#54 処理
「……そうか、分かった。必要があれば、部隊を展開する。逐次、状況を知らせよ」
デネット少佐から、リーナがゴルゴン帝国と称するあの巨大衛星を支配する人物を、屈服させたとの速報が入る。リーナのやつ、大胆で無茶なことをしたものだ。こちらが引き留める間もなく飛び出していったら、しばらくして相手を降伏させたとの報告だ。何をやったら、そんなことができるんだ。
この直前には、ミレイラがあの大型の人型兵器を占拠したという報告が入っていた。今、あれを回収すべく、重機隊が数機、向かっているところだ。
「へぇ、リーナとミレイラ、あの連中に勝っちまったのかよ」
と、そんな僕のすぐ脇に現れたのは、レティシアだ。
「なんだレティシア、機関室で待機してたんじゃないのか?」
「不要だろう。こんなところで、あの特殊砲をぶっ放すなんてことがあるのか?」
うん、ないな。ここであれを放ったら、目の前にあるあの巨大衛星ごと吹き飛ばしてしまうだろう。いまのところは、両者とも大人しくなった。しかし、それはそれで奇妙な話ではある。
この顛末を受けて、なお確信した。彼らは異様なまでに正々堂々、一対一にこだわる。で、その直接対決で勝敗が明確になると、途端におとなしくなる。こんなパターンの戦い方にこだわる連中は初めてだな。
普通はもっと抵抗するものだし、負けを認めるとあっさりと拳を引っ込めるなんてまずありえない。潔いと言えばその通りだが、潔すぎるのも考えものだ。こんなことを我々の宇宙でやったら、確実に殲滅される。
「ところでデネット少佐から、あのゴルゴン星人という種族の正体についての連絡があった」
「正体? ゴルゴン星人と言うだけで臭そうな名前だけどよ、やっぱり臭いのか?」
「いやゴルゴンゾーラチーズじゃないんだから……それはともかく、彼らは『獣人』だそうだ」
「獣人って、アマラとかンジンガと同じってことか?」
「まったく同じかどうかは分からないが、見た目はほぼ同じらしいぞ」
「ふうん、獣人ねぇ」
レティシアとしては、別に相手がどんな種族だろうが興味はないらしい。が、僕はかなり関心を寄せている。
こちら側が把握している獣人の中で、少なくとも小惑星を宇宙船として運用できるだけの文明を持った種族には出会っていない。アマラ兵曹長は優秀だが、そのアマラ兵曹長がいた王国もかなり原始的な文化だった。我々でいえばせいぜい古代ローマ時代レベルで、宇宙船など論外だ。
一方のこちら、彼らが「地球」と称する星の方はと言えば、我々と同じ人族のようだ。が、種族は同じながら、どこか我々とは違うものを感じる。
なんといえばいいんだろうな。一言で言えば、異なる世界に暮らす存在、というところだろうか。
彼らはあの人型兵器に乗って、宇宙にやってきた。そこでゴルゴン星人と称する宇宙人と、直接対決を仕掛けている。
が、それほどの兵器がありながら、この星の周辺には彼らの兵器以外に衛星軌道上に投入された物体が見当たらない。補給基地や補給船はおろか、衛星一つ見当たらないとの報告だ。
もしかしたら、ゴルゴン星人側が彼らの衛星をすべて破壊したという可能性もあるだろうが、それにしてもデブリすらもほとんど見られないとの報告も受けている。元からなかった、という可能性も否定できない。
だいたい、衛星軌道上にいる敵を叩くには、まずは橋頭保とすべきベース基地を築き、そこを拠点として敵地を攻撃するというのが基本セオリーだろう。いきなり宇宙に出て来て、補給線も確保せずにこれほど巨大な小惑星基地を構えた相手に対し、単身で攻撃を仕掛けたりするものだろうか?
