまで表示はされないみたいだが、索敵には十分使える。



「こっちの星がトーマさんですね」

「へぇ、人間も名前がわかるのか……」



 と、そこで嫌な予感がした。


 この【マッピング】スキルが、何の情報を参照しているのかはわからないが、俺の名前が「トーマ」ではなく「イリヤ」で表示されはしないだろうか?


 【不正侵入】で名前は変えているが、姿は以前の俺のままだし。


 ドキドキしながら地図を見ていたが、紙に表示されたのは「トーマ」の文字。

 良かった。ほっと一安心。


 てことは、ステータスの名前の部分を参照しているのかもしれないな。


 冒険者証にも名前が自動的に出てるし、多分そうだろう。


 どこでどうやって情報管理をしているのかはわからんが、これも転移者が作ったシステムなのか?



「ええっと、ドライアドは……」



 ミリネアが付近にある黒い星マークに触れていく。


 だが、目的のドライアドは見つからない。



「……ん? これは」



 少し離れた場所に黒い星が固まっているのがわかった。



「ドライアドは集団で行動すると聞いたことがある。これは違うかミリネア?」

「……あ、すごい! ドライアドです!」



 ぱっとミリネアの顔が明るくなる。



「トーマさんもイリヤさんみたいにモンスターに詳しいんですね!」

「……あ、いや、そんなことはないぞ。たまたまだ」



 慌てて否定する。

 こんなところから正体がバレたら目も当てられないからな。


 しかし、この【マッピング】スキルというのは本当に便利だな。


 今度から討伐系の依頼をするときは、ミリネアに協力してもらったほうがいいかもしれない。

【読者様へのお願い】


「面白い!」「続きを読みたい」と思われましたら、作者フォローとブックマーク、広告の下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援して下さると嬉しいです。


皆様の応援が作品継続の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