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最弱能力「毒無効」実は最強だった!  作者: 斑目 ごたく
アランとアレクシア
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悪夢の続き

「・・・はっ!?はぁ、はぁ、はぁ・・・な、何だ、夢か・・・」


 身体を張って助けたはずの相手に絞め殺されるというのは、確かにとんでもない悪夢だろう。

 失った意識を取り戻したアランは、それから逃れるように慌てて身体を起こすと額に伝った脂汗を拭っている。


「そうだよな、そんな展開ある訳ないよな!ふぅ~、安心したぁ~・・・」


 起こした身体に自らの無事を確かめるようにそれを撫でていたアランは、やがてそれに納得すると安堵の息を吐き出して再び地面へと背中を預けていた。

 見上げる天井は、見覚えのない洞窟のむき出しの岩肌。

 それがほんのりと明るく見渡せているのは、その表面に苔むしている植物が僅かに光を放っているからだろうか。

 近くに流れているのだろうか、小川のせせらぎのような音が僅かに聞こえてきていた。


「ん?でも待てよ・・・何で俺はこんな所にいるんだ?確かあいつを助けようとして・・・いやいや!それは夢だったんだろ?でも、そうなると・・・うおっ、何だこれ!?」


 先ほどまで見ていた悪夢のような光景を夢だったと認識すれば、この目の前の景色に違和感も覚えてしまう。

 少なくとも彼には、こんな場所に訪れる理由は有りはしないのだから。

 それを不審に思い周りを見渡していたアランは、自らの身体のあちこちに巻き付かれた白い帯状の物体を目にしては、驚きの声を上げてしまっていた。


「これは・・・もしかしてあれか?アレクシアがスーツの補修に使ってた、テープとかいう・・・じゃあやっぱり・・・」


 その白く、強い吸着力の持った物体をアランは前に一度目にしたことがある。

 それを持っている人物の事を考えれば、悪夢だと思っていた先ほどまでの出来事はやはり現実だと思えてくる。

 そうしてアランが認めたくない現実を受け入れ始めていると、彼へと近づいてくる足音が聞こえてくる。


「あぁ、気が付いたんだ。良かっ・・・たぁ・・・」

「っ!?お、おい!アレクシア、どうした!?大丈夫か!?」


 そちらへと目を向ければそこには彼を絞殺した犯人、アレクシアの姿があった。

 しかし彼女の顔色は明らかに悪く、青ざめたそれに息も絶え絶えといった様子であり、それすらすぐに限界を迎え倒れ伏してしまう。


「おいっ、アレクシア!!ちっ、意識がねぇな・・・でも、何でだ?大した怪我は・・・っ!?まさか・・・」


 糸の切れた操り人形のように崩れ落ちたアレクシアを支えるには、アランの動きは遅すぎる。

 それでも何とかアレクシアを助け起こすことぐらいは出来たアランは、その頬を叩いてはどうにか彼女の意識を取り戻そうとしていた。

 しかし彼女はそれに全く反応しようとせず、完全に意識を失ってしまっている。

 それは致命の傷を予感させ、アランは彼女の身体にそれを探すが、そのような傷は見当たらなかった。


「やっぱ毒かよ!おい、アレクシア!あの被る奴はどうしたんだよ!メットとか言う・・・おいって!ちっ、聞こえちゃいねぇか・・・」


 見当たらない傷に、アレクシアがこんなことになってしまう理由は一つしか心当たりがない。

 それを疑って彼女の胸元を見てみれば、何やら危険そうな表示がそこの小さな装置に示されている。

 その表示の意味は分からないが、彼女の症状と合わせてみれば明らかだ。

 ここには、毒が蔓延しているのだ。


「とにかく、早くなんとかしねぇと・・・とりあえず遺跡に戻れば、結界があるから・・・いや、そっから落ちてきたんだぞ?そんな簡単に戻れる道があるか?」


 アレクシアの青ざめた表情は、彼を治療するために薄らいでいく意識を無理やり繋ぎ止めていたためか。

 そんなアレクシアの頬を撫でて立ち上がったアランは、彼女を助けるために行動を開始しようとしている。


「それよりもメットを探す方が先決か・・・思い出せ、あの時あいつはあれをつけてたか?いや、もうなかっただろ?うん、なかった筈だ。だったら、落ちた時にどっか行ったんだろ」


 罠にかかり落ちた場所ならば、そう簡単に遺跡へと戻る道はない筈だ。

 そう考えたアランは、彼女が失ってしまった耐毒スーツのパーツを探す方を選択する。

 どうやらまだ機能は生きているらしいそれに、正しくヘルメットを装着してやれば当座は持つことが出来るだろう。

 そう判断したアランは、それの居場所を推測し始める。

 彼の薄らいだ記憶の中で探ったそれは、罠にかかる前には確かに存在し、彼女の占め落とされた際には見当たらなかった。


「つうことは、落ちた場所の近くにあるってことか!よし、じゃあ・・・って、そこはどこなんだよ!?意識失った間に運ばれちまったんだから、ここが何処かも分からねぇじゃねぇか!!」


 彼の記憶が確かならば、彼女のヘルメットは罠にかかり落下した際に失われてしまったのだろう。

 それが分かったなら、落とした場所もまた分かる。

 そうして動き出そうとしたアランはしかし、そこに至るまでの道筋が分からないと叫んでいた。


「おいっ、アレクシア!ここまでどうやって来たんだよ!おい、聞いてんのか!?・・・ちっ、聞こえてるわきゃねぇか・・・」


 意識を失っている間にここに運ばれたアランには、落ちてきた場所など分からない。

 それをアレクシアに激しく尋ねても、彼女は苦しげに眉を顰めるばかり。

 埒のあかない現状に、アランはボリボリと後頭部をかき混ぜていた。


「あー、もう!しゃーねーなー!!とにかく行ってみっかぁ!!」


 当てのない道筋にも、刻一刻とアレクシアの顔色は悪くなっているように見える。

 それを目にしてしまえば、このままここで頭を悩ませている訳にもいかないだろう。

 アランはかき混ぜていた髪の毛を毟るような動作をすると、諦めたように決断を下しとにもかくにも前へと進み始めていた。


「おいっ、俺が戻るまで死ぬんじゃねーぞ!すぐに戻ってくるかんな!」


 一歩進んで唐突に振り返ったアランは、地面へと横たわるアレクシアに指を突き付け、そうのたまう。

 そうして彼は、それを嘘にしてしまわないようにと足早に先へと急いでいた。


「おっ!何か引きずった跡があるな、もしかするとこっちか?って、これ俺を引きずった跡じゃねぇのか?ったく・・・」


 地面に目指す場所への痕跡を見つけたアランも、それが自分が雑に扱われた証拠であることに気付くと、苦笑いを漏らしている。

 しかしそれでもその足は鈍ることなく、寧ろ加速していくようだった。

 ここまでお読み下さり、ありがとうございます。

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