どこかこの人型の兵器のみが唐突過ぎる感触を受ける。他にも、この宙域では違和感を感じることが多々ある。
これほど文明レベルも種族も、それどころか星も異なる者同士なのに、なぜか一対一での勝負という点だけは共通しているのも奇妙だ。それを行わない我々に対しては、一貫して卑怯者呼ばわりするところまでそっくりというのは気味が悪い。だいたい、ゴルゴン星人側は最初に機械獣と呼ぶ無人兵器を繰り出し、それが破壊された後に次の兵器を繰り出そうとしていた。僕だったら最初から2体を発進させて戦うことだろう。相手は1体だと分かっているから、その方が確実に勝てる。
にもかかわらず、一騎打ちで、しかも平文での通信でいちいち手の内を見せながらの戦い。一騎で戦いを挑まない相手には、口汚くののしる。よくもまあ、こんな戦い方が成り立つものだ。もしも僕らに侵略の意志があれば、あっという間に全滅に追い込むことができる。
「提督、人型兵器の回収、完了しました。現在、第12密閉型ドックに収容済みです」
「了解。ミレイラ号も同じドックか?」
「はい。突入の際に外装を一部、破損したようなので、その場で修理することになっています」
あの得体の知れない兵器相手に、よくまあ外装だけで済んだものだ。白い艦隊の種族ではないものの、一応、彼らの仕事である「異文化民との接触」は果たせたわけだ。
にしても、わざわざあちらの土俵で戦ってしまったことになるが、よく勝てたものだ。リーナはともかく、あの女海賊も想像以上に強い。
さて、まずはあの人型兵器の連中がここに来る。ゴルゴン星人の代表も、ここに連れてくる手はずとなっている。いずれリーナがその代表を引き連れて現れるだろう。その両者を引き合わせて、どうにか和平の道を探らねば。
って、ひょっとしてその役目、僕がやるしかないのか?
◇◇◇
「イテッ!」
あたいらがドックの入り口に降りて、あのヒペリオーンとかいう機械に乗り込んだ5人を待っていると、最初の一人目が出入り口でコケてやがる。そこから重力エリアに変わるから、気をつけろといったんだがなぁ。にも関わらず、あのリーダー格の男がその入口に頭から突っ込んだおかげで、頭から落っこちやがった。
「なっさけねえなぁ、おい。あのブイヤベースでさえも、もっと上手く降りるぞ」
「ッテテテ……な、何だよ、ブイヤベースってのは?」
「これから、てめえらが会う相手さ」
二人目以降は、最初の男の失敗を見て足から降りている。よくみりゃあ、この機械には女も乗ってやがった。さながら、ドラマでいうところのヒロインってやつか? 他は、熱血漢のリーダーにちょいデブ男、顔はまあまあだが神経質そうな風貌の男に、メガネをつけたチビ。どういう組み合わせだ、こりゃ。
「おい、女剣士!」
で、熱血漢があたいを呼びつける。まだ顔面が痛えみたいで、鼻のあたりを手で押さえてやがる。
「何だい?」
「これから俺たちを、どうしようってんだ!」
「決まってんだろ。ここの指揮官であるブイヤベースんところに連れてくんだよ」
「その指揮官とやらに俺たちを会わせて、そっからどうするんだよ?」
「知るか。直接ブイヤベースに聞きやがれ。ほら、無駄口叩いてねえで、さっさと歩け」
自称リーダーのくせして、度胸がねえんだよな、こいつ。本来なら殺されたっておかしくねえ立場だぞ。こうして命も奪わず、この船内に連れてこられただけでもありがてえと思うこった。
で、あたいらはドックの奥に進み、そこにある駅へと向かう。そこから船内鉄道ってやつに乗って艦橋まで行く。で、この5人だが、この船内が珍しくてしょうがねえらしい。
