表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

その8 ~ゲーム本編~

全部でその8までとなります。こちらが最終話となります。

その2がゲームのインスト、その4から実際にゲームが始まります。

 ぎゅうっと祈るように手を組み、サイコロを凝視するルドルフ大臣。ルージュも静かにワオンを見守っています。ワオンも祈るようにサイコロをにぎりしめて、それからテーブルにコロコロと転がしたのです。サイコロはグラグラゆれていき、まるで三人の気持ちに引っぱられるかのように4、5、6の面をゆらゆらただよいます。大臣が「頼むぅ……!」と悲痛な声をあげます。そして、その祈りが届いたのか――


「やったっ! やった、やったぞ! 6だ、6を出しおった! バカめ、バカめバカめバカめ! さぁ、オオカミ、さっさとめくるがいい! そして黒魔女様の生贄となるのだ!」


 まるで小さな子供のように、はしゃいで喜ぶ大臣を、ルージュはおかしそうに見ています。その落ち着きように、大臣はわずかにまゆをひそめました。


「……なんだ、なぜそんな落ち着いていられるのだ? お前も自分の手札から、わかっているだろう? わしにはもう小人カードしか残っていないと。そしてお前も小人カード3枚のセットだったはずだ。このゲームが流れるんだぞ、それなのになぜ……」

「すぐにわかるわ。さぁ、ワオンさん、カードをめくってちょうだい」


 ワオンもこくりとしてから、まずは大臣のカードをめくります。当然小人カードです。そして、ルージュのカードに手をかけ、にやっと笑ったのです。


「大臣め、覚悟しろよ!」


 そしてカードを開き、大臣は目を疑ったのです。口をぱっくり開けて、目が飛び出んばかりに見開かれます。


「な……ななな、な、な、な、なぜ、なぜなぜなぜ、なぜだ、なぜなんだぁっ!」


 大臣の絶叫がひびきわたるとともに、開かれた白雪姫カードがキラキラと光り出したのです。銀の光に包まれたカードが、突然宙に浮かびあがります。「わっ」と声をあげるワオンの目の前で、光に包まれたカードの中から、白雪姫その人が現れたのです。光り輝く白い肌は、まさに雪の結晶でできているかのようです。白雪姫は黒魔女の像に向かって、静かに指を鳴らしました。


「ウググググッ、グォォォォォッ!」


 ぞっとするような断末魔とともに、黒魔女の像は全身にひびが入り、そして……粉々になって砕けたのです。大臣が悲鳴をあげました。


「ヒッ……ヒィィッ! ゆゆゆ、許してくれぇ!」


 白雪姫が、大臣をじろりとにらみつけたのです。床に頭をこすりつけて助けを求める大臣を、白雪姫はしばらくにらんでいましたが、やがて再び指をパチンッと鳴らしました。


「あっ、開きました! 全員突撃! ルドルフ大臣を捕らえるのだ!」


 突然封印の間の扉が開き、兵士たちがなだれこんできたのです。真っ青になる大臣を、兵士たちがいっせいにとらえてなわでしばります。がっくりとうなだれる大臣を、ルージュはじろっとにらみつけました。


「悪いことするからそうなるのよ! ……でも、うれしかったわ、ワオンさん、わたしのことちゃんとわかってたのね」


 ほほえむルージュに、ワオンはにやっとしてから胸をドンッとたたきます。


「もちろんさ。ルージュちゃんとは、今までいろんなゲームで対戦してきたからね。ルージュちゃんが勝負どころだと、絶対ポーカーフェイスになるってことはおいらが一番知ってるよ。……でも、2ターン目においらにアイコンタクトしてきたとき、ルージュちゃんは笑っていた。だからおいらは思ったんだ。勝負は次にするつもりだなって」


 ワオンはルドルフ大臣を見おろしました。


「だからおいらは、わざと勝負するようなふりをしたのさ。あんたを引っかけようと思ってね。おいらだってボドゲカフェの店主をしてきたんだ、そのくらいできるようになっているのさ」

「グッ、このオオカミめ……!」


 しかし、もう大臣に打つ手はありません。そのまま兵士に引っ立てられていきました。と、大臣と入れ違いに、目も覚めるような白いドレスを着て、そのドレスすらかすんでしまうような白い肌の女性が入ってきたのです。ハッとして、ルージュもワオンも急いでひざまずきます。おとぎ連合国の女王、スノーホワイト七世陛下その人だったからです。しかし、女王陛下は逆に自らその場にひざまずいたのです。驚くルージュとワオンでしたが、女王陛下の前にあの光り輝く白雪姫が軽くお辞儀をしたのです。


