アレッシア王国vol.2
更新が遅くなり、すいません。
宰相視点があります。
卒業パーティー時不在であった四人の者達は現在帝国からの帰りであった。
そして、宰相はフィテァドール・アリシアとフィテァドール・アルファールの父親である。そして、今回どちらの味方をするかは分かりきった事である。
♢♢♢
「フィテァドール公爵、お伝えしたい事がございます。」
「宰相様、お伝えしたい事がございます。」
宰相は従者に国に関係する事の伝令は宰相、家庭内の問題、領地内の問題である場合の伝令は公爵と呼ばせている。今回は両方の呼び方で呼ばれた。それはそうだろう。
「如何した?」
「フィテァドール・アリシア令嬢が婚約破棄され、王太子殿下がフィテァドール・アリシア令嬢の醜聞を公開しました。しかし、フィテァドール・アリシア令嬢に醜聞になる様な失態はありません。そして、現在フィテァドール・アリシア令嬢と令嬢付きの侍女と護衛が行方不明となっております。」
(婚約破棄に行方不明か。)
「わかった。」
宰相は短く返事をすると、右足で地面を軽く三回叩いた。
「承知致しました。」
♢♢♢
「宰相様。」
「ラールは王都の屋敷へ行き、謹慎を伝えろ。」
宰相は左足で地面を軽くニ回叩いた。
「ビルは部下と共に周辺諸国を含めて捜索をしろ。」
宰相は左足で地面を軽く一回叩いた。
「ジョールは領地へ行き移動を阻止しろ。」
宰相は左足で地面を軽く三回叩いた。
「承知致しました。」
宰相が地面を叩いただけで伝わる方法、これは、代々フィテァドール家に伝わる叩伝術。
左足は子、右はそれ以外の者を表す。そして、これは歴代当主に受け継がれる為、次期当主のアルファールはまだ知らない。
♢♢♢
「ウィルフレッドがアリシア嬢との婚約を破棄した!?それは、真か?」
宰相が王に先の事を伝えた。
「はい。」
元々、フィテァドール・アリシアとアレッシア・ウィルフレッドの婚約は王都からも遠く、独立できる権力を持ったフィテァドール公爵家を王国側から離れない様にする為に王家側から懇願して成り立ったものであった。
現在、アルファールが王家側に付いているとは言え、フィテァドール公爵家歴代最も多い魔力量を持つフィテァドール・アリシアを敵にした王家と火遊びにしか脳の無いアルファールを見放しているフィテァドール公爵家は独立する理由がある。
つまり、王家は敵を増やしてしまう隙を作ってしまった。だから、今王家がするべき事。それは、フィテァドール公爵家に出来る限りの謝礼をする事だ。
「アレク、お前に休暇を与える。休暇中は好きにしろ。グラナード、私は王宮へ行く。転移陣を描け。」
「温情有り難き存知ます。」
「了解致しました。」
♢♢♢
数日後
「弁明はあるか?」
会の間にて玉座に王が座り、正面から見ると王の右側に宰相が立つ。
その場の王の正面の道に騎士が適当に王太子と次期宰相、次期騎士団長候補を置く。
「父上!私は「お前に父と呼ばれる筋合いは無い。」父上!何故ですか!」
王太子と次期騎士団長候補は威嚇している犬みたいだが、次期宰相は自分の沙汰を分かっているようであった。
それは、そうであろう。
影が止めたが、普段から「アリシアお姉様は尊敬に値しますがあの愚兄は塵としか思っておりませんの。」と言っているアンジェリカが止まらず、「あの欲負けを殴らないと気がすみませんわ!」と言い、魔力爆弾装置に、魔力を最大に込めてアルファールへ送ったのである。何も知らずに、魔力爆弾装置の入った特殊な箱を開けたアルファールは顔面に爆風を受けた。回復魔法をかけてもらったとは言え、心身共に痛い思いをしたのは変わらないのだ。
「ウィルフレッド、アルファール、アーベルトお前らを牢に入れる。沙汰は追って聞け。」
「ならば、何故アメルダは!」
「お前は平民の立場の者を貴族牢に入れるのか?」
「うっ、」
王太子は狼狽えた。
「陛下、宰相、貴族牢に入れるのは流石に酷です。せめて、領地や離宮に謹慎で良いのでは?」
中年男性がブランド品の物を腹でジャラジャラ言わせながら陛下に進言した。
「駄目だ。」
この中年男性の名はルイス・ファートン。ルイス伯爵家第35代目当主である。この男は奴隷商や、戦争屋とも繋がっていると言われていて黒い噂が絶えない貴族だ。そして、ルイス伯爵は王太子側の貴族だ。
現在、アレッシア王国は王太子派閥と第二王子の派閥に分かれている。
王太子派閥の貴族は王太子を傀儡にしようと目論んだ者達の集まりで、第二王子派閥の者達は第二王子の実力に未来投資をする貴族達の集まりである。