「おい、さっきから気になるんだが、あれはなんだよ!? まるでちっせえロボみてえなのがいくつもあるぜ!」
で、熱血漢が見つけたのは、ドックの端に置かれた人型重機だ。それも3体。そのうちの1体に誰かが乗り込み、まさにドック内の作業を始めようとしているところだ。
「人型重機っていう機械だよ。さっき、おめえらの機械を回収してただろ」
「人型重機だぁ? 変な名前だな。もうちっとマシな名前をつけてやれねえのかよ」
「うっせえなぁ、ここじゃそう呼ばれてんだからしょうがねえだろう」
確かにあんまりカッコのいい名前とは言えねえけどよ、機械なんてそういうもんだろう。まあ、デネット殿みてえに自分の乗機に「テバサキ」なんて妙な名を付けてるやつもいるし、お前らの「ヒペリオーン」って名前も、負けず劣らずみっともねえ響きじゃねえか。が、そんなことを説いたところで余計に文句を言いそうな気がするし、やめとこう。
しばらくは、がらんとした通路を歩く。そのさきに、大きな扉が並んだ場所に出る。
「な、なんだここは?」
「ありゃあ、駅だよ」
「え、駅?」
「この船は広いんだよ、だから鉄道が走ってるんだ」
「はぁ? 鉄道なんてのがあるのかよ」
呆れた顔でその扉を見る熱血漢だが、あたいから言わせれば、あの人型の馬鹿でかい機械の方がよほどか奇妙だ。赤や青、黄色で塗りたくられた不可思議な美的感覚を見せつけられた時点で、あたいは既についていけない。船じゃあるめえし、ミレイラ号よりも少しでけえ機械で、しかも5人も乗って戦う意味が分からねえ。人型重機くらいでちょうどいいだろう。
そんなあたいらが駅のホームにたどり着く前に、電車がなだれ込んできやがった。それを見たこいつらは一瞬、その光景にビビッたみてえだが、あたいは叫ぶ。
「おい、あれに乗るよ」
「はぁ?」
「グズグズしてんじゃねえ、走るぞ!」
「お、おい、ちょっと待て!」
まあ、次の電車も10分待てば来るんだが、あたいはそんなに待てねえ。開いたホーム扉めがけて、あたいは走る。つられてあの5人と、あたいの手下も走る。どうにか扉が閉まる前に乗りこめた。
◇◇◇
どうなってやがるんだ、ここは?
馬鹿でかいなんてもんじゃねえ。電車なんてものまで走ってることに驚いちまった。
あの無重力ってのも驚きだ。俺たちの超重力ロボには、名前の通り重力を操る技が使われてるから、どっちを向いてても重さってのは感じられた。が、その仕掛けがねえとあんな状態になるのかよ。
で、この馬鹿でかい船に乗ったら、また重さを感じられるようになった。その挙句にこの電車だ。中は大勢の人が乗っている。みんな、どこへ向かっているんだ?
「ねえ、ジーノ」
イレーニアも同じく不安なんだろう。あの女剣士に気付かれねえように、小声で話しかけてきた。
「なんだよ」
「私たち、どこに向かってるのかしら?」
「さあな、さっき言ってたじゃねえか。指揮官のところへ行くってよ」
「そこで私たち、何をされるの?」
俺に聞かれても、分かるわけねえだろう。あの女剣士もしっかりとは答えてくれねえし、周りは囲まれてるし。
なんだけど、周りは全然、緊張感ねえな。何ていうか、まるで街ん中の通勤風景みてえだ。とても戦いをしてる連中には見えねえ。
「おい、そろそろ着くぞ。次で降りるからな」
で、女剣士が何か言ってやがる。辺りは真っ暗だが、どうやらそろそろ終着点らしい。
『次は、オオス艦内中央街駅です。お降りの際は、足元にご注意ください』
機械的な女の声で、アナウンスが流れてきやがる。その直後、窓の外が急に明るくなりやがった。
まるで地下鉄のような真っ暗闇を走っていたかと思えば、いきなり明るい場所に出る。だがそこは、見たこともねえ風景が広がっている。
