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第5話 初めての装備

前回のあらすじ:中学校の担任の先生と進路の話をしました。

ダンジョン科を目指すのは大変なようです。

「あ、ユウキ。こっちこっち」



 初めてイチゴを納品した翌週、ユウキは当然の様にイチゴ狩りをしていた。

 余裕のある生活の為にも、そして中央都市への移動の為にも早めに貯金をしておきたいと考えていたからだ。



 イチゴと魔石の回収を終えたユウキは、今日も納品をするためにギルドへとやってきた。

 そこでもうお馴染となっているタマキに声をかけられ、個室に連れ込まれたのだった。



「やっぱり今週も来たわね」



 タマキはタマキで、やはりユウキは今週も来ると予想をしていた。



「諦めていたダンジョンシーカーだったけど、限定とはいえ稼げるようになったからね」


「まったく、遅いわよ。約束したのに」



(確かにタマキとは一緒にダンジョンを探索しようと約束した。約束したのだが)



「覚えてたんだ。あれ、かなり小さい頃だったよね」


「小さくたって約束は約束よ」



 小学校に入る前の話だった。



(タマキとは結婚の約束とかもしていた気がするけど、流石にそのことは聞きづらい)



「なら一緒に探索する?」


「もちろん、今日はその確認のために誘ったんだから」



(ああ、それで呼ばれたんだ)



 ユウキは突然連れ込まれた個室の意味を理解した。



「そっか。具体的にはどうする?」



 ユウキはまだ限定シーカーとして駆け出しだ。そんなユウキに具体的な計画など立てられるはずがない。もちろんタマキもそれを十分承知している。


 ユウキはイチゴの魔物以外とは戦った事が無い。むしろあれを戦っているという表現をしていいのかすら疑問が残る。ユウキとしてもただ魔石を回収しているだけという認識しかないのだから。



「先ずは定番、ゲートに行ってみましょ」



 タマキはユウキにそう提案した。



「ごめん、ゲートって何?」



 しかしユウキはそれを知らなかった。



「あ、そうよね。ゲートというのはね」



 タマキはユウキにゲートの解説を始めた。

 ゲートはダンジョンの中に出来るダンジョンのようなもの。

 今いるダンジョン内も地上とは違う空間だが、それでもここは地上タイプで小山ダンジョンの外と同じように空がある。そしてゲート内はさらにこのダンジョン内とも違う空間。

 中には魔物の他にも罠などがあり、それらを突破してゲートコアという場所にたどり着くことが目的。コアまでたどり着くとアイテムが手に入り、そのゲートはクリアとなって消える。

 多くのゲートはなぜか毎週月曜日の朝9時に復活する。中の罠を壊していても復活する。宝箱の中身も復活する。

 魔物に関してはダンジョンと同じで約3時間で復活する。



「そんなのがあるんだ」


「これから行ってみる?」



 タマキはさっそくユウキと行きたい様だ。



「その前に納品をお願い。収納がいっぱいで」


「そうだったわ、そのために来たのよね」



 そしてこの日の手取りは300万Pを超えた。順調に収納容量は増えているようだ。



「すごい収入よね」


「やっぱりこの収入ってすごいんだ」


「それはそうよ。ベテラン並の収入よ。これなら装備とかも色々用意できるだろうし、まずはどういう場所か経験してみる?簡単に行き来は出来るから」


「そうなんだ。でも俺、そもそもの基本装備すら持ってないよ。この格好でイチゴと魔石を回収しているから」


「……流石に普段着で行くのはちょっとと思うわね。であれば本当の基礎的な基本装備を揃えましょうか」


「全く分からないからお願い。あ、ついでにいつのまにか収納にこんなものが有ったんだけど何かわかる?」



 ユウキは収納から机の上に、未鑑定アイテムと表示されたスクロールを取り出した。



「多分ドロップアイテムね」


「ドロップアイテム?」


「ええ、魔物を倒すとたまに魔物がアイテムを落とすのよ。どこから落ちてくるのかは知らないわよ、なぜか落ちてくるから」


「でも俺、回収した覚えがないんだけど」


「倒した人が収納スキルを持っている場合、勝手に収納に入るわよ。

 持っていなかったり、収納容量がいっぱいだったりするとその場に落ちるわ。

 PT戦闘等でも最後に止めを刺した人が権利者としてその人の収納に入るみたいなの。でもボス戦のドロップとかはPT全員に入ってたりもするみたいだし、何か基準はあるみたい」


