その6 ~ゲーム本編~
全部でその8まであります。本日8/13はその4からその6までを、明日8/14にその7、その8を投稿する予定です。
その2がゲームのインスト、その4から実際にゲームが始まります。
「お前たち? あなたもじゃないの?」
けげんそうな顔で聞くルージュに、ルドルフ大臣は得意げに説明し始めたのです。
「いいや、わしは違うのだ! そもそもこの儀式は、黒魔女様を愚かにも封印していく儀式だったのだが、わしは魔導書を読みあさっているうちに、黒魔女様を封印から解放する儀式の存在を知ったのだ! それから研究の日々の始まりだった。わしは儀式について調べていくうちに、偶然にも黒魔女様のたましいと会話することができた。そしてわしは取引を申し出たのだ。……封印から解放する代わりに、わしに永遠の命を授けてくれと」
ルージュの顔が、だんだんと険しく引きつっていきます。ワオンも怒りで牙をむき出しにします。
「ふん、そんな顔をしたところでムダだ。この封印の間から出るためには、儀式に成功するか、失敗するかしなければならないのだ。途中で逃げ出すことなどできんぞ! ……つまり、わしがここでお前たちを出し抜き、白雪姫カードと毒リンゴカードをそろえさえすれば、いくらお前たちが秘密を知ろうと関係ないということだ!」
「でも、出し抜けるのかしら? わたしたちは白雪姫カードと小人カードをそろえるだけで勝てるのよ。対してあなたは、白雪姫カードと毒リンゴカード、どちらも1枚ずつしかないカードをそろえなくては勝てないわ」
冷静な口調でいうルージュでしたが、大臣は目をギラギラさせてどなりかえします。
「生意気な口をきくな、小娘が! 大臣であるわしが、貴様らガキどもに負けるはずがあるまい! ……貴様らこそ、逃げ出すことができぬと聞いて内心ふるえておるんだろう? なんせ、負けたら黒魔女様の生贄にされてしまうんだからな」
意地の悪いいいかたをする大臣でしたが、ワオンはぶるるっと身を震わせます。大臣は思わず笑ってしまいました。
「ハハハハハ、どうしたどうした、そっちのオオカミはずいぶん正直だな。お前ひとりが気をはったところで、オオカミがそのザマならどうにもならないんじゃないか、ん?」
ルージュはなにも答えずに、静かにルドルフ大臣を見すえます。その視線の迫力に、大臣はうっとあとずさりしますが、すぐにドカッといすにすわったのです。
「とにかくすわりなさい。ゲームを続けようじゃないか」
「……いいわ、絶対に黒魔女を復活なんてさせないから!」
ルージュがすばやくワオンと目配せしました。その目の強さに、ワオンのふるえがぴたりと止まります。ルージュが軽くうなずき、ワオンもそれに答えました。
「ふん、とにかくまずは順番を決めようじゃないか」
大臣がサイコロをふります。ルージュ、ワオンもさいころをふった結果、ルージュ→ワオン→ルドルフ大臣の順番でカードをふせることになりました。
――これは好都合だな。やつらの動きや表情を見て、カードを決めることができるぞ――
ほくそ笑むルドルフ大臣の前で、またしても緑色の炎が燃えあがりました。炎はだんだんと小さくなり、そして消えると同時にカードが3枚現れます。自分の前に現れた手札を取ると、大臣はにやりと口をゆがめました。
「それじゃあまずはお前からだぞ、小娘」
ルージュをにらみつけると、大臣は手札に視線を移します。
――くくく、これはいい。毒リンゴカードが手札にあるな――
ドクロのシミが笑いかけているように見えて、ルドルフ大臣は内心にやっとします。
――やつらは当然知らぬだろうが、わしは一度だけ、全員のサイコロの目を操ることができるのだ。黒魔女様から与えられた魔法でな。……つまり、わしが毒リンゴカードを出したあとで、小娘かオオカミのどちらかに親が来るようにサイコロの目を操作すれば、かなりの確率で勝てるのだ! だが、それも絶対ではない。白雪姫カードをどちらが持っているか、そしてどのタイミングで出すかを見極めなくては――
自分はポーカーフェイスを保ちながら、大臣はじろじろとルージュとワオンの顔をねめつけます。ルージュは軽くほほえんでいるだけで、その表情からはなにも読み取ることができませんでしたが、ワオンはだらだらと冷や汗を流し、その目は泳いでいます。
――バカめ、このオオカミ、根っからの小心者だな。しかもうそはつけん性格ときている。さっきまでわしのことを信じていたし、お人よしめ! つまり、やつは今どのカードを出すか悩んでいるということだ。白雪姫カードか小人カード、どちらを出すかをな――
「それじゃあ出すわね」
ルージュが手札から1枚カードをテーブルにふせました。その顔からは、やはりなにも読み取ることができません。しかし大臣は気にしませんでした。ワオンに顔を向けると、大臣とルージュをチラチラ見てから、カードを1枚ふせ、それからフーッと息をはいています。
――バカめ、それでは丸わかりじゃないか。安心するということは、つまり勝負カードである白雪姫カードじゃないということだ――
にぃっと口のはしをゆがめて、大臣もカードをふせました。三人のカードが出そろったところで、サイコロをふっていきます。もちろん大臣は黒魔女の魔法を使いません。それでも一番大きい数を出したのは、大臣でした。すばやく二人のカードをめくり、それからふんっと鼻を鳴らします。
「さぁ、それじゃあ次に行こうじゃないか」
本日の投稿はここまでとなります。
その7は明日8/14に投稿する予定です。