ビルが見える。まるで都会のど真ん中みてえなその場所は、不思議なことにその上にも歩道があって、そこに人が歩いているのが見える。さらにまだ、上があるようだ。いくつかの層に分かれた場所が突然、現れる。
というか、ここは宇宙の中じゃなかったのかよ。どうしてこんな都会が急に出てくるんだ。
「えっ、何あれ?」
「あ、あれは……どうみても、街ですね」
イレーニアもヴァンニも、この光景を唖然とした顔で見入ってやがる。後の二人も同様だ。そりゃそうだろう、俺だって予想外だった。目の前には、人や車が見える。ビルの下の部分には店が並んでいる。その街の合間をこの電車は駆け抜け、やがて駅のホームに流れ込む。
「おら、着いたぞ」
女剣士がいうので、俺らも降りる。俺たち、ついさっきまで真っ暗な宇宙で死闘を繰り広げていたんだよな? そんなことがまるで遠い昔のように感じられるほど、ここは平穏かつ喧騒の街だ。
「ねえ、ちょっと女剣士さん!」
「なんだよ」
「あれ! あれってもしかして、服が売ってるの!?」
イレーニアが急に興奮し始める。ちょうど駅を出た正面のビルの一階に、派手なショーウィンドウが見える。看板も見えるが、ふしぎなことにその看板、中の絵が動いてやがる。
その動く絵の看板を、イレーニアが食い入るように眺めている。モデルらしき女が、派手な格好で颯爽と歩く姿がそこには映し出されていた。
考えてもみりゃあ、俺たちは戦いに明け暮れる毎日で、ああいう店にはほとんど行けてねえからな。普通の女の子なら飛びつきたくなるようなオシャレな服を着た女が映る動く看板を、これでもかと見せつけられりゃあ、イレーニアの中のタガが外れちまうのも無理はねえ。
「そうだぜ、そうだけどよ、今から行くのはこのずっと上にあるところだ。あそこは、後でいきゃあいい」
めんどくさそうにそう答える女剣士だが、後で行っていいのか? 俺たちはそう解釈した。
「なんだってぇ? あの街に、行ってもいいのかよ」
「そりゃそうだろう。ま、それより先に、やることやっちまうぞ。ほら、ついてきな」
と言いながら、その女剣士は道に向かって、なにやらカードみてえなのを上に掲げる。何をしているのかと思ったら、そこに大きな車が寄せてきた。ああ、タクシーを呼んだのか。
が、その大型のタクシー、というかほぼバスだが、中には誰も乗ってねえ。スーッと扉が開き、中に並ぶ椅子に詰めて座る。と、女剣士が車内でこう叫ぶ。
「上層エレベーターの入り口へ行ってくれ」
意味のわからねえ場所を叫ぶと、この無人のバスは扉を閉めて、スーッと音もなく走り始めた。そういやあこいつ、エンジンがねえぞ。運転手もいねえ。どうやって走ってるんだ?
流れる窓の外の風景には、いくつもの動く看板とショーウィンドウ、その前を歩く人々の姿が映る。なんだか、とんでもねえとこにきちまったな。だが今の俺の中では、不安よりも好奇心の方が優っているな。
◇◇◇
「おーい、ブイヤベース。連中を連れてきたぞ」
来たな。ミレイラが、例の人型兵器に乗った5人を連れてきた。が、その姿を見て一瞬、眉を顰めてしまう。
なんていうか……派手な服だな。赤と青、黄色を基調とした、古めかしい特撮もので見たようなデザインの服。エルネスティがよく見るあの子供向け番組でもここまで派手じゃない。それほど奇妙で、目立つ格好だ。この格好で、あの街中を抜けてきたのか?
それ以上に僕を驚かせたのは、彼らの若さだ。見るからに高校生か大学生くらい、どう見ても未成年にしか見えない。声からして若いとは思っていたが、想像以上だ。まさかこんなやつらが、この星を防衛していたというのか?