「そんな仕組みが。収納の中でも手に持ってみても未鑑定アイテムって表示されるんだよね」



 ユウキは実際に手に取ってみて確認した。

 やはりユウキのステータスでは、未鑑定アイテムという表示となる。



「ユウキ、鑑定魔法は覚えてないの?」


「鑑定魔法?」


「そう。そもそも装備するには鑑定魔法を覚えていて、自分で鑑定しないとだめよ。今ステータスの装備、何もしてないでしょ」


「そうなんだよね。所持品に未鑑定の服とか表示されるのは分かってたんだけど、どうせただの服だと思って。鑑定魔法ってどうやって覚えるの?」


「鑑定魔法のスクロールを使えば覚えられるわ。ちなみに今出したこのスクロールよ。ダンジョンイチゴの魔物は鑑定魔法のスクロールをドロップするから」



 タマキはユウキからアイテムの鑑定許可を貰い、鑑定魔法でスクロールを鑑定してからそういった。



「どうやって使うの?」


「スクロールは未鑑定でも手に持って覚えようと思えば使用できるわよ。ただし何を覚えるのかわからないから、自分で鑑定するか、きちんと誰かに鑑定してもらって確認してから使うように普通はするけどね」



 こうしてユウキは初めて魔法を習得した。



「無事覚えたようね。スクロールは使用するとそうやって消えるの。魔法はステータスの魔法欄から使えるわよ。ちなみに今みたいにスクロールから覚えられる魔法は基本魔法と呼ばれているわ。そこから独自に編み出す魔法は応用魔法ね。難しいけど」


「そうなんだ。俺、これが初めての魔法だからね。スクロールって売ってるの?」


「売っているわよ。ギルドで買うなら普通にDPで買えるし、ダンジョンの入り口まで戻ればEPショップでも売っているわ」


「EPショップ?」


「触れるとEPショップの画面が出る不思議な石碑があるのよ。そこではEPで買い物ができるの。スクロールも手に入るわよ。ただ、ダンジョンの入り口まで戻らないといけないし、所持EPの分までしか表示されないから出入りするついでのような物ね」


「ダンジョンから出たことないから、出入り口なんて行ったことないよ」


「そのうち行ってみましょうか。今日はギルドでの買い物でいい?カスタム装備を買うなら町の武器屋、防具屋もあるけど。基本装備だったらギルドで十分だと思うわよ」


「うん、任せる。そもそも何が必要かわからない」



 タマキは外からギルドのパンフレットを持ち込むと、ユウキに見えるようにして説明を始める。



「先ずは大雑把な説明からね。移動用装備と戦闘用装備、宿泊用装備の3系統あるわ。移動装備は目的地までの移動に使う装備。基本は軽くて移動しやすい物。奇襲に備えて多少は防御力がある物。そして特殊な場所に行くならそれに合わせた物。例えば寒い場所へ行くなら防寒装備とか、水に潜るなら水中装備とか、空の上に行くなら飛行装備とか」


「飛行装備なんてあるんだ」


「あるけど高いわよ。一人用ならグライダーのような物、PTなら基本的に乗りものね。フライングボードとかも一応飛行装備よ」


「ああ、あの浮いて動く板ね」


「そう、でもあれでも消費EPが結構あるし、やっぱり高いのよ。とりあえず今はそれはいいわ。そういう分類があるという事ね」


「分かった」


「うん、次がメインの戦闘用装備。ちなみに宿泊用装備は町の外で宿泊する時の為だけど、今回は不要よ。日帰りで行くから。それはそのうち揃えればいいわ。

 戦闘装備だけど、戦い方によって分かれるわ。重装備は基本的に近接攻撃で攻撃しあう人向けね。軽装備は近接攻撃でも避ける人や、中距離や遠距離からの遊撃をする人向け。斥候などもここよ。服装備は基本的に遠距離魔法使い系ね。ユウキはどんな戦い方をするの?」


「俺は遠距離からのスキルかな。多分遠距離魔法使いと同じ感じだと思う」


「そう、ならその辺から見てみましょうか」


 こうしてユウキの初めての装備選びが始まった。

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