「ご先祖様、ありがとうございます」


 白雪姫はルージュとワオンにも軽く手をふり、そしてキラキラと雪の結晶となって消えていきました。目を丸くする二人に、女王陛下が手を差し伸べます。


「お二人とも、どうぞお顔をあげてください。ひざまずくべきはむしろわたくしなのです」


 女王陛下は申し訳なさそうに二人に頭を下げたのです。


「ルドルフ大臣の暴走を止められず、無関係なあなたがたを巻きこんでしまいました。結果的に黒魔女は永遠に封印されましたが、一歩間違えばあなたがたが生贄になっていました。国民を守るべきわたくしの失態です。お許しください」

「そんな……女王陛下、わたしたちは当然のことをしたまでです。むしろ、この国を守り、女王陛下のお力になれて誇りに思っています」


 ルージュが女王陛下の手を取り、そしてもう一度ひざまずきました。女王陛下の雪のようなほおが、温かな色に染まります。


「ありがとう、二人とも。……とはいえお二人が巻きこまれてしまったことは事実です。そして、お二人が大臣と戦い、この国を救ってくれたことも。罪滅ぼしと思われるかもしれませんが、お二人には望むほうびをとらせましょう」

「そんな、滅相もございません」


 首をふるワオンでしたが、となりのルージュは、なぜかいたずらっぽい笑いを浮かべていたのです。驚くワオンに、ルージュはそっと耳打ちしました。


「ワオンさんったら、ホントに人がいいんだから……。せっかくなんだし、ほら、わたしたちが相談してた、あのことについてお願いしたらどうかしら?」


 ワオンは目をまん丸くして、それから「あっ」と声をあげました。そしてうやうやしくお辞儀し、女王陛下に申し出たのです。


「女王陛下、それならばお願いがございます。実は……」




「店長さん、このゲームどうやって遊ぶの?」


 おとぎ連合国の城下町に、新しくオープンしたお店は大繁盛していました。ボードゲームしながらおいしいお菓子を食べられる、夢のようなお店なのです。しかもそこの店長が、優しくゲームのルールを教えてくれるので、お店は早くも子供たちに大人気でした。


「どのゲームの遊びかたが知りたいの? あ、『赤ずきんちゃんのお花畑』ね。うふふ、それじゃあお姉さんといっしょに遊びましょうか。ちょっと待っててね」


 新しくオープンしたお店、『ワオンのおとぎボドゲカフェ2号店』の店長、ルージュは、ワオンから教えてもらったやりかたで入れた、優しい香りのするロイヤルミルクティーをテーブルに並べていきます。子供たちから歓声が上がります。


「わぁい、ありがとう店長さん!」

「うふふ、ルージュでいいわよ。あ、レアチーズケーキもお待たせしました」

「ありがとうね、ルージュちゃん」


 レアチーズケーキを、そしてルージュの笑顔を見て、となりのテーブルにすわっていた男の人たちのほおが赤くなります。もちろんみんな、ルージュがお目当てなのはいうまでもありませんでした。美人でかわいらしい笑顔も素敵でしたが、ときおり見せるルージュのちょっとさびしそうな顔も、男の人たちの心をわしづかみにするのです。


「さ、それじゃあ遊びかたを教えるわよ。『赤ずきんちゃんのお花畑』はね……」


 やわらかにほほえんで、ルージュは子供たちにゲームの遊びかたを教えます。色鮮やかなお花の絵柄に、楽しいルールをみんなすぐに気に入ります。気づけば先ほどの男の人たちも混ざって、みんなでワイワイカードを楽しむのでした。そしてやっぱり、すずしげに笑うルージュのポーカーフェイスに、みんなたじたじです。


「すごいなぁ、ルージュちゃんは。全然手札も読めないや」


 ハハハと笑う男の人に、ルージュも笑みを浮かべてうなずきます。でも、当のルージュは別のことを考えていたのです。それは……。


 ――あーあ、ボドゲカフェの店長になれたのはうれしいけど、でもこれじゃあ、当分ワオンさんとは遊べないわね。またボードゲームしたいなぁ――


 窓の外、遠くに見えるおとぎの森を見つめながら、ルージュはワオンの優しいひとみを思い出すのでした。


最後までお読みくださいましてありがとうございます(^^♪

ご意見、ご感想などお待ちしております(*^_^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 完結お疲れ様です。 やはりお人好しのワオンで心配でしたねw ゲームは楽しむもの。 スリルを味わうことはいいですが、命を賭けるのは良くないですよね。
[一言] あら、2号店オープンでしたか。 おめでとうございます。 でも、店長になったルージュちゃんは、お休みの日が待ち遠しくなっちゃいましたね。 楽しい作品を読ませていただき、ありがとうございました。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