アニメや漫画じゃないんだ、この星の大人は何をやっている? なんだか急に腹立たしくなってきた。といっても、彼らにではなく、この星の大人に対してだが。
「僕……いや、小官は地球001、第8艦隊司令官のヤブミ少将だ」
軍帽のツバを指で持ち整えながら、彼らにこう告げる。ここは交渉を有利に進められるよう、重圧をかけておく必要がある。でないと、我々のペースに乗せられない。さっきのようなグダグダな展開はごめんだな。僕の軍服と肩書からにじみ出る圧に押されて、互いの間に重い空気が漂う。
が、その雰囲気を内側からぶち壊すやつがいる。
「んでよ、俺がこのカズキの妻で、魔女のレティシアってんだ!」
「だぁ!」
「そうそう、こいつは娘のユリシアでよ、んで、その隣にいるのは……」
「妾はカズキ殿の妻にして、トヨツグ家が娘、マツである」
ああ、この2人の自己紹介を聞いて、急に5人の顔色が変わったぞ。多分、2人とも僕の「妻」だと名乗ったからだな。しかも、片や魔女と称し、もう一方は着物姿でトヨツグ家がどうとか言い出した。混乱しないほうが、おかしいだろう。
「……ええと、あの、お二人ともこちらの司令官の奥さん、ということです?」
この5人の中に女性が一人いるが、その女性が口を開いた。それにレティシアが答える。
「おうよ。んで、あと1人いるんだが……」
「えっ? まだいるって、3人も奥さんがいるんですか!? まさか、この女剣士さんじゃあ……」
「んなわけねえだろう! あたいはブイヤベースと一緒になった覚えはねえ!」
「そうよ、こいつは海賊でよ、残念ながらカズキの妻じゃねえ」
「えっ、海賊!?」
いろいろと混乱の種をばら撒いているなぁ。おそらく彼ら5人は今、情報を整理しきれていないんじゃないのか? 街がある宇宙船内に連れてこられて、その指揮官に3人の妻がいて、挙句に2人は魔女と武将の娘だと言い出したわけだから、これを論理的につなげる解が導けなくてクラクラしているところだろう。
おまけに、自分たちが戦った相手が、海賊だと知った。これはおそらくショックだろうな。
「あ、あの、どこから聞いていいのかわからないですけど……ますはその、女剣士さんが海賊とは?」
「なんだミレイラ、おめえ、自分が海賊だって話してねえのかよ?」
「しょうがねえだろう、そんな暇も余裕もなく、連れてくるのが精一杯だったんだからよ」
「せいっぱい!」
ユリシアは相槌を打ちながらも、あの5人の服装に興味津々なようで、特に今話している女性のピンク色の服をじーっと見つめている。そういえば、エルネスティは、どうしているんだ?
マツの足元に立つエルネスティの姿を見る。いつものようにしかめっ面で見ているのかと思いきや、目をキラキラとさせて、あの5人を見ている。
ああ、そうか。まさに子供向け番組から飛び出してきたような姿だからな。エルネスティ的には、興味を抱かずにはいられない。
「まあ、いいや。おいカズキ、これからこいつらと話し合うんだろう?」
「あ、ああ。リーナが、あちらの代表を連れてきたら、話し合いを始めるつもりだ」
「そういやあ、リーナの方はどうなってるんだ? ちゃんと連れてくるんだろうなあ、おい」
「おい魔女、リーナ姐様がヘマをするはずがねえだろう。あたいの倍くらいは連れてくるんじゃねえのか?」
いや、そんなにいらない。全権代表が1人いれば十分なんだが。などとやりとりをしていると、僕の元に報告が入る。
「報告! デネット少佐より、ゴルゴン星人の2人の代表を連れて、こちらに帰還中とのことです」
「そうか、了解した」
士官が僕にそう、報告する。それを聞いた向こうの5人の1人、おそらくはリーダーであろう男が尋ねてくる。
「おい、まさかゴルゴン星人の連中と俺たちを、会わせるつもりじゃねえだろうな!」
「当然だ、そのつもりで貴殿らを呼んだ」
「そんなことをして、どうするつもりだ!? まさか、ここで決闘しろっていうんじゃねえだろうな!」
「は? 決闘?」
ちょっと待て、どうしてすぐに闘いにつなげたがる。そんなわけがないだろう。
で、そのゴルゴン星人の代表とやらがたどり着くまで、僕はこの5人に今回呼び出した主旨を説明させられる羽目になる。




