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最弱能力「毒無効」実は最強だった!  作者: 斑目 ごたく
変わる世界
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ブレンダは己の目で見たものしか信用しない

「これはブレンダ殿、それにアラン殿も!もうよろしいのか?そういえばあの装備を身に着けてないようでござるが・・・」


 空腹に、まんじりともせずに門の前で待機していたダンカンは、向こうから歩いてくる二人の姿に嬉しそうに顔を緩ませると、即座に腰を上げていた。


「・・・いいのよ。どうせあれなんて見せかけだけで、機能はもう死んでるんだから」


 小走りでこちらへと駆けてくるダンカンの事を、うっとおしそうに腕で遠ざけてるブレンダは、先ほどまで身に纏っていたあの全身を覆う装備を脱いでいた。

 ガラス状の部分から覗いていただけであった顔を全て晒した彼女は、その青い髪を揺らしながらダンカンへと冷たい視線を向けている。

 その迫力に彼は小さくなると、許しを請うような視線を彼女へと向けていた。


「それより!今はこいつよこいつ!!本当にそんなふざけた能力があるんでしょうね!?証明してもらうんだから!訂正するなら今の内よ!!」

「だから本当だって言ってるだろ?しつこいなぁ・・・」


 既に機能は死んでおり、気休めでつけていた装備の事などどうでもいいと吐き捨てたブレンダは、今大事なのはこちらだとアランの事を示している。

 彼女はどうやら彼の能力が本当なのかまだ疑っているらしく、それを実際に確かめてみるつもりのようだった。


「能力?一体何の事ですかな、ブレンダ殿?」

「こいつの能力よ!!ダンカン、あんただってギフトは知ってるでしょ!?」

「それは勿論、存じておりますが・・・しかしそれと何の関係があるのです、ブレンダ殿?」


 「毒無効」などというふざけた能力がもし嘘ならば、このままそれを確かめるためにアランを外に放り出せば、彼は死んでしまうことになる。

 それを強調して脅しをかけるブレンダに、アランはうんざりした様子で息を吐くばかり。

 そんな二人の姿に、ダンカンは訳が分からないと首を捻っていた。


「大ありよ!こいつが、自分のギフトは『毒無効』だって言うのよ!?そんなの信じられる!!?」

「『毒無効』!!?そんな都合のいいギフトが本当に!?確かに、俄かには信じられん話ござるなぁ」


 そんなダンカンの姿に、ブレンダは鼻息を荒くするとアランの事を指し示して、彼のギフトを声高に叫んでいる。

 それを耳にしたダンカンは、驚愕の表情を作ってはアランの事を見つめていた。

 そのリアクションが大袈裟ではないことは、彼らの声にざわざわと騒ぎだした周りの様子からも窺えた。


「い、いやそのさ・・・悪いんだけどそんな大声で言わないで貰える?くそしょぼいギフトだからさ、あんま人に知られたくないんだよね、マジで」


 ブレンダとダンカンの大声は、周りに集まっている村人達にアランのギフトを喧伝してしまっている。

 それはそれを余り人に知られたくないアランからすれば拷問にも等しい仕打ちで、彼は声を潜めては彼女達にもっと静かにするように要望していた。


「はぁ!?何言ってんのよあんた!!こんな凄いギフト貰っといて、しょぼいとかふざけないでくれる!?」

「そうですぞ、アラン殿!!こんな素晴らしいギフト、恥じ入るどころか大いに自慢するべきですぞ!!いやはや村の窮地に現れた救世主かと思ったら、本当の救い主とは・・・先ほどの無礼、このダンカン心よりお詫び申し上げます!」


 本気で恥ずかしがっているアランの態度を、彼女たちは謙遜の類いだと思ったのか、声を潜めるどころか寧ろそれを張り上げて大声を上げ始めている。

 アランの態度に苛立つように声を上げるブレンダと、感心するように身体を震わせ頭を下げるダンカン。

 二人の振る舞いは異なっていたが、それはどちらも彼のギフトを素晴らしいものだと認めたものであった。


「いや、マジで止めて。本当、そんなんじゃないから・・・」


 口調こそ違うものの、同じようにそのギフトを褒めたたえる二人に、アランは必死に両手で顔を隠しては小さくなってしまっている。


「ははーん、さては・・・やっぱり口から出まかせだったんでしょう!?さっさと白状しちゃいなさい!今ならまだ間に合うわよ!!」


 そんな彼の態度は、そのギフトを特別なものだと認識しているブレンダからすれば不自然にも思える。

 それは彼女に、ある結論へと導いていた。

 つまりアランのそのギフトは、口から出まかせにすぎないという結論だ。


「いや、違うけど・・・え、なに?これってそれを証明するとか、そういう流れなの?」

「そうよ!!あんたにはこれから、メイヴィス様の結界の外に出てもらいます!!やっぱり嘘でしたって撤回するなら今の内よ!!」


 ブレンダの疑いに、アランはそんな訳ないと真顔で返している。

 そうして彼はブレンダがこれからやろうとしていることを察すると、何とも言えない表情で彼女へと視線を向けていた。


「いや、しないけど・・・それって必要?俺、さっきまで普通に外にいたんだけど・・・」

「私は見てないもの!!後悔しないわね?それじゃ、門を開きなさい!!」


 何故か挑戦的な表情でアランへと言葉の撤回を求めてくるブレンダに、彼はもはや若干引いた様子でそんなことやる必要あるのかと尋ねている。

 それは彼自身がこの村の外からやってきたからであるが、ブレンダはそれを自らで見ていないからと話すと、腕を掲げて開門の合図を送っていた。


「・・・それで、いつ開くんだ?」

「もうすぐよ!何やってるの、早く門を開きなさーい!!」


 ブレンダが腕を振るい門を開くように合図を送っても、それを行うべき村人は戸惑うように彼女を見つめるばかり。

 その沈黙にアランは肩を竦め、ブレンダは癇癪を起こすように激しく腕を振るい続けていた。


「ブレンダ殿。門の開閉はわしの権限である故、ブレンダ殿には出来ませんぞ?」

「何よ、ちょっとぐらいいいじゃない!!」

「いや、そういう訳には・・・と、とにかく!門を開け、すぐにだ!!」


 必死に腕を振るっているブレンダの肩を、ダンカンが控えめにトントンと叩く。

 そうして彼はそんな事をしても無駄だと、彼女に告げていた。


「・・・やれやれ。何か面倒なことになっちまったな・・・」


 そんな二人のやり取りを少し離れたところから見ていたアランは、そのぼさぼさの頭を掻くと溜め息を漏らす。

 彼の目線の先では、村の門が重々しい音を立てて開こうとしているところであった。

 ここまでお読み下さり、ありがとうございます。

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